おにゆりの苑

俳句と俳画とエッセー

 追   悼

2015-01-31 21:37:36 | Weblog

 日進市の市民会館で市が主催している高齢者教室の俳句部「寿」講師の等々力さんが亡くなった。
 最後の講義は何か思うところがあったのか、一時間延長して熱心にやりとげられた由、痛ましい限りである。誠心誠意をつくす立派な先生であった。
 等々力さんとは、十六年間師弟の間柄で、最初の二年間は俳句のイロハも解らぬ私と同じ生徒同士だったが、やがて前任者を引き継いで講師になられた。
 最初の出会いは市が高齢者のために開く四年の大学で「あじさい学園」だった。
 大学は他の学部門と共に卒業式があり、総代で卒業証書を市長から受けられたこともあった。
 大学は社会の高齢化によるものか市の対応が変わって、いつまでも在席できるようになり、泣かず飛ばずの不勉強な私は学生生活を楽しく送っていたが、再び役所が無作為に選んで退学させるようになり、最初に心ならずも卒業、となった。
 四年目に句集を出す時、序文を書いて頂いたり全体をみていただいたり、家の近くの「明楽神」で会ってアドバイスをしてくださった。
 それから二年ほどして夫が亡くなった時、さびしいだろうと「無限図」を紹介していただき入ったので血脈は切れなかった。
 常に細心の心配りのできる方であった。
 十六年の間には毎年1回、市の車で郊外の名所へ吟行に行くのが常であった。
 中でも忘れられないのは、平成16年の伊賀上野の吟行の旅で、芭蕉の俳聖殿を尋ねたが、芭蕉の生家まで足を伸ばしたのは先生と私だけで、仲良く詠んだ句は先生「つづれさせ土間の向こうに釣月軒」。 私「地震ありぬ釣月軒の破れ芭蕉
」 が忘れられない。
  毎月 俳句アルファーから選んだ「現代かなづかい(新かな)」「歴史的仮名遣い」「漢字表記」など、句に大切な基本をいただいたことも懐かしく思いだされる。
 
 東郷町の有元氏をトップに「にぎわい句座」を立ち上げたが、第一回の展示会にも、芳名帖に記銘いただいた。耳が遠くなられたので「無限図」で隣り合っても挨拶くらいで、あまり会話がなかったにもかかわらず、去年第二句集を出し差し上げると、丁寧な感想をしたため封書で送ってくださった。

 家族葬とのことで、通夜に駆けつけて追悼句をお供えしてきた。
 「寿」会員の方達は葬儀に行かれ「ふるさと」「千の風になって」などを合唱し涙涙の会葬であったと聞く。御冥福をお祈りします。

    俳句  悲しみに身の浄まりて寒の水 

          待春や「惜別」の歌胸に秘め

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   待   春

2015-01-24 10:54:01 | Weblog

 後二日で大寒という十八日が、夫の十年目の忌日で丁度日曜日だったので、息子と娘との三人で墓参りに行った。
 娘が仏間の床の間の正月花を大きなアマリリスと黄色いバラ三本と霞草などに交換して活けてくれた。

 供華も洋花を携えて私が低くて乗りやすいからと、娘のプリウスに乗って行った。
 寒の水でいつもよりていねいに墓石を拭き線香や蝋燭を灯して私の読経で手を合わせた。
 墓石の背の向こうにみえるマンションを、息子があれが去年買って入った所と言う。下にプールがあって、車が三台置けるそうだ。
 「もっと、向こうかと思ったら、こんなに近くなのねー」「幾つ部屋があるの」「披露がないので祝いもあげれんわ」などといって娘と声を立てて笑った。
 ゆったり歩いて、私の友達夫婦の墓の前を通り、そこにも手を合わせた。
 坂なので普段は敬遠している本堂への道を歩きながら、私が蝋梅がないかと言うと娘が「あれは何」と走り寄ったのは、さんしゅが二株、ゆるんでは居るがまだ蕾である。
 大相撲の夏場所の時はあれが「稀勢の里」の宿舎だと眺めて本堂の横まで来ると、「この梅は一本に紅と白が咲くのですよ」と、おくりさんが忙しげに追い越して行かれた。
 親戚は理由があると行き易いからと、夫の姉の次男が 五十年来やっている、上社のペイザンヌへランチに行った。
 団体客があるので隣のサウンドミュージックの店で待っててのこと。ここは三男がやっていて喫茶もある。
 去年、義姉と長男を三ヶ月の間に亡くした彼らとは従兄弟どうしなので、「今日は親父の十年」と言って親交を深めていた。
 ランチは厚い豚肉のあげたのか、ソテーなのか衣が苦にならずソースがとても美味しくデザートはサービスと大皿に五種類づつも、出してくれた。
 いつも連れ合いや孫が一緒なのに今日は三人だけで、てれくさいなあと思っていたが、そこは親子何のてれも遠慮もなくてしっくりした自分達だけの十回忌であった。 もうじき暖かな春がやってくる。 

