萬蔵庵―“知的アスリート”を目指すも挫折多き日々―

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「スウィニー・トッド」観て来た ゾッ

2008年02月29日 | おすすめモノ


この前、「スウィニー・トッド」なる映画を観てきた。主演は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョニー・デップだ。あまり、予備知識ないままに友人に誘われて観たのだが、吃驚仰天した。

第一印象は、ディケンズの「クリスマス・キャロル」のロンドンの下町を舞台に「モンテ・クリスト伯」エドモン・ダンテスが復讐劇を展開するような作品だ、と思った。(なんのこっちゃ)

また、この映画はミュージカル映画だ。ミュージカル映画といえば、オードリー・ヘップバーンの「マイ・フェアレディ」とジュリー・アンドリュースの「サウンド・オブ・ミュージック」だ。いずれも、明るいタッチでホロッとくる不朽の名作である。

この映画、R15指定は伊達じゃない。正視に堪えないシーンが多々あった。そのオープニングから、モノクロ調の映像に真っ赤な、血と思われる液体がおどろおどろしく流れてくる。ある程度、血生臭い映画だと想像はつく。「フリート街の悪魔の理髪師」という副題を考え合わせれば、事の顛末は知れようと言うものだ。また、主人公達は吸血鬼を思わせる目の周りを黒くしたメーキャップである。これも、十分“脅し”が効いている。

まだ観ていない人もいるだろうから、詳細は避けるが、スウィニー・トッドなる理髪師が復讐のためロンドンに戻り、もとの理髪店で営業再開する。が、これがただの床屋ではない。身寄りの無い男性を選んで、髭を剃らずに喉を掻き切るのだ。しかも、歌いながら。(ミュージカルだから仕方ないが)犠牲者は自動的に一階の倉庫へ落とされ、一階でやっているミートパイ屋の肉にされる。

復讐する対象者(ストーリーを追う限り、せいぜい二人)だけを殺すなら、まだ分かるが、次々と一般客が首を切られ、ミンチにされる。完全な猟奇殺人だ。

何千年もの間、牛や羊を解体して肉食してきた西洋人にしか創れない映画だな、と思いましたよ。ホンマ。

これだけを聞いたなら、残酷なだけで何処がいいのかと思うだろうが、観終わった感想は、悪くないのである。

トッドが復讐鬼にならざるを得なかった切ない過去。ミュージカルという歌の効果。映像の美しさ。J.デップの演技力。それら、すべてが混ざり合って、いつまでも心に残る映画なのである。

調べてみると、この「スウィニー・トッド」は英国では150年ぐらい、映画やミュージカルで語り継がれてきた物語だそうだ。原型はただの殺人鬼に近い内容だったという。時代の変遷とともに、ストーリーも変わって、今のものになったようだ。「床屋で首を切って殺し、金品を奪い、死体はミートパイ屋で処理して売さばく」という部分が原型で、その他の部分は後から付け足されたようだ。

こう、考えると納得がいく。原型の部分は正視に堪えないが、心に残る部分は後から付け足されたストーリーなのだろう。

ただ、映画館を出た時はしばらくは床屋に行けないな、と思った。特に二階が床屋で一階がハンバーガー屋なんてシュチエーションの床屋には。まだ、観ていない人は床屋に行ってから映画館に行った方がいいかも。
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