おにゆりの苑

俳句と俳画とエッセー

ワクチンは

2021-05-15 14:28:38 | Weblog
 収束のないコロナウイルスに東海地方にも、「緊急事態宣言」が発令された。高齢者の私のウイルスの注射は十八日の予約である。このコロナまん延は、世界中だから困る。
 七十年程前、私が少女だった頃、実家の並び十軒くらい東に、我が家と同じような大きな家があった。小学校の校長先生のお宅で、優しいお姉さんが二人と私より一歳年上の親しくしていたYさんと弟さんの四人の子供さんがあった。私の記憶では、お姉さん二人が相次いで結核で亡くなってから先生は後添えをもらわれたように思う。ある日,突然広い家の庭の一番奥で越美南線の行き来の音の激しい所に先生が小屋を建てて、療養されるようになった。残念ながら、先生も亡くなった。
 戦争が終わってから、私の家の隣の畑でYさんが、度々農作業をしていて、わたしを見つけると寄ってきて、「こんな事をさせられるのよ」と嘆いていた。女学校二年生、私が一年生の時であった。やがてその家は壊され、しばらく跡地がむきだしになっていた。
 社会人になってから、担当していた従業員の用件で岐阜の医者へ行った時、そこに勤めていた彼女と偶然会い懐かしがって言葉をかわした覚えがある。一家の離散をみた感じがした。
 私が勤めていた会社でТさんという男性がやはり結核で入院されて久しかった。ある時奥さんと男の子との三人で、「ペニシリンと言う注射が発見されたおかげで、治って退院出来ました。」と挨拶にこられた。
 一軒のうち誰かが結核になると、必ずと言っていいほど家族にうつるとされていたこの病が治る病気になった例である。
 グローバルさは違うけれど、コロナのまん延も速く治る病気になって欲しいとひたすら願わずには居られない。                                           
             コロナ禍に表戸半分雛の郷
             四ひらとく咲きて重たき曇り空

   
コメント
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