電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

宮城谷昌光『新三河物語(下)』を読む

2012年10月16日 06時05分00秒 | -宮城谷昌光
新潮文庫で、宮城谷昌光著『新三河物語(下)』を読みました。徳川家康の家臣団の中で、大久保一族が果たした役割と功績と、それに対してどのような結果が待っていたかが描かれます。

功績に対して恩賞が与えられるのは、普通に納得できますが、どうも家康の場合には、執念深いと言うか恨みを決して忘れないというか、あまり良い印象を受けません。肌合いの違いすぎる武将を組み合わせて差し向けるなどというのは、人を見る目がないか、戦略的に双方の潰し合いに持ち込もうという魂胆かと思ってしまいます。

大久保彦左衛門忠教(平助)は、松平家を中心とした三河武士の事績を書き綴り、これが『三河物語』となります。大御所や将軍も密かに読みますが、訂正は命じられません。許容範囲であったと言うべきか、それとも懐かしむ気持ちがまさったと言うべきか。

歴史は勝者が書くと言われますが、勝者の側にもいろいろあるもので、そう簡単に、一筋縄ではいかないものなのでしょう。なかなか複雑な読後感です。

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念願のツバメノートが届く

2012年10月15日 06時02分14秒 | 手帳文具書斎
先に発注していたツバメノートが届いたと連絡があり、文具店に受け取りに行ってきました。10冊単位で梱包されており、しっかりしたクラフト紙で包装されています。包装を外し、一冊ずつ出してみると、昔ながらの大学ノートの風情です。外観としては、背の部分にラベルがあり、年度や冊数を記載することができます。



また、紙色は白色で、昔の大学生協のツバメノートがクリーム色をしていたのと比べると、やや異なる製品シリーズのようですが、紙質はやはりツバメ・フールス紙のようです。



実際に、各種の万年筆やボールペンで試し書きをしてみると、その書き味に感嘆してしまいました。



裏抜けは皆無ですし、裏写りはほとんど感じられません。



コクヨのキャンパスノートの無線綴じに対して、こちらは糸綴じが特徴的です。A5判横罫50枚の10冊で 1,790円でしたので、単価は @179円 ということになります。同程度の枚数のキャンパスノートに比較すると、何割か高めですが、この書き味ならば十分に納得です。今後、主に万年筆用として、このツバメノートを愛用していきたいと思います。
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山形弦楽四重奏団第45回定期演奏会でハイドン、幸松肇、モーツァルトを聴く

2012年10月14日 11時16分44秒 | -室内楽
週末の土曜日、朝から某行事に参加し、なんとか午後には終わったので、夕方から山形弦楽四重奏団第45回定期演奏会に出かけました。会場の文翔館議場ホールに少し早めに到着し、18時15分からのプレコンサートを聴くことができました。

プレコンサートの演奏は、山形交響楽団に所属するお二人、斎藤真美さんのオーボエと田中知子さんのヴィオラの二重奏です。オーボエとヴィオラの音が、こんなに似合うものだとは、初めて知りました。曲はピアラ?の二重奏曲だそうですが、作曲家の名前も初めて耳にするものでした。なかなかすてきな音楽でした。

プレコンサートトークは、中島光之さんです。今回のプログラムでは、ハイドンとモーツァルトが貴族の使用人の身分を脱し、自由な音楽家として書いた作品であるという点で共通点があり、モーツァルトが先輩ハイドンに献呈した六曲の「ハイドン・セット」から第15番のニ短調の曲と、後輩モーツァルトよりも長生きしたハイドンが後年に書いたOp.71-1 を取り上げています。貴族の束縛下から自由になってと言いますが、貴族が悪いわけではなくて、モーツァルトの最初の大旅行の際には前任のザルツブルグ大司教の絶大な援助により実現したそうですし、ハイドンの音楽活動はエステルハージ侯爵なしには考えられませんけれど、と注釈を加えます。このあたりは、学習塾講師の経験もある中島さんらしい、さすがの「講義」ですね(^o^)/
ところで、当日は、幸松肇さんご自身が来形されており、直接お話をお聞きすることができました。「最上川舟唄」では、三つの民謡が合わさって成立したという経緯を踏まえ、実際に舟下りを体験して作曲したこと、「箱根八里」では雲助も登場するなど、楽しんで書かれたようです。前二作とはいささか違って、原曲を解体し、自由なイメージで作られたとのことでした。

