昨日、父の十七回忌法要を無事に終えた。
主役は父であったのだが、全体を通して母の存在がひときわ大きかった。
終わってみると「93歳 母の元気を祝う会!」となった。
本堂でのお焼香もしっかり行い、お墓参りも寒がることもなくみんなと一緒に手を合わせていた。
会食の段になると、「おいしいわー」を連発。
ほとんど完食であった。お箸を器用に使って、残された歯でしっかり噛んで、嚥下の際にも危なげない。
終盤になって、甥っ子たちに囲まれて、大きな声で会話し笑いをとっていた。
思えば、参加してくださった皆さんは70歳代で、80歳に手がとどく方もいる。
私としては半ば冗談で、母の“生前葬”を兼ねるような気分で準備していていたが、とんでもなかった。
結果として“元気な母を祝う会”となった。
生きている者は強いなー。
生きているということは、こういうことなのだ!
実は、日曜クラスの方にアドヴァイスをもらった。
お言葉に従って、一時間から利用可の外出介護サービスを頼んだことは正解だったことを特筆しておきたい。
車椅子での移動、車椅子から昇降機への乗り換え、食事やトイレの世話など、全てをこなしてくれた。
介護資格を持つ男性スタッフの方にすっかり世話になって、母は終始ご機嫌だった。
こうしたサービスを受けることは、母だけでなく親戚の方々にも、安心感という「おもてなし」となった。
老老介護も当たり前の高齢化時代に、新たなニーズが社会のあり方を変えていくことを実感した。
思いがけず主役となった母は、介護タクシーの車中から、介護の方はもちろん、親戚の皆さんに、両手を大きくふって、にこやかな笑顔でお別れしていた。
「お母さんをよろしく!」
父が私に託した最後の願いを、こうした形で果たせたことに安堵することができたことは、幸せこの上ない。
「お帰りなさい」とロビーで母に声をかけて、迎えてくれた施設の方々に「ただいま」とはっきり挨拶。
「いかがでしたか」
「とっても、楽しかった! 今度は遠くに出かけたい」と曰う。
こんな風に生きている者を生かしてくれたのは、父だった。
十七回忌法要は、母にとっても私たちにとっても、格別に意味深い行事となった。