    
         俳句   待春やテーブルクロス白に替へ

 

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寿   司

2015-01-16 23:17:49 | Weblog

 三時のお茶に栗羊羹を食べたら夕御飯が食べたくない。

 三度が三度きっちり口にする習慣なので、はて何をと考えた。

 中丼に寿司飯を六部ほど入れて上に数の子とくるくる玉子とたつくりの甘辛煮を三色丼宜しく盛り合わせ、筆生姜をそえて、数の子には削り節をまぶし醤油をたらし海苔を散らして寿司丼の出来上がり。

 五目寿司にしたら良い具財の煮物を箸休めに、味噌汁と漬物を添えてやはりもう一品と焼き魚をお盆にのせたら、ちょっと一杯と花梨酒の五年ものを少しお湯で割る。

 花梨酒と言ってもウイスキーで漬けてあるから、きつくておいしい。

 私の一代は、料理のレパートリーが多いほうでもないので、何かといえば混ぜ寿司をよくこしらえたものである。

 三十年程前に今流行のくるくるすし屋が出来たので孫連れで出かけて行くと「こんなものは不味くて喰えぬ」と言っていた夫も十年前にあの世へ行く頃はすし屋の競争で美味しくなって来ていたのとそんなものかと、家族に着いてきたりしていた。

それでも私が働いている内は、よくお守りをしていてくれていたすし屋があったが、夫と相い前後して亡くなってしまった。

 最近ではKさんからの電話で、ゲートボールの帰りにスシローで待ち合わせ昼食をしてくる。おかしなものでコーヒー友達は別にある。

 彼女は娘さん一家と共に暮らしているのだけれど、昼間は独りなので、何かにつけて私と話がしたいのらしい。家族や彼女の知り合いのどうどうめぐりの話に私も相手欲しやで良く付き合っているものである。

 そのくせ彼女はいくら誘ってもゲートボールはやらない。

 世の中高齢化に伴って外食が多くなりエンゲル係数も変わりつつある。

 ちなみに一昨日の金泉閣でのゲートボールの新年宴会でも温泉につかってから焼肉やらビールやお酒や、からおけで賑わっても年寄りが多いせいか、握り寿司は沢山残っていた。

 戦後も七拾年も経ってみれば「吼えて喰うべし」の風潮は微塵もない。

     俳句   初鳩や露天湯にての後生楽

 

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   新  年

2015-01-08 10:08:26 | Weblog

  松の内も過ぎれば、ブログも更新せずばなるまい。
お元日、信心の地区部長夫妻が車で迎えに来てくれて十一時からの初参りに行った。
 知人に会えば年賀を言いお賽銭ほどの御供養もして、三百人程の会場に入り切らない人と共に勤行をして、ピアノとヴァイオリンの協奏曲を聴いた。
最後の一曲は「青葉茂れる桜井の」と唄う「大楠公」であった。
 「世の行く末をつくづくと」が聞かせたかったのであろう。
 私の今年の一字は「喜」で始まると思えてきた。
 二日は我が家の新年会を「鈴のれん」で、十名で申し込んで置いたが、孫一家がちびの肺炎で三名欠席したので七名であった。
 お屠蘇でなくビールで三家族が乾杯するとすぐにお互いの親御さんの(義父義母)の体調伺いの言葉が出るところが、年長者の私としては嬉しい。
 娘一家の年賀状は二人の娘の相手と共に六人の写真で来ていたし、息子のところは、上の娘が仕事で欠席で、ラストの娘が今年卒業して就職も決まったので私がいくミステリー旅行の親衛隊になってくれないかと聞くと「その日は国内に居ません。卒業旅行でハワイです」との事。
 まあいいか、すぐそこの山の「大雄院」のお墓から、ぢっちゃんが四方の家族を眺めていてくれるから・・・
 六日「にぎわい句座」の新年会を「藤昌」で。作句が面白くて仕方がない人達なので雨でも十名が参集し美味しい料理と席題の俳句を堪能した。
     雪 ○ 雪晴れて半ば埋もれし菜を揺する T
    雑煮 ○ 戦火止む七十回目の雑煮かな     N
   年賀状○ 筆跡が齢を語る年賀状              講師 
十一時半から三時過ぎまで楽しかった、楽しかった、と散会した。
 この先ゲートボールの新年会や「無限図」句会エッセー教室などがめじろ押なので、この辺りで妹に二人だけの新年会をと電話をしたら「あなたとは嫌」とはっきり言われた。
 次女で名前に王と令のつく妹であってみれば、かねがね仕方がないと譲っている。まだ下ろしてない「鈴なみ」のお歳暮を送り返してやりたい気になったがそれも大人気ないので、しばらくは迎合しないで置く事にする。

    俳句    風で飛びフェンスに掛けし注連はずす

 

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