さて、演奏が始まります。最初に白状してしまいますが、今回の定期演奏会は、素人音楽愛好家のささやかなライブラリの盲点をついた、「LPやCDを持っていない曲ばかりを集めた」プログラムになっています(^o^;)>poripori
そんなわけで、レポートとしてはいささか内容の薄いものになりますが、これは当方の個人的事情であり、演奏の内容をいささかも軽んじるものではありませんm(_'_)m

1曲めはハイドンの弦楽四重奏曲変ロ長調、Op.71-1 です。
第1楽章:アレグロ、第2楽章:アダージョ、第3楽章:メヌエット~アレグレット、第4楽章:フィナーレ~ヴィヴァーチェ、演奏時間は約28分。作品番号の若い曲の場合、風通しの良いシンプルな良さの半面、とくにチェロの活躍の場面などでいささか「歯ごたえ」に不満を感じることもあるハイドンの弦楽四重奏曲も、このあたりになるとぐっと音楽の充実を実感します。

続いて2曲めは、幸松肇「弦楽四重奏のための日本民謡第3番」です。
(1)「箱根八里」。チェロが歌うとき、気宇の大きさを感じます。途中に、リズミカルな部分が出てきますが、雲助というのはこのあたりかな?
(2)「佐渡おけさ」。ああ、おけさ節だとすぐわかる始まりです。どちらかというと哀調の音楽である原曲のイメージを受け継いでいるようです。チェロが旋律を歌うときや、ピツィカートでお琴や鼓のような効果を聞かせるところも。
(3)「最上川舟唄」。チェロと二丁のヴァイオリンが指でリズムを刻む中で、ヴィオラが歌い出す、あそこはほんとに見せ場で、堂々としていてかっこいいです。それを演奏するのが、「最上川舟唄発祥の地」大江町在住の倉田譲さんというところが、実によくできています(^o^)/
それを受ける第2ヴァイオリンも、いいですね~。「酒田~サァ行ぐ~サゲェ~」を1st-Vnが。ここも実にいいですね~。そして「ヨ~イサノマガセ~」等が四人のアンサンブル。急流も乗り切って、いいですね~!
(4)「鹿児島おはら節」。「花は霧島、タバコは国分~、燃えて上がるは~オハラハァ桜島~」ですね。「ヨイヨイヨイヤサ!」まで、東北の地ではあまり馴染みは深くないけれど、フィナーレにふさわしい曲となりました。

ここで15分の休憩です。うにさん(*)がおられたのは気づきましたが、芸術の秋とはいえ、聴衆は決して多いとは言えません。当方も、前売券を入手する機会もなく、妻を誘ってもいろいろあるようで、単身ばたばたと当日券を目当てにやってきた状態でした。チケットの入手先も、富岡楽器店と辻楽器店に限られますので、多忙な時期には「ほぼ無理」。ドタキャンがありうる不安定なスケジュールでは、メンバーの方々に直接依頼するというのも心苦しく、このあたりはなかなか難しいところです。



それでも、文翔館の無料駐車場(*2)には「仙台」ナンバーの車も見られ、けっこう遠方からのお客様もおられるようです。本当に貴重な演奏会ですので、大切にしたいものです。

後半は、3曲めのモーツァルトです。弦楽四重奏曲第15番、ニ短調K.421です。
第1楽章:アレグロ・モデラート。同じ古典派とはいえ、ハイドンとは異なる個性です。きめこまかな、充実した音楽。第2楽章:アンダンテ。緊張、集中、没入、といった語彙がふさわしいかも。第3楽章:メヌエット、アレグレット。2nd-Vn と Vla,Vc のピツィカートをバックに、1st-Vnがリズミカルに奏するあたりがやけに印象的。第4楽章:アレグレット・マ・ノン・トロッポ。あらためて言うのもなんですが、いい曲ですね~。

アンコールは、生誕150年を記念して、ドビュッシーの弦楽四重奏曲から第2楽章を。近代の精華とも言うべき曲の、活気ある音楽、気合の入った演奏でした。あらためて、いい曲だな~と感じました。うん、家に帰ったらドビュッシーを聴こう、と思いました。

だって、ハイドンのOp.71-1もモーツァルトの第15番も、CDもLPも持っていないんだもの(^o^)/

(*):うにの五線ノートから~山形在住の作曲家・木島由美子さんのブログ
(*2):文翔館の無料駐車場~ふだんは17時までですが、議場ホールで演奏会のある日は21時過ぎまで利用できるようです。

