電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

セル/フライシャーのグリーグ「ピアノ協奏曲」を聞く

2005年06月02日 20時19分18秒 | -協奏曲
日中はだいぶ気温が上がるようになったが、朝晩は過ごしやすい気候で、ありがたい。夕方、通勤の帰り道に、遠くの山々を見ているうちに、グリーグのピアノ協奏曲を聞きたくなった。

私のところにあるのは、レオン・フライシャー(Pf)、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団による演奏(LP:13AC-808,CD:SRCR-1838)と、イェネ・ヤンドー(Pf)、アンドラーシュ・リゲティ指揮ブダペスト交響楽団による演奏(CD:NAXOS 8.550118)2種3点である。LPのほうは、1960年代末にはSONWという記号の2枚組2500円のシリーズにも入っていたことがあるはずだ。

ちょうど三年前のいまごろ、単身赴任地のレコード店でクラシック音楽CD売り場をのぞいてみたところ、以前からLPで聞いていたフライシャー/セル/クリーヴランド管のCDを見付け、宿舎のミニコンポで聞けると大喜びで購入したものだ。
この演奏、第1楽章の堂々たるスケールも立派だが、特に私が好きなのは、第2楽章の出だしが、そっとためらうように入ってくるところ。そして、ピアノがゆっくりと語りはじめる。テンポもゆるやかで、よくコントロールされた、詩情あふれる音楽になっている。

ただし、残念ながらこのCD、1960年の1月に録音されたと記録されているが、音量を上げるとテープヒスの音だろうか、シーという音が耳に付くのと、最近の新しい録音に比べるとやや鮮明さの面で見劣りするようになった。堂々たる響きを聞かせるヤンドーの1988年の録音をあわせ聞くと、そのことが痛感される。
もっとも、聞いているうちにそんなことは忘れ、結局は音楽の素晴らしさにひたってしまうのだが。

両者ともシューマンのピアノ協奏曲が併録されている。セル盤は、LPではグリーグがA面でシューマンがB面になっているが、CDではシューマンが先でグリーグが後になっている。
レオン・フライシャーは、この録音のあと腕の故障で指揮に転向したものの、ついには指揮もできなくなり、困難な治療の結果ようやく先頃ピアニストとして復帰できたという。難病が克服されたことについて、医学の進歩に驚くとともに、円熟したピアニストとして音楽に復帰できたことを祝いたい。

参考までに、演奏データを示す。セルの演奏が、つねに「速い」わけではないことの証拠でもある。
■フライシャー(Pf)、セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏
I=12'53" II=6'55" III=9'48"
■ヤンドー(Pf)、リゲティ指揮ブダペスト交響楽団の演奏。
I=12'00" II=5'48" III=9'16"
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