十月も余すところ一週間となってしまった。
司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読み終わった。
梅雨時に旅順へ旅行した折、ブログの紀行文にこれを読まなければねーと書いたら、それを見た方が八巻揃ったのを届けてくださった。
周りの人は殆どが読んでいて、改めて明治から太平洋戦争までを知らなかった自分の遅れていることを恥じた。
「坂の上の雲」は個々の登場人物の描写を面白く併記しながら十年もかけて、四方八方手を尽して調べ上げて書かれた小説と言うよりは膨大な叙事物語である。
島国の日本が単体で独立して棲息してくるには、外交上の利害関係で摩擦を生み衝突しあい、恐るべき破局を産む戦争を引き起こしながら歴史はつくられてきた。
解説には坂の上に浮かんだ「雲」の全景に向かって登って行く若者達の群像は、その目標の理想世界とそれにこめた作者のエネルギーと公刊されたのち、広く日本人一般の目をひらいて、新しい知見で感動させた点で、この作者の代表作の一つであると批評がある。
私としては出生の秘密を知ったような自分の立ち位置が変わるような感慨を覚えた厳かな歴史書であった。
俳句 小屋出る兎追ひかく親子かな
小さき檻兎何度も子を産めり