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土曜の夜は山形弦楽四重奏団第45回定期演奏会へ

2012年10月13日 06時02分43秒 | -室内楽
週末の土曜日に、ようやくたどりついた、という気がします。
今日は、山形弦楽四重奏団の第45回定期演奏会の予定です。今回のプログラムは、

(1) W.A.モーツァルト 弦楽四重奏曲第15番 ニ短調 K.421(417b)
(2) 幸松肇 弦楽四重奏のための4つの日本民謡第3番
   ~箱根八里・佐渡おけさ・鹿児島おはら節・最上川舟唄~
(3) F.J.ハイドン 弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.71-1

というもの。私としては、幸松肇さんの「弦楽四重奏のための4つの日本民謡第3番」がまず期待大ですし、全曲演奏を目指すハイドンと、モーツァルトのニ短調も楽しみです。
会場は、山形市の文翔館議場ホール、開場/18:00 開演/18:45~
そして 18:15 より、◆プレ・コンサート◆ として、齋藤真美さん(Ob)&田中知子さん(Vla) の演奏も予定されているとのこと。



また、偶然にも山形県立博物館の特別展「出羽国成立1300年」公開初日に当たっているようです。せっかくですので、なんとか某行事を無事に済ませて、できればこの展示も観てみたいものです。

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太字ボールペンには適さないが細字の万年筆には適している古いリフィル

2012年10月12日 06時05分51秒 | 手帳文具書斎
ずっと前、たしか1980年代の末期に、市販のシステム手帳用リフィルを集めて試していた時期がありました。この頃に購入したもので、ENXS の横罫ノート(B)徳用(200枚)というものが残っています。451-EYN という型番で、定価は450円というものです。ごく薄くて軽い用紙を使用しており、当時おもに使っていたヴァレンチノ・デザインの、書き味の重い油性ボールペン(パーカー互換リフィル)の太字・黒では、裏写りもあれば筆圧のため紙裏まででこぼこになるほどで、あまり使わずにたくさん残っていました。



プレラ万年筆の細字(F)及び中字(M)で、色彩雫シリーズの「紺碧」や「朝顔」を使うようになって、このリフィルを試してみたところ、裏抜け・裏写りもせず、充分に使えます。万年筆では、紙の裏まで筆圧のために凹凸ができるということも起こりませんし、紙面もたいへんきれいです。意外に良好なので、驚きました。ボールペン記入が想定され、万年筆では裏抜けが甚だしい紙質のリフィルが多い現在から見ると、販売元の会社は厳しい運命に直面したようですが、そうか、この頃はまだ万年筆を想定した製品作りがされていたのかと、再発見する思いでした。残りを大事に使いたいと思います。

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「文具」という分類は日本十進分類法にはない

2012年10月11日 06時01分57秒 | 手帳文具書斎
昔の文筆家の文章にも、文具に関するものはけっこうあります。青空文庫にある、夏目漱石の「余と万年筆」(*)をはじめ、随筆集などを開くと、けっこうな数があるようです。想像するに、題材に困ったとき、手元で愛用する文具について書くことで、原稿用紙の枡目を埋めることができた面もあるのでしょう(^o^)/

ところで、図書館で「文具」というジャンルの本を探していて、実は日本十進分類法に「文具」という区分はないことに気づきました。図書館によってまちまちなようですが、どうも「生活」のあたりにあることが多く、ときどき「産業」にあることも。うーむ、あまりに身近過ぎるのか?

(*):夏目漱石「余と万年筆」~青空文庫より

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モーツァルト「ピアノ協奏曲第16番」を聴く

2012年10月10日 06時04分21秒 | -協奏曲
通勤の音楽に、引き続きモーツァルトのピアノ協奏曲を聴いております。今回は、第16番ニ長調K.451 を取り上げます。

この協奏曲については、1784年5月15日付けの父親宛の手紙で、「リンツ」交響曲と共に4曲の協奏曲を郵送したことを知らせており、第14番ホ長調K.449と、このCDに収録の3曲(第15・16・17番)がそれだとのことです。第14番(*1)、第17番(*2)についてはすでに記事にしておりますので、今回は第16番を。

