羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

「破れかぶれ」かと思いきや アメリカ大統領選

2020年10月27日 08時44分41秒 | Weblog

日本のニュースでも連日報道されているアメリカ大統領選。

保守派ポピュリストのトランプ大統領は、日毎に、前後の見境もなく乱暴で手に負えない無謀さを見せて追い上げに必死と見受けられる。

そんな折「日経新聞 10月23日付け 大機小機」の記事を読んで刮目したことがある。

刮目、その1

米大統領選について。

『米大統領選 プロレス流観戦法』によると、トランプ大統領はプロレス好きで、2013年には長年の貢献が評価されて米国プロレス団体「WWE(World Wrestling Entertainment)」の殿堂入りを果たしたという。

この団体は世界一のプロレス団体で、年間の売上高は約800億円で上場企業だ。

記事によると、かたき役をはっきりさせて大衆をあおるトランプ流の演説は、プロレスのマイクパフォーマンスを彷彿とさせるという。(昨今では、日本のプロレスでも相手を罵るマイクパフォーマンスが行われている)

1回目のテレビ討論で繰り返された妨害発言も、5カウントまでは反則が許されるプロレス流の戦い方なのだろう、と。さらに、選挙の決着自体を「場外乱闘」に持ち込もうとしているように見える、と書かれていた。

 

刮目、その2

野口三千三の独学法。

この記事をきっかけに、野口三千三が敗戦後の日本で、プロレスが流行り、その戦い方を研究した話を思い出した。プロレス研究の結果

1、「ヨガの逆立ちからまっすぐのまま背中側に倒れる」

2、「机の上にうつ伏せになってズルズルと頭から床に流れ落ちる」

そういったパフォーマンスが、実践される直前の教室は、シーンと静まり返って、静謐な空気が流れていく。目の前で繰り広げられた2つの動き。両方ともに、床に倒れた瞬間に大きな音がして、見ている者は我に返るのだ。立ち上がった野口は、何事もなかったかのように説明を始める。

野口曰く「プロとして闘うレスラーは、試合のたびに怪我をしていたら、生活ができないでしょ。だから真剣に怪我しない方法を体で見つけたわけよ。大きな衝撃音を立てて倒れても、この理論を活かせば怪我は最小限に抑えられるんだ」

つまり、野口体操の「液体的なイメージ」と「触れ合ったところから力を抜く」理論なのだ。床に接した体の部位は、瞬時にして力を抜くことが肝要。そして接したところから、次々順順に倒れていくから怪我はしない。これは「ニョロ転」と呼ばれる動きの基礎感覚である。

 

10月24日土曜日の朝日カルチャーのクラスでこの記事を紹介した。

出席していた新井英夫さんから、アメリカのプロレス興行に接近した日本のプロレスについて、元女子プロレスラーが、誠実にいい雰囲気で語る動画を紹介してくれた。Google検索で「WWE」について、この動画を見てプロレスのエンターテイメントがもつ意味をはじめて知った。

一度は見に行かねばなるまい、と気持ちがはやった。正直に言って雰囲気に呑まれそうな畏れを感じてはいるが、何事も生きているうちである。兎にも角にも、敗戦後に、ごまかしのきかない体で生きる職業の人と交流し、人間にとっての身体運動の基本を探り始めた野口だ。「サーカス」「ダンス」「プロレス」から学んだことが、野口体操に活かされていったことの真の意味が分かりかけてきた。

最後に、「大機小機」の記事に戻ろう。

繰り返しになるが、一見「破れかぶれに見える」選挙戦術は、トランプ大統領の大衆を巻き込む選挙戦術が、プロレス流のやり方だったというわけだ。

バイデン氏が圧勝すれば問題はないが、僅差の結果が出れば、法廷闘争に持ち込まれて、なかなか大統領が決まらないという大乱戦になる。

記事は『この決戦、米大統領選に新たな歴史を刻む名勝負になるのか、大乱戦になるのか。世界が固唾をのんで見守っている』と結ぶ。

長い戦いも、残り1週間に迫った。

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