野口三千三は、円・波・渦・螺旋の動きを体操に導入した。
ゆらゆら、にょろにょろ、・・・・揺れる動きが様々な動きのシーンで見られる。
その様子を始めて見た方は、気持ちわるーいという反応を返されることが多い。(実は、私のそう感じた一人だった)
「なんだか、エロティックだわねー」
言葉にしなくても、そうおもう人もおられる。
ところが、野口本人は、さらにもっと微細な動きを求めて、工夫に工夫を重ねておられる。
野口体操の動きのコツがつかめて、気持ち良さが感じられるようになると、最初の印象は一変する。
そこに到達するまでに、時間がかかる人と、かからない人がいる。
理論や身体観や体操が生まれてくる経緯がわかってくると、揺れる動きの意味の深さが頭でもからだでもわかってくる、というわけ。
さて、ここにリンクした動画をご覧いただきたい。『機能解剖学:呼吸に関わる筋肉』。
芸大の三木成夫先生の「呼吸」の話の中の呼吸筋の絵が、時間を超えて動き出したのがこの動画である。
これを見て、思った。
野口体操の動き、そして野口三千三が求めた「もっと微細な動き」は、この呼吸の話に通じてくる、と。
五十肩を患うと、実は、この動画で紹介されている呼吸に関わる筋肉が、ことごとく動きが悪くなって、伸びること縮むこともできない状態が何年にも渡って続いてしまう。
呼吸の質を低下させることになることに気づく。
単純な五十肩は必ず治る。しかし、肩が動かせるようになったら、動かせる範囲で、動かしておくことが肝要なのだ、と動画を見て得心した。
そして野口体操の動きを丁寧に継続すること。さらに野口三千三の時代には、まだまだはっきり教えられなかった「機能解剖学による呼吸筋群」へのアプローチは、野口が求めた微細運動が非常に意味を持つことを改めて知らされた。
からだのこと、からだの動きの奥は深い!