楽器編成は、Fl(1),Ob(2),Fg(2),Hrn(2),Tp(2),Timpに弦5部と、この四つの協奏曲の中では大きい方です。モーツァルトのピアノ協奏曲の場合、楽器編成の大きさと曲の音楽的な楽しさとは必ずしも関係が薄く、物量作戦よりも少数精鋭のほうが効果的なようです。

第1楽章:アレグロ・アッサイ、ニ長調、4分の4拍子。協奏的ソナタ形式というのだそうです。オーケストラによる活発なリズムが総奏で強く始まり、ワクワクするような元気の良い音楽が始まります。ピアノが入ってくると、いかにも華やかな雰囲気が漂います。フルートと呼び交わすあたりはいかにも親しげで、さらりと転調するあたりはいかにもチャーミング。
第2楽章:アンダンテ、ト長調、4分の4拍子。ロンド形式。こちらもまた、優しくチャーミングな音楽。
第3楽章:アレグロ・ディ・モルト、ニ長調、4分の4拍子。ロンド・ソナタ形式。いかにも輪舞という風な出だしで、ピアノのリズムも快活、元気。ロンド主題はフルートと第一ヴァイオリンを中心に提示されます。活気ある音楽。結尾も元気いっぱいです。

私にとって、モーツァルトのピアノ協奏曲は、ほぼどの曲も無条件に楽しめるものですが、一方で20番台の曲とは違って、10番台の協奏曲は、番号と曲とがすぐに一致して思い浮かぶほど強烈な個性を発揮するものではなく、むしろピアノを演奏する人が、一曲一曲の違いを感じ取り、それぞれを個別に評価できるものかもしれません。素人音楽愛好家である当方は、CD全集をひっくり返しながら繰り返し聴き、社交的で快活なモーツァルトの音楽の魅力を感じ取っているところです。それはまた楽しい時間です。

演奏は、DENON の紙箱全集から、アンネローゼ・シュミットのピアノ、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルハーモニック管弦楽団。1975年2月1~2日の2日間で録音されているようです。録音場所は、当時はまだ東独のドレスデン、聖ルカ教会で、アリオラ・オイロディスク社原盤です。

参考までに、演奏データを示します。
■アンネローゼ・シュミット(Pf)、マズア指揮ドレスデン・フィル
I=10'05" II=6'10" III=6'25" total=22'40"

(*1):モーツァルト「ピアノ協奏曲第14番」を聴く~「電網郊外散歩道」2011年5月
(*2):モーツァルト「ピアノ協奏曲第17番」を聴く~「電網郊外散歩道」2012年9月

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コクヨのキャンパスノートで万年筆がスリップする件について

2012年10月09日 06時09分42秒 | 手帳文具書斎
コクヨのキャンパスノートは実に優等生のノートで、鉛筆にもボールペンにも適し、万年筆でも裏写りや裏抜けしにくい紙質なのに、安価で経済的で、国産ノートの品質水準を代表するものです。

ところが、最近、万年筆で書いていて、何度かスリップ空転するような現象に見舞われました。書こうと思っても、ツルツル滑ってインクが乗らず、ノートの別の箇所から書き始めてようやく続けられた、というような現象です。

そういえば、思い出しました。ずっと以前、大学に入学したての頃に、使っていたノートに万年筆で書いていたときにもその傾向はあって、それで大学生協ブランドのツバメノートを愛用するようになったのでした。しばらくしたら、大学生協も仕入れ値が折り合わなかったのか、ツバメノートから別会社に変更することになってしまい、買いだめした記憶があります。

手帳には主にジェットストリーム・ボールペンで書いていますが、最近は備忘録に万年筆を多用しています。意を決して、A5判横罫のツバメノートを、行きつけの文具店に10冊まとめて注文しました。入荷したら電話で連絡が入ることになっています。およそ35年ぶりにツバメノートを常用することになったら、どんな感想を持つのか、興味津津です。

うーむ。歴史は繰り返すのか。


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車のマップ照明を消し忘れバッテリー上がりか!?と思ったら

2012年10月08日 06時01分29秒 | 散歩外出ドライブ
土曜の山響モーツァルト定期の後で、夕食は食べていこうということになり、再度「ピザリア」に行きました。ふだんは日中に行くことが多く、夜の時間帯は営業しているかどうか不安だったのですが、予約がけっこう入っているようで、開いている席になんとか座ることができました。

