幸福の形は似通っているが、不幸の形はさまざま…
といいますが、まったく本当だと思いました。
虎の穴で生きる7~8人の人々は
それぞれいろんな家庭の悩みを抱えていました。
夜討ち朝駆けの激しい労働…
入る時は気付きませんでしたが、よく考えると
しっかりした旦那がいれば、関わる必要のない仕事です。
不幸と仲良しの人は、自分の物差しで他人を計り
目を皿のようにして自分より不幸な人をいつも探しています。
「あの人よりはマシ」と思える存在を作り上げ
それを見てはホッとしたり
少しでも自分より上に上昇しないように
陰口や噂話で予防線を張っておきます。
忙しいことです。
一緒に入ってノイローゼになった人は
安定した職業のご主人と秀才の子供がいました。
入った理由…生活のためでなく、子供の学費。
虎の穴にふさわしくなかったわけです。
新入りは、着ている物、乗る車、何でも観察と妬みの対象になりました。
こりゃ~、大変な所へ来ちまっただ…
仲居の時、先輩が「仲居は女の終着駅」と言っていましたが
ここは人間の終着駅だと思いました。
それでも虎の穴には、私にとって大事な条件が叶っていました。
「回りに男性がいない環境」
とても重要です。
私にはずっと以前から、すぐ結婚を申し込まれるという
困った癖?がつきまとっていました。
結婚でなければ愛人です。
けっして私が美しく魅力的なのではありません。
浮気者の妻と知れると
飢えていて、すぐ誘いに乗るように思われるのでしょう。
夫の庇護という見えないバリアが、私には無いのかもしれません。
しかも、イケメンならまだしも、絶対無理!という相手ばかりです。
「どこか南の島で、二人で小さな酒場でも開いて…」
夢物語として言われることもたいてい同じです。
なんであんたと南の島へ行かにゃならんのじゃ…
わたしゃカメハメハ大王の親戚か…
これまでに何回もあったので
絶対自分に何か原因があると感じていました。
オホホ…とうまくかわして蝶のように振る舞いたいのはやまやまですが
一緒に働いていると気まずいし
なにやら呪わしい血が、そんな状態になるのを誘っているような気がして
自分がとても情けないのです。
ガチガチの真面目人間ではありませんが
配偶者が軟派だと
もう片方は、自分も同じことを求めて痛みを和らげるか
私のように拒絶的な心境になるかのどちらかだと思います。
外界から遮断された女だけの密室は
そういった面での安心感をもたらしてくれました。
少し経つと、最初の頃の
鵜の目鷹の目であら探しの状況は軟化しました。
同じ穴のムジナと認められたのでしょうか。
痛し痒し…
その頃から、夫は携帯の出会い系にハマッていました。
私の仕事が不規則なのもあり、やりたい放題です。
婆姫とも、だましだまし続いているようです。
地元で暮らすと、やはり雑音の聞こえ方が違います。
「婆さんを助手席に乗せて、山へ登るのとすれ違った」
…ホテル代が惜しかったのでしょう。
「若い女と食事に来た。気の毒なほど残念な女の子だった」
…出会い系で初めて会ったのでしょう。
「高速のパーキングで見た。女連れだった」
…遠征したのでしょう。
なぜそんなことがこっちの耳に入るのかというと
長男が仕事で使う業務用アマチュア無線です。
男性というのは、自分以外のことになると
007みたいな気持ちになるようで
息子の耳に入れることが親切と信じているらしいです。
社員に限らず、仕事関係者、その友達…
広域にわたり網羅している無線仲間はトラッカーが多いので
夫の動向はいたる所で目撃されました。
「了解。そのまま追突して殺害してください。どうぞ」
と言った後で「情けない…」とつぶやくという息子は不憫ですが
こうして笑われることも被浮気家族の宿命です。
笑ってもらって、酒の肴になることが我々の使命ならば
喜んでなりましょう。
それによって、無線を聞いた中のたとえ一人でも
「色に溺れるって、こんなに恥ずかしいコトなんだ…」
