イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「Fishing Café VOL.64」読了

2020年01月18日 | 2020読書
シマノ/編 「Fishing Café VOL.64」読了

2019年12月9日は師が亡くなって30年目の日に当たっていた。10年前には展覧会があったり関連本が発刊されたりしていたが30年となるととくに目新しい動きがないのが残念であった。30年という期間というのは人間が意思を持って生きられる人生のサイクルに当たるということを聞いたことがあるけれども、師のことを知っている世代、崇拝する世代もサイクルをひとつ終えたというところなのだろうか。僕はまだまだ崇拝世代なのだけれども・・。

といいながら最近では師の著作を読み返すこともなく、そういえば12月は師の亡くなったつきだったなと思うくらいでしかなくなっていた。

図書館には雑誌と新聞の閲覧コーナーというところがあって、ソファーなんかが置いてあって一服するには快適なスペースである。そこの書架になぜだか1冊釣り関連雑誌が置かれている。それがこの雑誌だ。季刊誌で冬号が師の特集になっていた。去年は亡くなって30年、そして今年は生誕90年の節目になる。そんな時期なのでこの本も特集を組んだのだろう。せっかくなので図書館で読まずにアマゾンで注文してみた。

師の特集ページでは生前に師と行動を共にした人たちのインタービュー記事と師の作品からの一言半句を紹介するというかたちの編集である。どの人についても、どの文章についても、どの写真についてもすでに自分の知っている内容であったのだが、久々に読むと懐かしさがあふれてくる。そして師の文章はたとえ一片のものであっても心に響く。

その中に、島地勝彦という人が出てくる。この人は元「週刊プレイボーイ」の編集長であって師とも共著を出している人だが、この人は新宿の伊勢丹で「サロン ド シマジ」というバーをプロデュースしている。一度その前まで行ったことがあるのだが、結局尻込みをしてしまってドアを押すことができなかったという思い出がある。どうしてドアを押すことができなかったのか・・。

「このカウンターに座れるほどの男ではない。」

一言でいうとこうなのである。

多分、師と酒を酌み交わすことができる人というのはひとりの男として確立した人たちでこの特集の登場人物は師の影響で確立できた人たちでもあったのであろう。
結局、僕は一生男にはなれないんだと20ページほどをめくりながら沈んでいくのである・・。

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