妻と二人で頼んだのは、例によって「季節の野菜ピザ」と「気まぐれ野菜パスタ」。




変わらぬ美味しさに満足して帰宅しました。

たぶん帰宅直後に、探し物をしてマップランプを点けたのだろうと思います。それをうっかり消し忘れてしまい、明け方に妻に車の中が明るいと起こされる羽目になりました。

しまった!室内灯を点けっぱなしにしてしまったか!と大慌てで車のドアを開けてマップランプが点灯していることを確認。自分の不始末だから、バッテリー上がりもしかたがないと観念し、まずは明るくなってからと二度寝(^o^)/

ところが、日が高く登った頃にエンジンをかけてみると、問題なくエンジンがかかりました。あ~良かった!ルームランプなら、普通の電球タイプなので、バッテリー上がりは必至だったでしょうが、マップランプは省電力の白色LED だったために、バッテリー上がりを免れたということなのでしょう。日中にできるだけ走り回り、充電を心がけましたが、思わぬところで省電力・省エネルギーの恩恵を感じた「事件」でした。

うーむ、電気を大量消費することを前提にするのでなく、省エネ・省電力を徹底追求することには、実は思いがけないプラス効果もあるのではと、思わず考えさせられてしまいました。

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山響モーツァルト定期Vol.17でピアノ協奏曲第27番と交響曲第13・15番を聴く

2012年10月07日 06時02分58秒 | -オーケストラ
先日来、多忙な生活の中で楽しみにしていた演奏会、山響モーツァルト定期Vol.17で、小菅優さんのピアノでピアノ協奏曲第27番、それに交響曲第13番と第15番を聴くことができました。

週末の土曜日、午前中に老母を眼科に送り、それから作業小屋の片付けを始めて大汗をかき、スピードスプレーヤをカーポートから作業小屋に移しました。これで、同居の娘が新車を購入しても大丈夫になりました。そんなこんなで、やっぱりバタバタと出かけることになり、会場の山形テルサホールに到着したのは三時頃となってしまいました。なんとか席もとれて、妻は駅ビルで少しお買い物をして、恒例の飯森範親さんの曲目解説を聴きました。

本日の曲目は、

モーツァルト作曲
(1) 交響曲 第13番 ヘ長調 K.112
(2) ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595、 Pf:小菅優
(3) 交響曲 第15番 ト長調 K.124
指揮:飯森範親、演奏:山形交響楽団

というものです。

最初の交響曲第13番では、Ob(2)、Hrn(2)、Fg(1)、そして弦が 8-8-5-5-3 の対向配置かと思っていましたが、2曲目の協奏曲で、右手の第2ヴァイオリンが9らしいと気づきましたので、もしかしたら13番でも2nd-Vnが9だったのかもしれません。
モーツァルトが第2回イタリア楽旅の途中、1771年の11月にミラノで作曲されたもののようで、16歳直前のモーツァルトの意欲作と言ってよいのでしょう。

第1楽章:アレグロ、4分の3拍子。会場のざわつきを嫌ったか、指揮者はなかなか指揮棒を上げません。演奏の始まりまでしばらく待ちましたが、モーツァルトの交響曲の始まりは、やっぱり颯爽、堂々としています。
第2楽章:アンダンテ、変ロ長調、4分の2拍子。弦楽のみで演奏されます。強弱をつけて演奏されますが、山響弦楽セクションの、なんとも繊細な響きに魅了されます。
第3楽章:メヌエット~トリオ、あれれ、と思っているうちに終わった感のある短い楽章でした。
第4楽章:モルト・アレグロ、8分の3拍子。ロンド風の、いたって速い楽章です。このあたりは、作業の疲れが出たか、気持ちよくて(^o^;)>poripori

続いて2曲目は、ピアノ協奏曲第27番(*)。ピアノが中央に引き出され、メンバーが再登場します。ホルンはナチュラル・ホルンのようで、交換用の丸い管も一緒に抱えています。交響曲第13番の楽器編成と比べると、オーボエ(2)、ホルン(2)にフルート(1)やファゴット(2)も加わっています。2nd-Vnは9のようです。

