今週の朝ドラ「エール」は、古山裕一(古関裕而)の友人佐藤久志(伊藤久男)の敗戦直後を描いている。
このところ3週間は、敗戦間際から敗戦後を描き、避けては通れない難しい問題に切り込んでいる。
私ごとだが、私家版「野口三千三伝」を、終戦間近に「東京体育専門学校」に異例の抜擢をされ上京するところまで書き終えた。コロナ禍ということもあって、一旦、休止状態の中、「エール」に釘付けになっている。
ドラマで描かれている戦時歌謡(軍歌)を数多く作曲した古関裕而とその曲を歌った伊藤久男のことは、野口の戦時中を調べたときに知った。つまり、音楽や体操といったソフトパワーで戦争に向かわせる国民運動に協力を依頼された体育体操関係者や芸術家、芸人たちは大勢いる。
体操に関わっていえば、国民の戦意発揚・体力向上を目指して「建国体操」がある。その体操に加えて「建国体操讃歌」や「建国体操前奏歌」もつくられている。作詞 北原白秋 作曲 山田耕筰 ピアノ 園田三郎 歌 伊藤久男 演奏 コロンビアオーケストラ 指揮(号令)大谷武一 録音 テイチク コロンビア
私は「野口体操の会」会報「早蕨」Vol.6で、実名を挙げてこの時代を書き込んいる。
野口の上司となる東京体育専門学校・校長大谷武一。戦後になって野口と関わりを持つモンダンダンスの石井漠 江口隆哉。野口とは関わりはないが、歌手の伊藤久男、こうした人々を結びつけたのが、「紀元二千六百年記念奉祝芸能祭」の立役者だった松本学であった。
そうした背景を思い浮かべながら、欠かさず「エール」を見ている。
朝ドラで、このようなテーマを扱うには相当な覚悟と勇気ある決断がなされたのだろう。そう呟きながら、主人公の裕一に野口三千三を重ねて見ているだけに、生きる道に迷う久志にも複雑な思いを抱く。
戦後75年という歳月が必要だったのか。
実は、昭和18年に群馬師範学校で野口に体操を習ったという中里春太郎さんは、昨年2019年に亡くなられている。
戦争を体験した多くの方々が、鬼籍に入られた。。。。。。
これほど真剣に朝ドラを見たことはない。
何と言っても「エール」を見終わるとしばしグッタリしつつも、内容を体に染み込ませて、次に書く「三千三伝」の中身を考え続けている・・・・。
キーボードを打つ指が、ますます重くなっていくような気がしている。