羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

ツーショット

2006年06月18日 20時16分28秒 | Weblog
 グルグルさん、6月15日にいただいた「粘土団子」のコメント、ありがとうございます。

 さて、自然農法の福岡正信さんと野口三千三先生のツーショットがあるのをご存知だろうか。昭和54年(1979年)11月24日・25日の二日間、東京市ヶ谷の自治労開館で開かれた「第一回地湧きの思想大会」でのことだ。
 その記録は翌年の4月に『地湧きの思想➀ ―未来を啓く人間観―』と題して企画した柏樹社から、単行本としてまとめられた。
 この写真は202ページに掲載されている。

 写真を見ると、福岡さんは当時からあまりお変わりにならないようにお見受けする。
 実は、このときの野口先生は、高熱をおして出席された。

「福岡先生ちょっとすみません、ここへ来てください。私の胸と背中に掌を当てて、僕の動きにつれて適当に動いてください。この掌の中の私のからだの中身がどれだけ大きく変化するかを感じ取りながら、中身ですよ、前に曲がりました。相当深くなりました。今度は後ろにそります。中身はほとんど変わらないですね。今度は……《ほとんどまっすぐに立ったまま、前後に波打つような動き》
 一体どちらが効果があるやり方なのか、量多く与えれば効果があるというのか、そんなことはないです。」

 写真は野口先生の右脇に立って、胸と背中を触る福岡さんがからだの中身を感じ取ろうと目をとじているかのように見受けられる姿を写している。

 この動きは、前屈運動と後ろに大きく反り返る運動を一組にして、そのときのからだの中身の変化を最初に確かめる。そして、その感じを記憶してもらう。それから野口体操の「波の動き」を立ったままで行う。みたところは最初の動きに比べて、ほとんど動かないように見える。
 しかし、前後方向に胸の中身が波立つ動きは、比較にならないくらいに、微妙に精緻にそして蠢くのである。柔らかくそして細やかでありながら、手に伝わってくる感触は、大胆な動きでもあるのだ。言葉の上では矛盾がある。しかし、実際に行ってみると、まさにその言葉通りの実感が得られるのだ。

 柏樹社の著者が集まって行われた「第一回・地湧きの思想大会」は、「自然とは何か」を問う企画だった。
「科学文明の中にある人間生活の健全さを回復ため、自然はどのように生かされるべきかを各々の面から提示されたのがこの大会であった」とまえがきに書いておられるのは、独自の教育法を実践しておられる和田重正氏だった。
 そのほかには、竹熊宣孝氏、橋本敬三氏、が壇上に立たれ、司会はNHKの金光寿郎氏。

 一日目は、各氏の講演。
 二日目はパネルディスカッションだった。
 いづれにしても柏樹社がなくなってしまったことは、非常に残念なことだ。
 ステージ上の福岡・野口両氏のツーショットを見ながら、時代という怪物に命運は左右されるものだと、複雑な心境にとらわれている。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 揺変性実験 | トップ | 地湧きの体操 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事