今回のソリストの小菅優さんは、現在はヨーロッパを本拠地にして活躍されていますが、在住はミュンヘンだそうで、山響にようやくお招きできたとのこと。

第1楽章:アレグロ、変ロ長調、4分の4拍子。山響の弦セクションの始まりは、サイダーがシュワシュワいうような音。歌うような弦の主題に、管が加わります。独奏ピアノが入ると、ご機嫌なピアノと弦トップのアンサンブルとの室内楽的な味も。このあたりは、音楽監督がたびたび試みているところです。独奏ピアノとオーケストラの協奏により曲調が高まりさらに高まる中で、フィッと力が抜けて音が消えていくのを楽しむような場面も聴かれます。ピアノが転調すると、オーケストラが鋭い音で答えたりします。双方の感度充分です。
第2楽章:ラルゲット、変ホ長調、2分の2拍子。夢見るような独奏ピアノから始まります。ホルンに続き、オーケストラも憧れを歌うかのように。ピアノ独奏はなお夢見るように繰りかえされますが、オーケストラは威嚇的な響きを聴かせたりもします。ピアノと弦トップとの室内楽的な効果も再び試みられ、曲はむしろロマンティックと言いたいほどの雰囲気です。
第3楽章:アレグロ、変ロ長調、8分の6拍子。くるくる回る輪舞のような軽やかな音楽です。オーケストラの感度は良好で、演奏する小菅さんの表情は、いかにも楽しそうで嬉しそう。スキップするようなリズムで駆け回るかと思うと、微妙に曲調を変えたりして、楽しく多彩な演奏となりました。いや~、素晴らしい!

聴衆は、もう拍手、拍手、拍手。これに応えて、アンコールはシベリウスの「樹の組曲」から「もみの木」Op.75-5 とのこと。これがシベリウスらしい静謐な音楽で、実に素晴らしかった。拍手が鳴り止まず、小菅さんは何度も呼び出されます。アンコール二曲目は、ショパンの「革命のエチュード」でした。これも唖然とする見事さでした。



ここで、15分の休憩となります。休憩の後の第3曲目は、交響曲第15番。
楽器編成は、フルートが退き、Ob(2)-Fg(1)-Hrn(2) という管セクションに、弦は 1st-Vn(8), 2nd-Vn(9), Vla(6), Vc(5), Cb(3) というものです。おそらくファゴットは、チェロの隣に位置するところからみても、低音部の補強のような役割を負っているのでしょう。

第1楽章:アレグロ、4分の3拍子。歯切れよさを感じます。第2楽章:アンダンテ、ハ長調、4分の2拍子。ホルンの管を交換したのでしょうか。指揮ぶりも縦の動きを多用しているように感じられます。第3楽章:メヌエット~トリオ。第4楽章:プレスト、4分の2拍子。この曲は、南国イタリア風というよりはより中欧ドイツ風で、第13番よりも短く感じました。

後半がずいぶん短かったためか、飯森さんが珍しくアンコールに応えてくれました。先の交響曲第13番の第2楽章、あの実に優しいアンダンテで、山響の弦楽セクションの実力を遺憾なく発揮した演奏を堪能しました。

終演後のファン交流会では、NHK山形放送局の山田アナウンサーが登場し、小菅さんのインタビューを敢行!なかなか上手な、と言ったらプロに対して失礼でしょうね(^o^)/




むしろ、ファンが聞いてもらいたいことを代弁してくれた、というようなインタビューでした。山田アナウンサー、ありがとう(^o^)/

(*):モーツァルト「ピアノ協奏曲第27番」を聴く~「電網郊外散歩道」2008年11月
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本日は山響モーツァルト定期です。

2012年10月06日 06時02分24秒 | クラシック音楽
ようやく週末となりました。やれやれ、バタバタと忙しい一週間でした。よく働いた分だけ、ゆっくりと休むようにしましょう。本日は、午後から山響モーツァルト定期です。16時から、山形テルサホールにて、曲目は:

モーツァルト作曲
(1) 交響曲 第13番 ヘ長調 K.112
(2) ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595、Pf:小菅優
(3) 交響曲 第15番 ト長調 K.124
指揮:飯森範親、演奏:山形交響楽団

という予定です。

さて、朝のコーヒーが美味しい。午前中は、老母を眼科に連れていき、合間にリンゴの手入れでもいたしましょう。

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文具の話題は、結局は購入記録になる?

