最近、政府主導によるあからさまな賃金引上げ政策が目立つようになってきました。例えば、最低賃金の大幅アップ、助成金の支給、賃上げ促進税制などです。
たしかに、物価高に対応するためには、収入アップを目指す必要性がありますので、賃金引上げ政策に重きを置くこと自体は間違っていないかと思います。
ただ、特に最近の議論の行方を見ていると、内部留保を抱えている大企業を念頭に、
「賃上げする余裕はまだまだあるでしょ!?」
という発想が見え隠れしているような気がしてなりません。
つまり、中小企業の現状を見据えた議論のようには思えないのです。
しかし、直近では経団連などが賃上げ容認の考えを示していることからすると、まさに官民(※ここでいう「民」は大企業のみを指します)での談合の如く賃上げムードを作ろうと躍起になっています。そして、賃上げできない事業者は、脱落しても致し方が無いという意図も強くなってきたように感じます。
一昔前に「日本企業は護送船団方式により守られている」と言われ批判されていましたが、今は「賃上げできた事業者のみ護送される」といったところかもしれません。
そういえば、インボイス導入についても、(官から見て)保護対象となる事業者と、反故に値しない事業者とを区別するための、一種の踏み絵なのかもしれませんね。
とにもかくにも、経営者は人件費をどのように捻出するのか真剣に考えておかないと、簡単に市場からの退場処分を受けてしまうことを肝に銘じておく必要がありそうです。
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