電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」について

2005年06月11日 21時47分54秒 | -協奏曲
ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を特に意識したのは、たしかバーンスタインがウィーンにデビューしたときだったか、ピアノを弾きながら指揮をしたときである。テレビで見るバーンスタインに対し、「ベートーヴェン気取りかい」と少々意地悪な見方をしていたが、演奏が始まってからは、上機嫌で快活で爽快な乗り乗りの演奏に、すっかり魅了された。ピアノ協奏曲第1番って、こんなにいい曲だったのか、と。
その後、FM放送でエミール・ギレリス(Pf)、クルト・マズア指揮ソビエト国立交響楽団による1976年のモスクワ音楽院大ホールでのライブを録音し、カセットテープでしばらく聞いていた。80年代に入ってからは、アルフレッド・ブレンデル(Pf)、ハイティンク指揮ロンドン・フィルハーモニーの演奏によるLP(Ph X-7718)に魅了された。
最近は、バブル崩壊により新録音が少なくなり、昔の録音が再発売されるだけになってしまったが、輸入激安盤の登場により、かえりみられることなく放置されていた録音も商品として再び光があたるようになった。別に英文の解説書を読まなくても、中身を良く知っている録音ならば不都合はない。そんなわけで、かつてLP時代には手が出なかった演奏・録音を、次々とCDで購入するようになった。レオン・フライシャー(Pf)、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏(SBK-47658)が、最近のお気に入りだ。
第一楽章、颯爽と登場するピアノが、ウィーンに登場した若きベートーヴェンの姿を思わせる。第二楽章のラルゴも、とてもやさしい緩徐楽章だ。当時のウィーンっ子たち(特にご婦人が)参ってしまったのもうなづける。そうして第三楽章、バーンスタインのようなスゥイング感とは違うが、正確なリズムの上に展開される、覇気に満ちたかっこよさ。
この協奏曲は、独奏ピアノと管弦楽のバランスが、それ以前の時代と比較して、ぐっと管弦楽の比重が高まっているように思う。その意味で、いささか録音は古くなったが、セルの指揮するクリーヴランド管弦楽団の演奏は、素晴らしい。時には優しく時には重厚に、弦楽器群の抜群のアンサンブルの中で金管楽器が独特の輝かしさで響きわたる。(セルは、ここぞという時にはトランペットをホルンで裏打ちさせることもいとわなかったらしい。)
前にも書いたことがある(*)が、このピアノ協奏曲でも、第1番のほうが第2番よりも3年ほど後に書かれているとのこと。しかし、出版はこちらの方が先になったため、第1番となった、ということらしい。交響曲やピアノソナタ、弦楽四重奏曲でも同じ様な関係があり、ベートーヴェンはどうやら自信作の方を先に発表するという作戦を取っていたようだ。
(*):電網郊外散歩道:ベートーヴェンの第1番

参考までに、録音・演奏データを示す。

■ブレンデル(Pf)、ハイティンク指揮ロンドン・フィル、1975年11月、ロンドンにて録音
I=17'11" II=12'27" III=8'45"
■フライシャー(Pf)、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管、1961年2月、クリーヴランド、セヴェランス・ホールにて録音
I=16'29" II=12'15" III=8'36"

コメント (9)

録音データを調べる

2005年06月11日 12時14分04秒 | クラシック音楽
あるWEBLOGで、オークションでデンオンの My Classic Gallery のセットを入手した、とあった。私も同じシリーズを集めている。同じことを考えている人がいるものだ。
さて、この方の場合は、「フランス近代ピアノ名曲選」を取り上げていた。ずっと昔に、コロムビアの廉価盤でエラート1000シリーズというのがあり、この中にも「フランス近代ピアノ曲集」というLP(RE-1018-RE)があった。マグダ・タリアフェロの演奏で、シャブリエやセヴラク、アーン、サン=サーンスなどの小品の他に、ドビュッシーの「ピアノのために」「アラベスク」「喜びの島」などが取り上げられ、ずいぶん楽しんだ記憶がある。ただし、いかんせん録音が古かった。ピアノの低音がびんびん響くような、鮮明な録音であればなぁ、と残念に思ったものだ。
それが、録音技術が年々進歩し、じゅうぶんに満足できるようになった。このことを痛感したのが、1974年に録音されたヤン・パネンカの演奏するシューマンの「謝肉祭」だった、と前に書いた(*)が、ジャック・ルヴィエの演奏する「フランス近代ピアノ名曲選」は、いつごろ録音されたものか。『デンオンのデジタル録音15年の歩み』というパンフレットで調べてみた。

■フランス近代ピアノ名曲選 (DENON GES-9255)
【ドビュッシー】ジャック・ルヴィエ(Pf)
(1-6)「子供の領分」 1984年4月、オランダ、ハーレム・コンセルトヘボウ、初出:OF-7158(LP)
(8)「レントより遅く」 1984年4月、「子供の領分」に同じ
(10)「アラベスク第1番」 1985年5月、録音地:同上、初出:33C37-7734(CD)
(11)「亜麻色の髮の乙女」 1983年7月、オランダ、ライデン、シュタットヘホールザール、初出:OF-7092(LP)
(12)「花火」 1982年8月、オランダ、ハーレム・コンセルトヘボウ、初出:OF-7059(LP)
【サティ】高橋悠治(Pf)
(13-14)「ジムノペディ第1番/第2番」1976年1月、日本コロムビア第1スタジオ、初出:OX-7071(LP)
(15)「グノシェンヌ第1番」 同上
【ラヴェル】アラン・プラネス(Pf)
(19)「亡き王女のためのパヴァーヌ」 1980年11月、埼玉・狭山市民会館ホール、初出:OF-7057(LP)

実は、この話題の発端となったWEBLOGの記事にコメントすべく、テキストエディタで記録していたものだが、該当のWEBLOGの胴元(Doblog)が、「だんな、ここは文字数に制限がありまっせ」、送信不可とおどすようなので、急遽こちらの記事とした次第。自分自身のために調べたことだが、結果的に他人様のためにも役立つなら幸いである。

(*):電網郊外散歩道・ブックオフ等の全集分売CDについて
コメント (2)

夜中にネコが!大騒動

2005年06月11日 03時05分18秒 | アホ猫やんちゃ猫
夜中にネコが何やら騒いでいる。閉め忘れた窓から出て、チョロチョロ動くヤツをつかまえてきたらしい。室内で逃がされては大変と優しい言葉をかけてやると、満足そうにさんざんいたぶったあげく、とどめをさした。おかげで、すっかり寝そびれてしまった。「可愛いふりしてあの子、わりとやるもんだね」と、その残虐無道ぶりを後世まで語り継がれることだろう(^_^)/
コメント