2012年10月05日 06時02分03秒 | 手帳文具書斎
当ブログの文具の話題は、「買いました」「使ってみました」「結果はこうでした」というものになりがちです。「だから何?」という気もしますが、文具というものは、基本的にそういう性格のものだ、ということなのでしょう。

もっとも、そんなことを言ったら、読書記録だって、「買い(借り)ました」「読みました」「感想はこうでした」という性格のものだとも言えます(^o^)/

むしろ、ある製品はなぜ使い続けているのか、別の製品はなぜ使うのをやめてしまったのか、などのほうが興味深いものがあります。文具の話題は、趣味性と実用性のバランスにポイントがありそうです。

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週末農業ではない、本格農業の実態

2012年10月04日 06時02分45秒 | 週末農業・定年農業
果樹園の草刈りをしていたら、酪農を営む専業農家の同級生が大型トラクターでやってきて、稲刈りの終わった田んぼでワラ集めをしていました。いやはや、すごいのなんのって、週末農業従事者には驚きの作業です。台風が近づいていることもあって、今日中にワラ集め作業を終えなければいけないとのこと。昨日は深夜まで作業をして、時間との戦いだと言っていました。



30年ほど前は、バインダーが稲を刈り、結束して脇にポンと置いていくやり方でした。それを人手で集め、稲杭に掛けて天日乾燥します。ある程度乾燥したら、トラックや耕運機で自宅の作業小屋まで運搬し、脱穀をします。するとたくさんワラが出ますので、これを酪農家が集めに来るというスタイルでした。

酪農家にとって、稲ワラは冬の飼料であり、牛の寝床でもあり、欠くことのできない大切な材料です。当地山形は雪国ですので、稲ワラは大きな作業小屋に山積みにして保管します。冬もお天気が続く太平洋岸では、あわてて稲ワラを集める必要もないということから、田んぼに放置されていました。それが、福島原発事故により、放出された放射性セシウムに汚染されてしまい、購入して食べさせていた牛が内部被曝して、大問題になりました。

そんな事情から、山形県内で稲ワラを自給する体制づくりを急いでいるのでしょう。台風の接近と競争しての深夜労働は、残業手当てが出るわけでもなし、大変なものです。なんとか健康で乗り切ってほしいと願いつつ、のんきな週末農業ではない本格農業の実態について、認識を新たにいたしました。

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通勤帰りに田んぼ道の真ん中で走行距離が10万キロを超える

2012年10月03日 06時03分27秒 | Weblog
この五月に、88,888kmというゾロ目を記録(*1)していた愛車、日産ティーダ・ラティオ(TIIDA Latio)セダンの走行距離が、過日、ついに100,000kmを超えました。10万kmに達したのは、通勤帰りの夕暮れの田んぼ道でしたので、遠慮なく路肩に寄せて、積算距離計の表示をカメラに収めました。



初登録し乗り始め(*2)てからはおよそ5年と8ヶ月。月平均走行距離は、およそ1500kmほどになります。年に直せば約18,000kmでしょうか。この一年半の長距離通勤が、積算距離計のメーターの伸びにだいぶ貢献したようです。

薄暮の田舎道で、モーツァルトのピアノ協奏曲をバックに、しばし感慨にふけりました。この車で、さらに11万、12万kmと走っていくことでしょうが、無事故無違反、安全運転を続けていきたいものです。

(*1):走行距離が88888kmになりました~「電網郊外散歩道」2012年5月
(*2):新車で散歩~「電網郊外散歩道」2007年1月

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宮城谷昌光『新三河物語(中)』を読む

2012年10月02日 06時03分36秒 | -宮城谷昌光
新潮文庫の宮城谷昌光著『新三河物語』(中巻)を読みました。この巻は、東三河から今川の勢力を一掃し、力をつけてきた家康に対して、甲斐の武田信玄が動きます。織田信長も、武田信玄に対しては、真っ向から対戦しようとはしません。三方原で一蹴された家康でしたが、信玄が病に倒れ、息を吹き返します。

大久保一族では、前巻で器の大きさと渋い味を見せた常源が後方に退き、忠員の子・忠世と忠佐が中心となって奮戦しますが、平助が成長し、器量の大きさを見せ始めます。この平助こそ、本書の中心的な主人公と言ってよいのでしょう。

小説としての陰影をもたらしているのが、一向一揆の際に家を去った妻と娘を探し続ける忠佐の姿でしょうか。変名を用い、怪しげな法体の男の姿がちらつく妻に、割り切れない思いを持ちつづける壮年の男の姿は、ドラマティックです。実父か養父かわからぬ父・忠佐を慕って、ともに暮らすことを望んだ娘おやえの存在が、貴重です。

武田勝頼の描き方は、なんともお気の毒。武田家を滅ぼした人ですから、後世の人には厳しく評価されるわけですが、まあ、若気の至りでしょうなあ。

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