イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

船底塗装

2023年10月14日 | Weblog
今日は大きい方の船の船底塗装だ。当初、来週19、20日に作業をするつもりで連休を取っていたのだが、先週の飲み会を企画した同僚が、僕が休みたいのでその日は出勤してくれなどと言ってきたのである。一応、先輩格の人だから反論もできずやむなく作業日を前倒しした。

気になるのは天気予報だが、台風15号の影響で天気が不安定だ。毎年この頃に船を上架しているが、確かに台風がよくやってくる。いつもうねりの中で帰投しているという印象だ。
当初の予報では雨が降ってくるのは夕方からであったが朝起きて予報を見てみると昼過ぎへと早まってきていた。いくつかのサイトを見てみてもどこも同じだ。間違いなく正午を過ぎた頃から降り始める。今日は時間との戦いになりそうだ。
なんでこういう緊迫した中で作業をせねばならないのだと同僚を恨んでも仕方がないが、他人に振り回されるほど心地の悪いものはないのである。

前回はanotherNさんに手助けをお願いしたが今回は叔父さんに助っ人を頼んだ。anotherNさんに毎回お願いするのも憚られるし、ウインチのスイッチ操作ならまったく経験のない人でも十分やってくれそうだ。おまけに百姓仕事に長けた叔父さんならすぐに機械の操作を理解してくれるだろう。

早朝、午前6時半に雑賀崎漁港に来てもらいひととおり作業手順を説明して上架開始。
途中、船の舳先の向きが歪んだりしてやり直しをしながら無事に上架完了。



叔父さんはきちんとそういう状況も指摘しながら作業を手伝ってくれた。さすがだ。
この時点で午前7時。一気に作業を進める。

舵の周りを見てみると、やっぱりすごいことになっていた。



船底のフジツボの密度も例年より多い気がする。



これは掻き落とすのにも時間がかかりそうだ。
舳先のほうから掻き始めたが、FRPの部分というのは碁石をパラパラと落とすように簡単に取れるが、舵やスクリューの部分はかなりやっかいだ。けれん棒を思いっきり突き刺してもびくともしない。それに加えて、ここは和歌浦漁港の船台に比べて背が高いのでけれん棒を上向きに突き上げるような形での作業になるので力が入らない。形状も複雑なので取りづらいことこの上ない。
亜鉛板を外して2度目の水洗いを終えた頃にはすでに2時間が経過していた。

一服する暇もなくスクリューのコーティングと船底塗料の塗り作業にとりかかる。こういう作業をするときには逆に船台の背が高いというのは作業をしやすい。一長一短があるというものだ。
この辺の作業は何度も繰り返してきたので手慣れたものになってきた。ほかの人にもそう見えてしまっているのか、揚場のそばに船を係留している人だろうか、「業者さんですか?」などと声をかけてきた。自分の係留場所に近いところで作業を肩代わりしてくれる業者でも探しているのだろうか・・。う~ん、僕は普段はスーツを着て給料をもらっている、一応はホワイトカラーという部類の労働者に属していたんだがな~と思いながらも、自分でも薄々はホワイトカラーという柄ではないよな~とも思っていたのでこれが本来の僕の姿なのだろう。きっと・・。
そのほか、老人会の集まりでこれから和歌浦まで歩いて行くという老人まで声をかけてくる。僕はけっこう目立っていたりするのだろうか?

ちょうど正午に作業を終え、代金を支払うために集金係のおじさんを待っているとポツっと雨が降り始めた。まったくギリギリのタイミングであった。終わりよければすべてよし。同僚への恨み言は言わないことにしておこう。

  


翌日、円卓会議の終了を待って叔父さんとともに港へ。船の転倒を防いでいるクサビが船台に絡まってしまうというちょっとしたトラブルがあったが無事に船を浮かべることができた。



航跡もきれいだ。ビフォーとアフターではこうも違う。

 

船が喜んでいるようにも思えてくるのである。



港に戻った頃には日差しが強くなりそれに合わせてかなり暑くもなってきた。昨日は作業中はずっと曇っていたので体力的にもかなり楽ができたので雨雲との競争もまあそれはそれでよかったのでないかとも思ったのである。

船の底を塗る作業の際は毎回、今回は体力が持つだろうかといつも心配をしながら作業を始める。まだそんな歳でもないはずだが、そこはなんちゃって頭脳労働者なものだから体力だけはホワイトカラー並みのものしか持っていない。そして作業が終わってから、あぁ、今回も無事に終えることができたと自分の体力の残量はまだいけるということを確認しているのである。
アキちゃんと忠兵衛さんは、北三陸がいちばんいいところだと確認をするためにそこを離れてゆくのだが、僕は自分の体力の残額を確認するために船底塗装に臨んでいたりもするのである。
と、言いながら、この文章を書いている翌日、僕は体中の痛みに呻いているのである・・。


ここ、雑賀崎という街は最近、なにかと話題を提供してくれる。前回の船底塗装の直前には現職の総理大臣が狙われるという大事件が起き、今回は映画のロケ地になっていた。



(公開は去年だが、僕が観たのはつい最近のことであった。)
この場所はまさに揚場の予約用のノートが置かれている箱のある場所である!
日本のアマルフィーとしてはいまだに知名度を誇っているし観光客を相手にした施設もたくさんオープンしているらしい。



どんなことでも人が集まるというのはいいことだと思う。
僕もここに集まってきたひとりだが・・。



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