弁護士になってから、「期限」というものに恐ろしく気を遣うようになったのですが、その中の代表格が「控訴期限」だと思います。
毎年、何だかんだで懲戒事例としてあがっているように思うのですが、また発生してしまったようです。
◆弁護士が控訴ウッカリ、1100万円支払い確定
控訴期限を経過してしまったことは完全に弁護士のミスと言わざるを得ません。
で、一法律家として気になるのは、「じゃあ、この弁護士は一体いくらの賠償責任を負うのか」という点です。
理屈で考えていった場合ですが…
・仮に控訴しても、原審の判断が覆らなかったというのであれば(つまり控訴棄却)、依頼者には損害自体は発生していないこととなります。
・むしろ、控訴することで相手方も附帯控訴を行い、原審で認容された金額より更にアップしてしまう可能性もあり得ます。こうなると、ますます損害が発生したとは言えません。
・一方、控訴することで、和解を含め何らかの有利な(負担が軽減される)解決が導き出される可能性があったというのであれば、少なくともその差額は損害賠償の対象になると考えられます。
・そして、控訴審で逆転勝訴となった場合には、約1100万円全額が損害賠償の対象になることになります。
と一応考えられます。
ただ、控訴することで結果がどうなるかなんて、正直、誰も正確に予想することなどできないと思います。
この意味で、万一、この弁護士へ損害賠償請求を行うとなると、依頼者側の証明責任のハードルが高すぎて費用倒れに終わってしまう可能性も否定できません。
「控訴すること」に対する期待利益を侵害したとして慰謝料請求は認められるかもしれませんが…。
「責任はあるが、具体的な賠償額の算定ができないor損害との因果関係の立証が難しい」という典型事例ではないかと思います。
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理屈で考えていった場合ですが…
・仮に控訴しても、原審の判断が覆らなかったというのであれば(つまり控訴棄却)、依頼者には損害自体は発生していないこととなります。
・むしろ、控訴することで相手方も附帯控訴を行い、原審で認容された金額より更にアップしてしまう可能性もあり得ます。こうなると、ますます損害が発生したとは言えません。
・一方、控訴することで、和解を含め何らかの有利な(負担が軽減される)解決が導き出される可能性があったというのであれば、少なくともその差額は損害賠償の対象になると考えられます。
・そして、控訴審で逆転勝訴となった場合には、約1100万円全額が損害賠償の対象になることになります。
と一応考えられます。
ただ、控訴することで結果がどうなるかなんて、正直、誰も正確に予想することなどできないと思います。
この意味で、万一、この弁護士へ損害賠償請求を行うとなると、依頼者側の証明責任のハードルが高すぎて費用倒れに終わってしまう可能性も否定できません。
「控訴すること」に対する期待利益を侵害したとして慰謝料請求は認められるかもしれませんが…。
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