ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

死神(7)

2018年01月16日 17時38分57秒 | 雑感
「実はね、こんなに突然来られても困るんだよ。
こっちにはこっちの都合もあるし、せめて前もって知れせてくれないとね。」
「う~むそれもわからぬではない、それで最近は前もってなるべく予定を知らせるようにしてはいる。
昔はがんの告知なんてしなかっただろう?!
ところがある有名な高僧がいて、この人なら告知しても大丈夫だろう、と医者が告知してしまった。がんだと、余命3年だと。
するとこの高僧、慌てふためき、すっかり意気消沈して3年後の予定だったのに、慌てて3か月後に迎えに行ったことがあるのだよ。
このように前もって予定を知らせて置くのがいいことかどうか・・・悩ましいところだ。
それに予定を知らせておくとその通りに回らねばならぬ。それが何とも煩わしい。今日みたいについでに・・・いやいやいや(ごほんごほんごほん~わざとらしい咳払い)」
「あっ、聞いたぞ!聞いたぞ!聞いたぞ!やっぱりここには手抜きしてついでに来たな!!
最近どうもこの集落の順番がおかしいと思ってたんだ。言いつけてやろう!天照大神様に。怒るぞ~~~」
「しぃ!しぃ!声が大きい!
まあまあそれはそれとして今宵は大いに飲もう!うぃぃ~~~」
とあわてて死神は焼酎をつぐ。
こちらも注がれた酒は空けねばならぬ、うぃぃ~~~!

こうしてさしつさされつ、夜も更けて、
空っぽの焼酎の紙パックを枕に、ぐうぐうぐう・・・

そしてようやく夜が明けて目が覚めると死神様はもういない。
さては酔っぱらって黄泉の国に連れていくのをすっかり忘れたな。
それとも今までのこと夢だったのだろうか?
きっとそうだよね、またしても呑みすぎたのだよね。

ところがふと見ると、
畳の上に1枚の紙が残されていた。
「死神」とだけ書かれ名詞が、

夢じゃなかったんだ・・・

(終わり)
コメント (4)
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