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「竹下村誌稿」を読む 135 質侶庄 22

(散歩道のマーガレット)

午後、掛川古文書講座に出席した。今年度、初回の講座である。数えてみれば、参加し始めて、今年で10年目になる。この講座が始まったのはそれより2年早くて、今年で12年目だと紹介があった。

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「竹下村誌稿」の解読を続ける。

その後、この城のこと知るに由なきも、郡誌に新編駿河風土記を引きて、鶴見氏歿落後に起こりたる記事あるを見れば、本城は一度、武田氏に属せしことありしものゝ如し。曰く、

三浦氏 伝云う、当院(大長村伊太静居寺)前住、隨天順和和尚は生国遠江国志戸呂郷の武人平馬と云う者の子なり。父は鶴見因幡守某の家長たりしが、永禄中(1558~1570)、平馬、武田氏のために籍没せられけるより、順(和)、常に臍を噛み、潜(ひそか)に郷人三浦三四郎為明をはじめ、浅原、佐野、森平、板倉、望月など、かれこれ都合十人ばかり密策して、浜松(家康)に通じ、武田氏を不意を計りて素懐を果さんと計りしに訴人の者ありて、謀事(はかりごと)露顕に及ぶ。故に順(和)走りて浜松に至らんとして、途中日坂に於いて追捕士のために生け捕られ、三浦為明と同じく面縛して甲州に曳かれ斬罪せらる、云々。
※ 牌(はい)- 位牌。
※ 籍没(せきぼつ)- 犯罪者の財産を官府が没収すること。
※ 臍を噛む(ほぞをかむ)- ひどく後悔すること。どうにもならないことを悔やむことのたとえ。
※ 密策(みっさく)- 秘密のはかりごと。
※ 素懐(そかい)- かねてからの願い。素願。
※ 追捕(ついぶ)- 賊や罪人などを追いかけて捕らえること。
※ 面縛(めんばく)- 両手を後ろ手にして縛り、顔を前に突き出してさらすこと。
※ 斬罪(ざんざい)- 首を切り落とす刑罰。打ち首。


さて、前記河井宗忠は、鶴見氏と相拮抗(きっこう)し、遂にその襲撃する所となる。相伝う、河井氏初め庄内大代に住し、龍頭山安艱寺(夢想国師の開山にして応永の名ある金鼓を保存す)を廃して居城となし、八光山の砦と称し、その代寺として同所に法昌院を創立したり。然るに、鶴見氏横岡に移住し、城地相接するに及びて確執あり。因りて河井氏は松葉城に転住せしものなりと云うといえども、考うべき徴証を見出さず。
※ 確執(かくしつ)- 互いに自分の意見を強く主張して譲らないこと。また、そのために生じる不和。
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