と思ってもらえれば、本望でございます。
といいますが、まったく本当だと思いました。
虎の穴で生きる7~8人の人々は
それぞれいろんな家庭の悩みを抱えていました。
夜討ち朝駆けの激しい労働…
入る時は気付きませんでしたが、よく考えると
しっかりした旦那がいれば、関わる必要のない仕事です。
不幸と仲良しの人は、自分の物差しで他人を計り
目を皿のようにして自分より不幸な人をいつも探しています。
「あの人よりはマシ」と思える存在を作り上げ
それを見てはホッとしたり
少しでも自分より上に上昇しないように
陰口や噂話で予防線を張っておきます。
忙しいことです。
一緒に入ってノイローゼになった人は
安定した職業のご主人と秀才の子供がいました。
入った理由…生活のためでなく、子供の学費。
虎の穴にふさわしくなかったわけです。
新入りは、着ている物、乗る車、何でも観察と妬みの対象になりました。
こりゃ~、大変な所へ来ちまっただ…
仲居の時、先輩が「仲居は女の終着駅」と言っていましたが
ここは人間の終着駅だと思いました。
それでも虎の穴には、私にとって大事な条件が叶っていました。
「回りに男性がいない環境」
とても重要です。
私にはずっと以前から、すぐ結婚を申し込まれるという
困った癖?がつきまとっていました。
結婚でなければ愛人です。
けっして私が美しく魅力的なのではありません。
浮気者の妻と知れると
飢えていて、すぐ誘いに乗るように思われるのでしょう。
夫の庇護という見えないバリアが、私には無いのかもしれません。
しかも、イケメンならまだしも、絶対無理!という相手ばかりです。
「どこか南の島で、二人で小さな酒場でも開いて…」
夢物語として言われることもたいてい同じです。
なんであんたと南の島へ行かにゃならんのじゃ…
わたしゃカメハメハ大王の親戚か…
これまでに何回もあったので
絶対自分に何か原因があると感じていました。
オホホ…とうまくかわして蝶のように振る舞いたいのはやまやまですが
一緒に働いていると気まずいし
なにやら呪わしい血が、そんな状態になるのを誘っているような気がして
自分がとても情けないのです。
ガチガチの真面目人間ではありませんが
配偶者が軟派だと
もう片方は、自分も同じことを求めて痛みを和らげるか
私のように拒絶的な心境になるかのどちらかだと思います。
外界から遮断された女だけの密室は
そういった面での安心感をもたらしてくれました。
少し経つと、最初の頃の
鵜の目鷹の目であら探しの状況は軟化しました。
同じ穴のムジナと認められたのでしょうか。
痛し痒し…
その頃から、夫は携帯の出会い系にハマッていました。
私の仕事が不規則なのもあり、やりたい放題です。
婆姫とも、だましだまし続いているようです。
地元で暮らすと、やはり雑音の聞こえ方が違います。
「婆さんを助手席に乗せて、山へ登るのとすれ違った」
…ホテル代が惜しかったのでしょう。
「若い女と食事に来た。気の毒なほど残念な女の子だった」
…出会い系で初めて会ったのでしょう。
「高速のパーキングで見た。女連れだった」
…遠征したのでしょう。
なぜそんなことがこっちの耳に入るのかというと
長男が仕事で使う業務用アマチュア無線です。
男性というのは、自分以外のことになると
007みたいな気持ちになるようで
息子の耳に入れることが親切と信じているらしいです。
社員に限らず、仕事関係者、その友達…
広域にわたり網羅している無線仲間はトラッカーが多いので
夫の動向はいたる所で目撃されました。
「了解。そのまま追突して殺害してください。どうぞ」
と言った後で「情けない…」とつぶやくという息子は不憫ですが
こうして笑われることも被浮気家族の宿命です。
笑ってもらって、酒の肴になることが我々の使命ならば
喜んでなりましょう。
それによって、無線を聞いた中のたとえ一人でも
「色に溺れるって、こんなに恥ずかしいコトなんだ…」
と思ってもらえれば、本望でございます。