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「竹下村誌稿」を読む 127 質侶庄 14

(散歩道のアヤメ/4月27日撮影)

午後、マクワウリの苗2本とサツマイモの蔓10本を農業屋で買ってきた。
夕方、名古屋のかなくん一家が帰郷。かなくんパパは久し振りである。

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「竹下村誌稿」の解読を続ける。

知行 土地を領知するの謂れにして、朝野群載、永延三年五月廿八日太政官符に、知行諸務とあり。また庄田知行はこれを分ちて、下知の知行と所当の知行と二種となすことを得。百姓職、名主職、庄官職を行使するものは、下知の知行者にして、本家職、加地子職を行使するものは、所当の知行者なりと、庄園考(中田氏)に見えたり。
※ 朝野群載(ちょうやぐんさい)- 平安時代の詩文・宣旨・官符・書札等各種文書を分類して算博士・三善為康が編纂したもの。
※ 加地子(かじし)- 中世、名主が土地を貸し与えて、耕作させた作人から徴収する地代。小作料。


一色別納 略して別納とも一色とも云う。地頭の手を離れて名主が年貢を収むるを云う。鎌倉の下文に、
※ 下文(くだしぶみ)- 上位者が下位者あてに下した公文書。平安時代から中世、院の庁・摂関家・将軍家・政所などから、それぞれの支配下にある役所や人民などに出された。書き出しに「下(くだす)」の文言がある。

下す。上総国佐是郡内、矢田(村)、池和田村、早や(すぐに)、権助娘を以って一色別納と為すべし。限り有る所当は、加々美小次郎を弁ぜしむ事。右件、両村、公事を優免せしむため、一色別納と為す。権介の娘に仰せ付く所なり。然るといえども、限り有るの所当においては、加々美小次郎に弁ぜしむべきの状、如件の如し。
 文治二年(1186)正月二十一日
※ 所当(しょとう)- 中世、官または領主に納付する物品や雑役。
※ 優免(ゆうめん)- 特別に免除すること。


按ずるに、鎌倉以前、すでに私田立券のものあり。後閑、古閑、保名、厨、園、などの如し。蓋し、後閑、小閑は所謂(いわゆる)空閑不毛の地を開拓したる田土(田地)の謂れにして、保、名は地理志料に、
※空閑不毛(くうかんふもう)- 作物が作られないで空いていること。

 古えは保長、保子あり。五家相保の義を取り云う。後世、大都広邑、保子、保長、保奉行有り。東鑑以下の書に散見す。
 初め空閑地を闢く。私田としては、故(むかし)は多く、その姓字冒す。なお、後、これを某小名主と曰うが如くなり。漸く、侯伯の称を為す。近世謂う所、村名主と夐別なり

※ 姓字(せいじ)- 名字とあざな。姓名。
※ 冒す(ぼうす)- 仮に名のる。仮称する。
※ 侯伯(こうはく)- 諸侯。大名。
※ 夐別(けいべつ)- 全く別であること。


読書:「桐の小箱 随想小品集」 松田宏 著

著者の松田宏氏は島田市の前教育長で、自分とは同郷、同じ大学出身、大井川を挟んで、長年知らずに暮らしてきた。歳は五つほど先輩で、老年になって面識を得るようになった方である。文学的素養をお持ちとは知らなかった。この頃、図書館のHPで名前を見付けて、読ませてもらった。
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