殿は今夜もご乱心

不倫が趣味の夫と暮らす
みりこんでスリリングな毎日をどうぞ!

ドロドロ

2010年08月09日 14時39分30秒 | みりこんぐらし
暑いので、私の周辺の景色でもどうぞ。




♪つ~みな~やつさ~

        あ~瀬戸内海~♪

永ちゃんの“時間よ止まれ”でお願いします。



この海の色も、もうじき終了。

秋になると、淡いグリーンやグレーが足され

ちょっと渋めの色になります。

この清々しい景観の中で、ドロドロの日々は繰り広げられているのであります。



ドロドロといえば昨日。

用事があって夫と出かけ、帰りにスーパーで、食料品を買う。

家に着くと、さっき買ったタマゴが

車の後部座席から下に落ちて、思いっきり割れていた。

「ああっ!タマゴが!」

帰る途中、ガサッという音がしたけど、そのまま忘れていたのだ。


タマゴをこよなく愛する男としては、これは大変な事態である。

残り少なくなると、自分で買って来るほどのタマゴ好きなのだ。

安く売られているのを見つけると、目を輝かせ

店内を走って知らせに来るほどのタマゴ愛好家なのだ。


…文句は言えない。

夫は、自分で座席に置いたのだ。

買物をしたら、夫が荷物を詰め、車まで運ぶことになっている。

タマゴは割れたらいけないので、エコバッグの一番上に置くのが

夫のならわしであった。

座席は危ないから、足元に置け…と何回か言ったこともあるが

聞かないんだからしょうがない。


このままにしておいては、割れて流れ出たタマゴは腐る。

後始末をしなければならない。

後部座席の足元には、なぜかレジャーシートが置いてあり

タマゴの汁は、その上に溜まっていた。

   
   「ああ、良かった、シートがあったから、助かったわ」

タマゴ汁がこぼれないように、そっとシートを持ち上げたら

下からバドミントンのラケットが入ったケースと、運動靴が出てきた。


    「は~ん…」

ここしばらくの挙動不審が、白日のもとにさらされる。

夫がヒザを傷めたのは、以前お話しした。

最近やっと良くなり、まだ少し足はひきずるものの

二週間前から、土曜日の“トレーニング”を再開したところだったのだ。


「ケガは治ったけど、周りの筋肉が固まってしまっているので

 また運動しなければならない」

とか言いながら、前夜もいそいそと出かけ、帰宅はやはり深夜だった…と思う。

寝たので、知らない。

今度はカノジョのツルコと、バドミントンを始めたようだ。

ツルコもスポーツ好きらしいわ。


バドミントンは、ずっと昔に保険外交員といそしんでいた

腕に覚えのあるスポーツだ。

いいところを見せたくて、二人で始めたのだろう。


あんたの旦那は、なんでそんなにアホなんだ…と、人は言うだろう。

そんな中途半端で幼稚なことをせずとも

完璧に隠蔽するか、あるいは堂々としていればよいではないか…と。

しかし、これが我が夫であり、多くの浮気者の特徴である。

昔は、この姑息とうっかりが同居するさまが

なんとも薄汚く、ふてぶてしく見え

うすら寒くなるほどの怒りをおぼえたものだ。


が、本人は大まじめなのだ。

隠したつもり…うまくやってるつもり…

だからこそバレる。

犬が大きいほうをしたら、そこに砂があっても無くても

後ろ足でパッパと蹴って、ほんの申しわけに隠す動作をする。

それに似ている。


用意周到、準備万端ができる男なら

よその女をタダでむさぼるようなことはしない。

快楽と、そのために払う多くの犠牲とを

天秤にかける能力も、ちゃんと備わっているからだ。


隠したければ、道具をツルコに管理させればいいのに、それはしない。

女房に見つかるとヤバイから、持ってて…なんて

口が裂けても言えないものなのだ。

それは、愛人に余計な心配をさせたくないという愛情ではない。

女房を恐れる本当の自分を知られたくないだけである。

コモノほど、自分が小さいのを隠したがる。


このてんまつを、見て見ないふりをするのも、なかなか技術がいる。

さっきまで、タマゴで頭がいっぱいだった夫であるが

今は、そこに何を置いていたかを思い出し

私の背後で心配そうに見守っているのだ。


シートをすべって、たれてゆくタマゴの汁を

ドロドロ…と運動靴の中に入れてやる。

なにくわぬ顔で振り返り、夫をうながして、家に入る。

ドロドロも、たまには楽しい。
コメント (55)
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