弁護士湯原伸一(大阪弁護士会)の右往左往日記

弁護士になって感じたことを綴っていきます(注意!!本ブログは弁護士湯原の個人的見解に過ぎません)

【コラム】賃金引上げと護送船団方式

2023年10月16日 | 経験談・感じたこと

最近、政府主導によるあからさまな賃金引上げ政策が目立つようになってきました。例えば、最低賃金の大幅アップ、助成金の支給、賃上げ促進税制などです。


たしかに、物価高に対応するためには、収入アップを目指す必要性がありますので、賃金引上げ政策に重きを置くこと自体は間違っていないかと思います。
ただ、特に最近の議論の行方を見ていると、内部留保を抱えている大企業を念頭に、
「賃上げする余裕はまだまだあるでしょ!?」
という発想が見え隠れしているような気がしてなりません。
つまり、中小企業の現状を見据えた議論のようには思えないのです。

 

しかし、直近では経団連などが賃上げ容認の考えを示していることからすると、まさに官民(※ここでいう「民」は大企業のみを指します)での談合の如く賃上げムードを作ろうと躍起になっています。そして、賃上げできない事業者は、脱落しても致し方が無いという意図も強くなってきたように感じます。
一昔前に「日本企業は護送船団方式により守られている」と言われ批判されていましたが、今は「賃上げできた事業者のみ護送される」といったところかもしれません。

そういえば、インボイス導入についても、(官から見て)保護対象となる事業者と、反故に値しない事業者とを区別するための、一種の踏み絵なのかもしれませんね。
とにもかくにも、経営者は人件費をどのように捻出するのか真剣に考えておかないと、簡単に市場からの退場処分を受けてしまうことを肝に銘じておく必要がありそうです。

 

 

 

 

 

 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

弁護士 湯原伸一

 

「リーガルブレスD法律事務所」の代表弁護士。IT法務、フランチャイズ法務、労働法務、広告など販促法務、債権回収などの企業法務、顧問弁護士業務を得意とする。 1999年、同志社大学大学院法学研究科私法学専攻課に在学中に司法試験に合格し、2001年大阪弁護士会に登録し、弁護士活動を開始する。中小企業の現状に対し、「法の恩恵(=Legal Bless)を直接届けたい(=Direct delivery)」という思いから、2012年リーガルブレスD法律事務所を開設した。現在では、100社以上の顧問契約実績を持ち、日々中小企業向けの法務サービスを展開している。

 
 
 
 
 

 

 

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