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●写真上:上野焼「八幡窯」の冷酒盃と吟醸酒「久保田」=福津市津屋崎の自宅で、06年9月15日午前10時40分撮影
●写真下:05年6月に福岡市の岩田屋であった「世良彰彦作陶展」の作品。「揺彩」の壺(左奥)と「彩華」の食器。
15日朝、福津市の自宅に宅配便で思いがけないプレゼントが届きました。福岡県田川郡福智町上野の上野焼(あがのやき)「八幡窯(はちまんがま)」三代目窯元、世良彰彦(せら・あきひこ)さんからで、箱入りの冷酒盃2つと新潟県長岡市の吟醸酒「久保田 千寿」でした=写真上=。同封の手紙によると、8月に勤めをリタイアした私の挨拶への返事で、「ご笑味下さればと思います」としたためてあり、うれしく頂戴しました。
世良さんは1960年、旧赤池町(現福智町)生まれ、日展会友、現代工芸美術家協会本会員。2001年10月、陶芸教室の作品展を福岡市で開かれる際、読売新聞西部本社福岡総本部(福岡市)を訪問され、編集局次長だった私が応対したのが初対面でした。世良さんは日展入選10回を重ね、上野焼では初の日展会友になったのを機に、02年(平成14年)には、地元の田川市美術館で「世良彰彦作陶展」を開き、花瓶、絵皿など型にとらわれない自由な作風が好評でした。私もその斬新で柔らかな作品に惹かれ、交流が続いています。
04年5月には福岡市の岩田屋で花器、食器など新作約百点の初個展、05年6月にも岩田屋で2度目の個展=写真下=を開き、伝統的な釉薬(うわぐすり)を使い、化粧上の濃淡などで焼き上がりの色に変化をもたせた「揺彩(ようさい)」と名付けた壺や、砂漠の砂が風で流れるような模様の作風「風紋」シリーズで使った3色に「揺彩」の釉薬をかけて両者の技法を融合した「彩華」の日用食器が注目されました。
遠州七窯の一つとして知られる上野焼は、慶長7年(1602年)、豊前小倉藩主細川忠興公が、朝鮮の陶工尊楷(そんかい)を上野に招いて上野に築窯。以来400年間、緑青流の綺麗な陶器が多くの茶人に愛好されてきました。世良さんは、上野焼伝統の素朴で優雅な妙味に近代的感覚、新風を吹き込んでいます。今年は酷暑のなか、「年に二度の作品制作にかかって」いたそうで、上野焼の伝統と新境地を融合させたどんな新作が生まれたのか楽しみです。
◇上野焼「八幡窯」:福岡県田川郡福智町上野1948
℡0947-28-2275
http://www.aganoyaki.com/