殿は今夜もご乱心

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ウグイスワード・1

2015年09月22日 21時35分04秒 | 選挙うぐいす日記
どんな言葉で検索して、たどり着いたか…

それが検索ワード。

うちのブログの場合、ウグイス関連が最も多い。


「出陣式のウグイスのセリフ」

「ウグイス 出発時のセリフ」

「ウグイス 近所の人に向けたセリフ」

「ウグイス 通行人への呼びかけ方」

「ウグイス 朝の挨拶」

「ウグイス 印象に残るセリフ」

「感動的なウグイスのセリフ」

「人の心をつかむウグイスの言葉」

などなど、一つ一つ書いていたらキリが無い。


日を追っているものもよくある。

「ウグイス 初日のセリフ」から

「ウグイス 最終日のセリフ」まで毎日続く。

今まさに、日本のどこかで選挙戦が行われているらしい。


検索なさったのはご同業とお見受けするが

セリフが知りたくてわざわざお越しくださったのに

人の悪口ばっかりで何の参考にもならなかっただろう。

すいません。


日頃、まだ経験の浅い同業者に

同じようなことをたずねられる機会が時々ある。

しかし日程や時間を追ったセリフは

いずこも似たりよったりの常識的なもので

そういうセリフをあまり使わない私より

質問する相手の方がよく知っておられる。

「激しい選挙戦も、はや中盤となりました」

「皆様のご支持ご支援、よろしくお願いいたします」

なんてことを真面目くさって言ったって、何が面白かろう。


皆さん、セリフを増やしたいとおっしゃりながら、実のところは

「さらりと言えて盛り上がり、民衆の心がつかめて

その上、同業者もクライアントもうならせ

次の選挙でも雇ってもらえるようなセリフ」

というのをお探しの様子。

経験を積むうちに、そんな便利なセリフは無いとわかるのだが

それまでは美辞麗句探しの旅人を続けるつもりらしい。


私はその年月がもったいないと思う。

セリフが少々増えたところで何になろう。

ウグイスの使命は候補の名前を伝えることと、声援に対するお礼。

セリフ増強より、そっちを充実させる方が効率がいい。

一字一句に魂を込めて大切に言うと

レパートリーの乏しさは気にならなくなる。


まず名前とお礼の充実を図れば

次に何を言おう?と案じなくなるので、しゃべりに自信がつく。

安心の状態で仕事をすると、耳が冴える。

同乗しているウグイスや、よその選挙カーのウグイスの言ってることが

よく聞こえ、心まで届くようになる。

オリジナルを編み出すのが苦手な人は

それをパクったりアレンジして試験的に使いながら

徐々に持ち球を増やしていくといい。

セリフはやっているうちに付いて来るものだ。


しかしそこは選挙、そこは人間、そこは女…

名前とお礼だけでは乗り切れないこともある。

間が持たなければ、名前の方はどうあがいても6~7文字程度だから

とりあえずお礼部門を膨らませる。

どんな人が、どんな様子で手を振ってくれたか

会釈してくれたか、視線を合わせてくれたか…

それらを細かく描写して長引かせるのだ。


例えばタオルを振ってくれた人がいるとする。

「素敵な紳士のかたより、力強く白いタオルを振っていただきました。

ありがとうございます。

よ~く見えております。

その真っ白が、清い選挙をしなさいと

純真無垢な心で政治に臨みなさいと、◯◯に教えてくださいます」

この際、素敵な紳士がタオルを振ることはあんまり無かろうと

タオルが黄ばんでいようと目をつぶる。


通行人の年配女性がちょろっと手を振ってくれたとする。

「美しい奥様に優しくお手を振っていただきました。

◯◯◯夫、温かいお心をしっかりと受け止めました。

本当にありがとうございます。

サクラ色のスカーフがよくお似合いでございます。

差し色はセンス、政治もセンス

◯◯も見習わせていただきます」

ありがとうの思いを情景描写で生中継。


そうしているうちに次の声援が来るから、今度はそっち。

これを繰り返していれば、そうあれこれ

わかりきったお決まりのセリフを言うことは無い。


道路工事中の横を通る場合は

「大切なお仕事中、お騒がせして申し訳ございません。

◯◯も、そのRCのごとく

エコで強い市政(県政、国政)の土台となる所存でございます。

お兄様の尊い汗が必ずや報われる政治を

◯◯も汗を流して行わせていただきます」

相手は絶対笑う。


私も一応建設業界人なので、積まれている資材がわかる。

RC(アールシー)とは、リサイクルコンクリートの略で

道路工事の地固めに使う砕石なのである。

建設工事にはたいてい使われているので、業界人なら知っている。

知る人ぞ知るという共通意識はウケる。

ただし建設業界は最初から支持する候補が決まっている場合が多いため

実入りはあてにできないが、きつい仕事をする人へのサービスの一環である。


あとは変換ワザ。

例えば朝や昼休憩の後で事務所を出発する時。

「行ってまいります」で間が持たない時は変換する。

「この戦いは、◯◯の選んだ一本道!

強い町、明るい町を作るため、正々堂々!挑んでまいります!」

「お集まりくださった!お一人お一人の!熱い!ご支援を頼りに!

◯◯◯夫!力いっぱい!戦ってまいります!」

「どうか◯◯!どうか◯◯!

勝たせてください!支えてください!男にしてください!

◯◯◯夫!伏して!お願い申し上げます!」

などとセリフに尾ひれをつけて、大仰に膨らませるのだ。


私は口上を述べる武将を意識し

時代劇のようなフシをつけて言葉を区切る。

声量が必要だが、語尾を伸ばしたり間をあけたりするので

セリフは長持ちし、事務所の雰囲気は引き締まる。


これで拍手と声援が高まればしめたもの。

あとは「ありがとうございます!」「頑張ります!」

などと四方に愛想を振りまきつつ、走り去ればいいのだ。

武将どころか、卑怯きわまりない。

こんな卑怯者にセリフを聞いても、役に立ちそうにないのは確かである。


(続く)
コメント (2)
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