羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

2016 明治大学シェイクスピアプロジェクト公演終了

2016年11月15日 13時00分42秒 | Weblog
 文化の秋に恒例のプロジェクト公演が、去る13日の日曜日に楽日を迎えた。
 14日、昨日の夜、打ち上げの席で発表された、3日間・5ステージに観劇した人数は3950名とのことだった。
 この数字は、過去最高の記録だそうだ。
 年々歳々、評判が評判を呼んで、観に来てくださる方々が増えている。
 野口体操の関係者も私を含めて7名の方が集ってくれた。

 学生演劇とはいえ大学の文化活動でもある。
 ……それ以上にワークショップやアクティブラーニングを組み込んで、演劇学を生身で体験する授業の一貫である。

 台本づくりはコラプターズと呼ばれる翻訳チームが行う。
 因みにコラプターズとは《シェイクスピアの喜劇『十二夜』の三幕一場・道化の台詞》に由来しているそうだ。
《「俺はお嬢様の道化じゃない。ただ彼女の言葉を堕落させているだけなのさ」『言葉を一度壊して新しく創造しよう』》 そのような意味がこめられている、という。
 来月12月から、すでに来年の公演の準備は始められる。

 いくつも行程を経て、オーディションで選ばれたキャストの稽古は、夏の盛りから始まる。
 今年も野口体操の指導を、身体表現の基礎として仰せつかった。8月から9月にかけて関わらせてもらった。
 いつも私一人で指導していたが、今回は南アフリカからの留学生で理論物理学を専攻しているピーターが助手として手伝ってくれた。実は、助手として参加したわけではなかったが、いつの間にか皆がそう認めてしまったのだ。
 野口体操を真摯に学ぶ彼に、よきお兄さんとしてキャスト全員の尊敬と好感が得られたことは特筆しておきたい。
 
 こうして9月15日に最後のレッスンを終えた。
 それからほぼ二ヶ月後、ステージに現れる一人一人に祈るような気持ちで、座席に着いた。
 今年の出し物は、第一部『夏の夜の夢』。
 第二部がシェイクスピアの作品のなかでほとんど上演されることがない、という『二人の貴公子』であった。
 この作品は『ジョン・フレッチャーとの共作によるシェイクスピア最後の作品とされている』と、プログラムにあった。
 さまざまに謎めいた詮索がされている面白さも手伝って、ついつい舞台に見入ってしまう。

 いずれにしてもこの二作を上手く繋げてまとめあげた大胆さは、若者に許された特権のような出来映えだった。

 ごめん!
 いつの間にか、シェイクスピア劇であることは忘却の彼方に押しやっていた。
 台詞劇+ダンス+殺陣やその他の動き+生演奏+歌がイキイキとして、アクティブでファンタジー溢れる新作ミュージカルを観ていたのだ。
 いや、それでいい!って誰かが言っている。幻聴かな?

 実は、2009年第六回「ハムレット」から見続けている。
 第8回「冬物語」から野口体操を指導して、キャストの面々や演出部の学生と関わらせてもらっている。
 今回で13回の歴史を刻んでいる明大シェイクスピアプロジェクトだが、こうして積み上げるたびに進化を見せていた舞台だ。
 しかし、今年ばかりは大きな地殻変動を感じた。
 先にも書いたが、これまでにない若者の大胆さが随所に現れて、今までにない笑いの渦を巻き起こしてくれた。
 これほど可笑しみに包まれ、幸せだったことはない。
 作者が誰であろうと関係ない。
 芝居として面白かったのである。

 多くのスタッフに支えられての舞台表現である。
 それぞれがそれぞれの持ち場で、若さを爆発させてくれることで成り立つ舞台であった。
 
 ここまで長々と書いてしまったが、一言だけで多くの言葉はいらないのかも……。
 よき夢を見せてもらった!

 パックの独白で、2016年晩秋、一年がかりの幕はおりた。
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