イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「遙かなる山釣り」読了

2010年04月28日 | Weblog
山本素石「遙かなる山釣り」読了
この作家の名前を聞いて知っている人はほとんどいないと思うが、「つちのこ」ブームを巻き起こした一人なのだ。
懐かしいねぇ、小学生の頃かな、和歌山の山奥にもいるらしいとかで話題になった。チョコエッグのシークレットおまけもこれだったな。
そして、人生のほとんどを渓流釣りですごしたというとてもうらやましい人なのだ。
この本は月刊「フィッシング」に1970年代前半に連載されたエッセイをまとめたものだが、この雑誌も懐かしい雑誌だ。

名前や経歴からかなりストイックな人と思うが、つちのこを真剣になって探すというところからわかるようにちょっと砕けたところもあるのでかなり読みやすい内容になっている。
奥さんに何とかして釣りに行くのを許してもらう方法やヤマメ、アマゴの種としての考察、不思議な体験などなど。

僕の奥さんは何も言わずに魚釣りに行かせてくれるのでこの本のような苦労をすることはないので少しは幸せなのかもしれない。

不思議な体験と言えば、僕にもある。
もう、20年も昔になるだろうか、当時の上司とよく東白浜の筏に通っていた。僕は磯のほうがいいのだが、この人はとかくここが好きであった。
港に仮眠所があるのだが、ある日のこと、この日は夜中、ものすごい風が吹いていたのを覚えている。眠っていると僕の目の前におかっぱ頭の小さな女の子が現れて僕の首を絞めはじめた。うわ~っ、と思うのだが体が動かない。生まれて初めて金縛りにあってしまった。話はそこで終わらず、そんな体験を船に乗っているあいだに話をしていたら、一緒に行った人が、「イレグイ号さんもそうなんですか、僕も同じ目に遭いました・・・。」ということで、あそこには何かいるぞという結論に達した。
東白浜の筏に行く方々は要注意です。
そんな上司も同行してくれた人も今はもう彼岸の人になってしまい・・・。このときの崇りではないとは思うのだが・・・。

しかし、今では、そんなことはなんとも思わなくなってしまった。人間ができてきたというか、鈍感になったというか、父親が昔よく言っていたが、世の中で一番恐ろしいのは生きている人間だというのがこの年齢になってしみじみ思い知ったからかも知れない。お化けや幽霊よりも、自分のことを将軍様か教祖様と勘違いしているどこかの会社の役員さんの方がよっぽど恐ろしいのだ。
山の中の怪しげな祠の前でも堂々と眠ることができるようになってしまった。役員さん、ありがとう。

話はもとに戻って、全編すべて渓流釣りについての話なのだが、僕はかれこれ2年間渓流で竿を出していない。今の会社の休みの体系ではなかなか釣りに行っても僕の腕前では歯が立たないと思っているからだ。もとの会社に戻れるかどうかは疑問だが、それまでは渓流釣りは封印するつもりにしている。しかし、こんな本を読むと無性にアマゴを釣りに行きたくなる。人生は無常だ。

そして、この本は献上本らしく、作家のサインが入っている。
贈られたひとの名前をネットで調べると、歴史上のすごい人物がヒットした。しかし、その人物は昭和23年に亡くなっているらしく、同姓同名の人らしいのだが、いったいどんな人なのだろうと想像をめぐらしてしまうのだ。
                          
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