イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

台風21号の恐怖と悲しみ・・・

2017年10月22日 | Weblog
台風21号が迫っている。

今日も出勤だったのだがこれ幸いと午後3時に会社をバックれて帰宅の途についた。余裕で帰れると思っていたのだが、阪和線に乗り込んだとたんに和泉砂川駅の雨量計が基準値を超えたので南海電車で振替輸送をするというアナウンスが流れた。南海はどんなときにも運行を続けてくれるはずだったのだが、今回の台風は雨量が半端ではなかったようだ。みさき公園から和歌山市駅の間で線路が冠水して運転を取りやめていると言い始めた。
これはまずいなととりあえず日根野駅で下車してしばし黙考。なんの知恵も出て来ず、運行情報を収集しようと持参してきたタブレット端末をいじくり始めた。電波状態は悪いがJRのwi-fiが一瞬つながって現在の状況をつぶやいてみた。
いつも船のメンテナンスのことでお世話になっているちからさんから、「それなら関空まで行って高速バスという手が残っているよ。」と返信をもらった。そうか、そういう手もあるか!と次にやってきた関空快速に乗り込んだ。しかしながら最後の頼みの高速バスもすでに運行を取りやめてしまっていた。
仕方がない。これはもう、日根野に戻ってタクシーしかない。ところが日根野駅のロータリーは人で溢れかえっている。それに対してタクシーは1台も来ない。もうダメだ・・・。改札の駅員に代行輸送のバスは出ないのかと聞いてもつれない返事だ。こいつらは乗客を目的地まで確実に運ばなければならないという使命感のかけらもないのだと改めて気づかされた。やっぱりJRだ。大企業だからお高く止まっていやがる。

ウチの奥さんに電話をして、日根野駅まできてくれないものか?と頼んでみるとまったくつれない返事だ。「そんなところまで行けるわけない。」しかし、息子も免許を持っている。ひとりで不安なら息子を連れて出向いてくれてもいいだろう。それでも不安なら実家の父親に頼んでみようと考えてくれてもいいだろうに・・・。家族の絆とはこんなものだったとは思わなかった。これからも僕が危機に陥っても多分同じような状況になるのだろう。きっと。
さあ、どうしたものか・・・。見捨てられることの恐怖と悲しみをしみじみ味わった。なんとか怒りだけは抑え込もう。

そこで頭によぎったのは、僕の隣に船を係留しているNさんだった。かれは紀伊駅のそばに住んでいる。日根野からは近いと言えば近い。(和歌山の中心部から比べればだが・・・)ダメ元で電話を入れてみると二つ返事で救援を引き受けてくれた。
ひどい雨の中、風も強くなってくる中、申し訳ないけれどももうこの人にお願いすることしか思い浮かばなかったのだ。
阪和高速も通行止めになっている中、かれは1時間以上かけて不案内の道のり、日根野駅までやってきてくれた。

お互い釣りの好きなもので、帰りの道中はずっと釣り談議でこれはこれで楽しいひと時であった。かれは新しい船を進水させてから短期間で名人級と言えるほどタイラバの腕を上げている。ポイントその他もろもろの秘密情報も教えてもらって何から何までありがとうございました。という感じだ。
同じ職場に勤めていたころ、彼はたまにフラッとあくまで仕事のために(ぜったいヒマつぶしではない。)事務所にやってきてくれてよく釣りの話をしたものだ。職場が変わってからは港で会った時に少し話をするくらいになってしまったけれども今日は恐縮しながらも楽しかった。

家に帰ってパソコンを開くとちからさんからも、「日根野までなら走ろうかと思ってました。」とのメッセージが。みなさん、ほんとうに優しい人ばかりだ。ありがたい。

このブログを書いている間、南海電鉄は羽倉崎駅まで運行区間を伸ばしたようだ。線路が陥没したそうだけれどギリギリのところまで動かそうという心意気がすごい。対してJRは阪和線全線の運転を取りやめている。社会的に見てこんな企業姿勢というのは許されるのだろうか。NHKもそれを忖度してか、交通情報に阪和線の運休を表示しない。誰も問題にできないくらいに巨大な企業なんだろうな。きっと。





コメント (2)
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