電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

マーラー「交響曲第4番」を子守唄にした子が

2005年06月18日 21時30分39秒 | -オーケストラ
先年、上の子どもが結婚した。この子が小さいときはまだLP時代だったので、回転するレコードプレーヤーに「おいたをしちゃダメよ」と言い聞かせるくらいではすまない。仕方なく、ホーレンシュタイン指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏をカセットテープに録音し、ラジカセで聞くようにした。これで、レコードの損傷もカートリッジの破損も防止できたが、幼児の頃には「子守唄の音楽」とか言っていたのに、ずいぶん大きくなってから「この曲の記憶ある?」と聞いたら、「全然。」だそうです。
マーラーの四番を子守唄がわりにした父親も父親だが、全く記憶にないと答える子どもも子どもだ。それでいて、小~中学校とピアノを習い、高校では合唱に夢中になり、今も社会人コーラスに所属しているから、音楽に興味関心がないわけでもないのだ。
要するに、幼児期に何かをすると、それが脱脂綿が水を吸収するように影響を与えるわけではない、ということ。
このLPには「レコードから無断でテープその他に録音することは法律で禁じられています」と表示されているが、結局、狭いアパート暮らしの子育て期に、父親がクラシック音楽の趣味を断念せずにすんだのは、LPレコードのカセット・ダビングのおかげだった、ということだ。物事は、意図したとおりにはならず、結果的になるようになる、ということか。

マーラーの四番、最初の経験は図書館から借りた、レリ・グリスト(ソプラノ)のバーンスタイン盤だった。これが新鮮な感動で、はまった。その後、東芝のセラフィム・シリーズの中からこのホーレンシュタイン盤を見つけ、マーガレット・プライスのソプラノ独唱で楽しんだ。CD時代になってからは、デンオンのデジタル録音でエリアフ・インバル指揮フランクフルト放送交響楽団による演奏を購入し、自然な録音の良さにも驚いた。アナログ時代の録音だが、ハヨーショヴァーのソプラノ、ノイマン指揮チェコフィルの録音なども好きな演奏だ。

マーラー「交響曲第4番」を子守唄にした子が、先ごろ子どもを産んだ。出産前にしばしば聞いていたのがプッチーニ「蝶々夫人」だそうで、をいをい、大丈夫かい、と聞きたくなったところだが、無事出産できたようで、まぁ、いいか~。当方もめでたくジイサンの仲間入りをした次第。
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興味深い実験

2005年06月18日 18時52分12秒 | コンピュータ
海外の誰かが「音楽のバトン」と称することを考えたらしい。好きな音楽などの質問に答えて、次の5人に渡す、というものだ。チェーン・メールならぬチェーン・ブログである。
興味深いというのは、これが何回続くかによって、ネットワークにおける人間関係の規模が推定できるからだ。
一般に、発信元を親(第0世代)とすると、子(第1世代)は5人になる。孫(第2世代)の人数は、5人がそれぞれ5人に伝えるので、5の2乗、すなわち5^2となり、同様に第n世代では5^nとなる。もし、日本のブログ人口が300万人とすると、3×10^6であるから、このバトンが全員に渡されるのは
5^n=3×10^6
となる。この常用対数をとれば、
n×log5=log3+6
となるので、log5=0.699, log3=0.477 を代入すると、
n=(6+0.477)/0.699=9.3
すなわち、第9世代でほぼ300万人に達するという計算になる。理論上第14世代で地球上の人類の数を突破するはずだ。
しかし、日本のクラシック音楽愛好家で、かつブログを主催している人口というのはもっとずっと少ないことが予想されるので、たぶん数回で同じメンバー間の堂々巡りになる可能性が高い。
むしろ、トラックバックやリンクが激増することを考えると、サーバの負担は大丈夫なのだろうかと素人ながら心配になる。この興味深い実験を、ややハラハラしながら眺めているところだ。
たいへん申し訳ありませんが、私は参加しませんので指名しないでください。遊びだというのはわかってますが、無粋でどうもすみませ~んm(_'_)m
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大木正興氏とダイヤモンド1000シリーズのこと

2005年06月18日 17時57分35秒 | クラシック音楽
私の小規模なコレクションの中に、日本コロムビア社の「ダイヤモンド1000シリーズ」のパンフレットがある。たぶん、1970年ごろのものと思われるが、ベートーヴェン生誕200年で、アルフレッド・ブレンデルの演奏するピアノソナタ集か何かに添付されていたものであろう。
この裏面に記載されている、大木正興氏の推薦文が、実に味わい深い。「幅の広い音楽体験を持つために」と題して、ある物故した指揮者の演奏こそが絶品だとして古い録音を集め、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲すらしらないという偏狭なレコードマニアを戒め、こんな言葉を残している。
「音楽を本当に身近かなものとして受取るためには、まず古今のすぐれた作品を、できるだけ数多くきいて、幅の広い音楽体験をもつことから始めるよりほかに方法はないのである。」
この後に、「しかし、たくさんの名曲を日常手許に置いて、時に応じて自由にきき楽しむというのは、経済的にもなかなか容易なことではない。」として、この廉価盤シリーズの企画について、曲目や演奏者を評価している。
氏は、かつてNHK-FMの金曜「夜の室内楽」の解説をつとめたこともあり、また音楽の友社から『室内楽のたのしみ』という著書も出されているが、偏りのない紹介ぶりが好ましく感じられた。この文章を読むと、まったく本当だなぁと思う。事実、多くの愛好者がこのシリーズを懐かしそうに語っている(*)。音楽の文庫本として、裾野の普及に貢献した功績は大きいが、はたして同社の誰が企画をしたものか、興味深い。NHKのプロジェクトXでも取り上げていないようだし(^_^;)、謎解きのような興味がある。どなたか、本邦初のクラシック1000円盤企画の経緯を御存知の方はおられませんか。
(*):たとえば 安田さん・BQクラシックス など。
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