朝、せわしない雲雀の囀りで目覚める。
ピイチクピイチクピイチクチー絶え間のない鳴き声である。
揚げ雲雀風に舞いとか、ぴいちくぱあちく雲雀の子とか、古今東西うたに読まれるだけあって、五月の空の王者だ。
「羽風かろらにのぼるやひばり 霞押し分け 青雲しのぎ、声もさやかにうたうやひばり」林古渓の詩で、平井康三郎のメロデーが好き。コーラスした少女の日からこの季節になると口ずさまない年はない。
ひばりと言えば、歌手の美空ひばりは、五月生まれの六月没ではなかったか。昭和26年、東京キッドの映画を観に行って、幼い彼女がタキシード姿で唄いまくる旨さに吃驚したものであった。巷間ではひばりの歌があふれていて、その名の通りまさにひばりであった。
最近ツートン青木、青木隆次、という親子が物真似で、美空ひばりをそっくりさんにやっている。
雲雀の鳴き声に混じって燕のちいちいひしゃいだ声も風に乗ってくる。夏も近い。
俳句 * 汐満ちて沖のとき色夕薄暑
* しぶきあび滝仰ぎ見る岩場まで