吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2006年9月19日〈津屋崎学〉004:産土神は「波折神社」か

2006-09-19 08:39:51 | 郷土史

●写真①:「波折神社」拝殿=福津市津屋崎古小路で、08年2月18日午後1時33分撮影

・琢二と清の郷土史談義
『津屋崎学』
第4回:2006.09.19
  産土神は「波折神社」か

清 「おはよう、叔父さん。おととい17日に九州を襲った台風13号は、ひどかったね」
琢二 「おう、強い風やったな」
清 「昔の人も、台風や地震などの自然災害や天変地異があるたんびに、神様・仏様に祈ったっちゃろうね。それで質問ばってん、津屋崎の鎮守の神様っていうか、産土神(うぶすながみ)っていうたら、どこね。普通に考えたら福津市古小路(こしょうじ)にある波折(なみおり)神社=写真①=やろうか。ばってん、〝神郡・宗像(しんぐん・むなかた)〟とかいうて旧宗像郡内の産土神は宗像市にある宗像大社のごとある気もするし、福津市宮司元町の宮地嶽神社も年間200万人以上が参拝して九州では太宰府天満宮に次いで参拝客の多い大きな神社のうえ、身近に感じるけんね」
琢二 「産土神とは、産土(うぶすな)、つまり人の生まれた土地を守護する神のことだ。鎮守の神とか、氏神とも言うな。子供が生まれて百日目に初めて産土神に参拝するのを宮参りとか、産土参り、産土詣でなどと言う。今の宮地嶽神社では初宮参りと言って、男の子は生後30日目、女の子は31目に参るのが一般的だと案内しているが、まァ、赤ちゃんの体調のいい日に参り、健やかな成長を祈願すればいいんだよ。清の初宮参りは、氏神様の波折神社に行ったはずだ」
清 「やっぱり、波折神社が氏神様なんやね」
琢二 「前回の〈津屋崎学〉003:地名「天神町」の由来――でも話した通り、旧津屋崎町が平成10年(1998年)に発行した同町史民俗調査報告書『津屋崎の民俗 第四集』(北の一、北の二、新町・天神町・東町)という本があるが、この中に天神町は〈明治初年まで現在の岡の二、岡の三、末広などとともに津屋崎村に属し〉とあり、〈六信仰 (一)ムラで祀る神〉のくだりには、〈村落神 波折神社を氏神という〉とある。〈波折神社〉については、〈祭神、住吉大神・志賀大神・貴船大神〉と書かれている」
清 「〈村落神 波折神社〉か。町の調査報告書でも、村の鎮守の神様は波折神社なんだ。〈♪村の鎮守の神様の/今日(きょう)はめでたい御祭日(おまつりび)/どんどんひゃらら、どんひゃらら/どんどんひゃらら、どんひゃらら/朝から聞こえる笛太鼓〉と歌う葛原しげる作詞、南熊衛作曲の童謡で〈村祭〉っていうのがあったよね」
琢二 「よく知ってるな。もっとも、波折神社の氏子で、宗像神社の氏子にもなっている人もいるがな」
清 「宗像大社は〝交通安全の神様〟、宮地嶽神社は〝商売繁盛の神様〟、太宰府天満宮は〝学問の神様〟といわれとうけん、氏神様以外でも専門別にお参りして氏子になってもよかたいね」
琢二 「はっ、はっ、は。日本は、西洋みたいに一神教じゃない八百万の神の国だからな」

清 「それでは、波折神社は何の神様って言うたらよかっちゃろうか」
琢二 「波折神社境内に掲示されている〈波折神社縁起〉=写真②=によると、〈祭神=瀬織津姫大神、住吉大神、志賀大神の三座〉と表記。以下、次のように説明している。


写真②:境内に掲示されている〈波折神社縁起〉
     =波折神社で、08年2月18日午後1時36分撮影

〈縁起によれば神功皇后の新羅を遠征せられ凱旋し給いし時に、この三神当浦渡村鼓島に現われ給いしにより皇后この浦の岡分河原崎の宮之本という地字に神垣を造りて斎祀せらる。昔この浦の漁夫三人沖に出て釣せしが大風荒波に遭い雷鳴さえも加わり海大いに振動す故に漁夫諸共にこの三神に救いを祈りし処、忽ち御姿を現し給い隆起する波穂の上に立ち給いて雲の如き波頭を御袖をあげて打ち払い給うと見えしが、逆巻く荒波は見る間に治まりて遥かの沖に過ぎ、暫時、海上静かとなりし故、荒波を折って辛うじて舟は鼓島に漂着。風待ちすること三日、飢え迫りし折柄再び先の三神現われ給い飲食を与え給う。これを食すと覚えしが、忽ち人ここちつき力の限り波涛を淩ぎてこの浦に漕ぎ着けたり。初め三神の舟上に現われ給いし跡に三箇の石あり、捧持して帰り御神体として祭れり。これより波折大神と称し奉る。かくていにしえ彼の河原崎の宮之本に祭られしより時移り八十四代順徳天皇の承久三年此処に移し奉る〉

清 「だいたい分かった。で、祭神・瀬織津姫大神、住吉大神、志賀大神の三神とはどんな神様?」
琢二 「先に話した通り、『津屋崎の民俗 第四集』では、波折神社の祭神は〈住吉大神・志賀大神・貴船大神〉と書かれており、〈貴船大神〉が〈波折神社縁起〉に出てくる〈瀬織津姫大神〉と食い違っているな。まず、住吉大神は海上と航海の安全、大漁満足を守護する。つまり、海上の安全と大漁を祈願する御神徳がある神様だ。志賀大神は、天照大神の降臨に先立ち大宇宙を浄化されたとされる神。貴船大神は水の神。瀬織津姫(セオリツヒメ)大神も同じく水の神で、世の禍事罪穢れを祓ってくれる神様だ」
コメント
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