羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

「NPO法人への寄付 税軽く」が意味すること

2010年02月26日 07時54分33秒 | Weblog
 日本の社会では、寄付を行う習慣は根付いていない。たとえば政治家への個人献金をしている人はどのくらいいるのだろう。かく言う私も一切していない。しかし成熟した市民社会を築くには、こうした寄付行為が日常化することも必要だ、と思ってはいる。

 さて、特定非営利活動法人(NPO)に寄付した人への税金の軽減を鳩山総理が指示した、という記事を読んだ。これには賛成している。
 NPO活動には一つの大きな問題がある。それは活動資金をどのように集めるかという課題である。確かに活動内容がお粗末で殆ど休眠状態の法人も多い。資金が集まれば上手くいくというほど甘くはない。しかし、まずは安定した経済基盤が必須であることは誰の目にも明らかだ。
 まず、よい活動を行うには常勤で仕事をする人に対して、社会的な常識に照らしてその人に‘相応しい額’の給料を出す方策を考えたいからだ。そうでなければある一時期の仕事でしかない。現在常勤・非常勤・ボランティア要員にかかわらずNPOで活動してる人は女性が多い。それぞれが持ち出しになっている法人もある。その理由は、言わずもがなである。

 そこでこの税金優遇策は、政府の「新しい公共」の考えを実現する一歩として浮上している。NPO法人が法制化されて今年で12年。その輪郭が見えてきた。まず問題は非営利組織とはいえ継続的な活動を担保するのに財政基盤を整える必要は急務である。
 
 その一方で、これからの新しい社会の常識として視野に入れておきたいことがある。
 たとえば『FREE』クリス・アンダーソン著「非貨幣経済ー金銭が支配しない場所では、何が支配するのか」238㌻~251㌻に書かれていること。
 この章で著者は三つの条件を挙げている。まずは、コミュニティーの一員であることを感じ、その繁栄に貢献したいと思うこと。第二に個人の成長が実現できる。つまり仕事では満たしきれない精神面や知性面の欲求を満たしうる無償労働(行為)を行うことによって自己実現が可能になる。第三に助け合い。創造的に社会とかかわることによって社会貢献の実感が得られ、何かの達人であると認められ、そのことで幸せを感じることができる。
 
 自分の労働や行為に対して金銭的な見返りがかえってくることだけが価値ではなく、自分の力内で出来ることを行う。そこに他者から存在を認められるという報酬があるのは、継続にとって重要な要素である。そうでないと続かないのが人間存在の‘性’でもあるから。

 そこで話をNPO法人活動に戻すと、社会的な認知度が増すに従って、一つ危惧が現実になっている。それは活動が活発になればなるほど、‘官の下請け’‘企業の下請け’として安い賃金で働かされる場にしてはならない。その意味でも寄付に対する税の軽減は一つの方策ではあるが危険もともなう。潤沢な資金をもつ法人は少ないが、潤沢になることによって政府への圧力団体化することも無きにしも非ずである。
 いずれにしても物事はすべて裏表であるから、よい方を見ていきたい。

 時代は変革期。自動車だけではなく、人々の働き方等も従来からの経済活動と非貨幣経済活動を併せ持ったハイブリッドな価値観が求められる時代に入った。これまでのボランティア活動を一歩進めた社会貢献活動を認めていく社会が実際に廻り出すにはもう少し時間が必要だが、扉をひらいて行くためにも、認定法人税を軽くするといった方向性もひとつだ、と思う。
 繰り返すが、圧力団体になったり、疑似企業になったり、安い賃金労働に甘んじさせるNPO法人活動になってはいけないことだけは肝に命じておきたい。
 これからしばらくは、何事も‘ハイブリッドな価値の時代’だという心得もありかも。
 
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