イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?」“未”読了

2017年10月16日 | 2017読書
マイケル・ブース/著 黒田 眞知/訳 「限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?」“未”読了

サブタイトルは「なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?」となっているが、著者はそんな北欧の国々の制度、暮らしを揶揄して異様にしか見えない。
デンマークは過去の栄光を引きづり、外のことに無関心。
アイスランド人は自分たちが世界の覇者だと勘違いしている。
フィンランドはすでに石油に依存しすぎている。
このあと、スウェーデンの章が続くが、読むのを止めてしまった。
僕は読み始めた本はどんなに面白くなくても最後まで読み切る主義だが、この本は読む価値がないのではないかと思った。

デンマークは元々王国だったが、1500年代からどんどん領地を減らしてきたものの、その頃のプライドをずっと引きずっているというのだ。だからデンマーク人は何にでも国旗を付けたがる。
アイスランドはヴァイキングの国。自分たちが一番力を持っていると勘違いしている。リーマン後の金融危機にも危機感を抱いていない。
フィンランドは石油が発見されたことで国は豊かになったが石油が枯渇した後のことを考えていない。
などなど、スウェーデンに対してはどんな評価を下したのかは知らないが、少なくともこの三つの国に対しては政治だけでなく、国民性に対しても批判の言葉を浴びせている。国民性なんて、その国の人すべてがそうであるわけでなく、たとえそうだとしてもそれを他の国の人にとやかく言われる筋合いはなかろう。

北欧の国々はすべて高い税率と引き換えに手厚い福祉の恩恵を受けている。教育、医療、年金、おそらく普通に生活してゆく分には何の不安もない。しかし、著者はそこに自由があるのかと問いかけている。競争がないところには本当の自由はない。安定した生活の中には革新は生まれないと言いたいようだ。
しかし、自分は自由だと思うためには少なくとも生活の安定が必要だ。そういう意味では北欧のシステムというのは素晴らしいと思うがどうだろうか。

イギリスとデンマークを比較して書かれたコラムを以前に見つけていた。
内容は以下のようなものだった。

*******************************************

デンマーク人は今あるものに感謝する能力に長けていて、今の状況に満足をしているんだ。もうひとつは、社会が非常に平等だということ。だからこそ誰にでもチャンスがあるということが大きい。北欧諸国では、誰もが高等教育にアクセスできるため、自分がなりたいものになれるというチャンスがある。

これに対して私が生まれ育った英国は、教育という点では劣る。どれだけおカネを持っているか、どれだけちゃんとした地域に生まれたかで、その後受けられる教育が決まってしまう。

ここから世界が学べることはひとつ。すべての子どもに平等な教育の機会を与えることだ。大学教育も含めて。

――あまり幸福感を感じていない日本人が、デンマーク人から学ぶべきことは何でしょうか。

日本人がすぐに幸福感を感じられる国民になるような明確な回答はないが、たとえば小さなことでも感謝する、今あるものに感謝するという姿勢が大事だと思う。何かモノを得て満足を得るのではなく、家族や友達と過ごしたり、自然の中で過ごしたり、高くなくてもおいしいモノを食べたりという、意味のある時間にもっと重きを置いたらどうだろうか。

*******************************************

この本にも、デンマーク人は集落のつながりを大切にして現状に非常に満足している。と書かれていた。それを別に解釈をすると「過去の栄光を引きづり、外のことに無関心。」となるのであればちょっと著者の心はひん曲がっているように思う。ちなみに著者は英国人だ。

どちらにしても日本の今の状況よりもはるかにいいのではないだろうか。
今は選挙の真っただ中だ、制度は変えることができても文化を変えることはできない。多分、昔の日本も集落のつながりを大切にして現状に非常に満足しながら人々は生きてきたに違いない。
壊れてしまったものは多分、もう元へは戻らない。北欧の人々はきっとそういうことがわかっていてそれを維持するために高い福祉制度を発達させたのであればだれに揶揄さることもないのではないかと思うのである。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする