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「亜米利加応接書」 3

(散歩道のアリアケスミレ)

午後から雨模様、夜になって激しく降る。

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「亜米利加応接書」の解読を続ける。

一 右両条の願いは、亜墨利加のみにこれ無く、国々の懇望に御座候。
※ 懇望(こんもう)- ひたすら願い望むこと。

一 右申し上げ候二ヶ条は、亜墨利加の為のみにこれ無く、諸州の希望に御座候。

一 只今申し上げ候は、西洋各国の希願にて、亜墨利加に於いては、左までの願いは御座なく候。
※ 希願(きがん)- こいねがうこと。切に望むこと。

一 日本の危難は、落ち掛り居り申し候。右英吉利、差し続き欧羅巴各国の事に御座候。
※ 英吉利(イギリス)- イギリスの漢字表記。(英、英国と略記)
※ 欧羅巴(ヨーロッパ)- ヨーロッパの漢字表記。(欧、欧州と略記)


一 英吉利国の水師提督ヤーメスステルリング取り結び候条約は、かの政府にては不伏(不服)に御座候。
※ 水師提督(すいしていとく)- 中国、清朝時代の官名。海軍を統率した武官。また一般に海軍の総指揮官や船団の長。
※ ヤーメスステルリング - ジェームス・スターリング。中国・東インド艦隊司令官。幕府と折衝して日英和親条約を締結した。


一 かの政府の心得にては、日本との交りも各国同様に致したきとの事に御座候。

一 英吉利は日本と争戦致し候儀を好んで、心掛け居り候。右の次第は、次に申し上ぐべく候。

一 英吉利は東印度所領を、魯西亜の為に、殊の外、気遺い恐れ居り候儀に御座候。
※ 東印度(ひがしいんど)- かつて、インド・インドシナ半島・マレー諸島などの一帯をさした呼称。
※ 魯西亜(ろしあ)-「ロシア」の漢字表記。漢字の意味に「魯鈍」の意があるため、後に表記が「露西亜」と改められる。


一 近来、英吉利、仏蘭西一致致し、魯西亜と戦争に及び候わば、魯西亜の所の蚕食致し候を悪(にく)み候ての儀に御座候。
※ 仏蘭西(ふらんす)- フランスの漢字表記。(仏、仏国と略記)
※ 蚕食(さんしょく)- 蚕が桑の葉を食うように、他の領域を片端からだんだんと侵していくこと。


一 魯西亜のサカレンアミルを領し居り候儀を、英国に於いて悪(にく)み居り申し候。
※ サカレン - サハリン。カラフトのこと。
※ アミル - アムール。アムール川の周り。ロシア、アムール州


一 魯西亜は、かの筋より満州及び唐国を横領致すべきもと、英吉利存じ申し候。
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