平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
道聴塗説 その八 4
朝から雨模様。今日から4月というのに、静岡はまだ桜の開花にならない。
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「道聴塗説 その八」の解読を続ける。
また賢護経四に、「然燈仏の所に於いて、この三昧を聞き已(おわ)りて、即ち、かくの如きの三昧を証して、諸の如来、常に現に前に在すを見る。これより已来、無量、阿僧祇を経て、諸の世尊の所に、皆なこの経を受け修行し、かの世尊を供養し上げる。我れに記して授けて曰わく、摩納、汝じ来世に於いて、当(まさ)に、作仏して釈迦牟尼如来と号する事を得」と、これ釈尊は然燈仏の弟子にして、念仏三昧を修し、成仏し給う。
※ 作仏(さぶつ)- 仏となること。また、最高の悟りを開くこと。成仏。
然れば、五十三仏は念仏三昧の伝燈の仏なり。五十四番に世自在王仏、出世し給う。これ法蔵菩薩の師なり。かくの如くなれば、釈尊は弥陀尊より先に念仏三昧を得給う。なれども、経文に二義を含めり。無量寿如来會と大乗荘厳経とには、世自王仏を初祖として、然燈仏を最後とす。その然燈仏のもとにて、釈尊は念仏三昧を伝え、阿弥陀仏は世自在王仏のもとにして、願行を起し給うなれば、然燈仏と世自
王仏と前後定らず。
※ 五十三仏 - 無量寿経に過去五十三仏として登場する諸仏。
※ 伝燈(でんとう)- その宗派の伝統を師から門弟へと伝えること。
※ 世自在王仏(せじざいおうぶつ)- 無量寿経に、五十四番目に出生した仏。法蔵菩薩(阿弥陀如来)の師仏とされる。
※ 無量寿如来會 - 上下二巻。唐時代の頃に、菩提流支三蔵によって訳された『無量寿経』の異訳。
釈迦弥陀の成仏も次第し難し。但し、非華経に、無諍念王は阿弥陀仏の因行にて、浄土に於いて成仏し、宝海梵志は釈尊の因行にて、穢土に成仏し給う。弥陀は智慧を修して先に成仏し、釈迦は大悲を行して後に成仏し給う。しかれば、悲智を以って論ずれば、弥陀を先とし、釈迦を後にすれば、世自在王を始祖として、五十四仏を列すべし。最後の然燈仏のもとにて、釈尊は法を伝えて今日に至る次第なり。
※ 無諍念王(むじょうねんおう)-「悲華経」に出る阿弥陀仏の因位の名。
※ 因位(いんに)- 仏道の修行中で、まだ悟りを開くに至らない位。菩薩の地位。
※ 因行(いんぎょう)- 仏果を得るための因となる行。
※ 宝海梵志(ほうかいぼんじ)- 無諍念王のもとで大臣を務めた者で、釈尊が過去に仏道修行に励んでいたときの名。
※ 穢土(えど)- 煩悩から抜けられない衆生、凡夫の住むこの世。 現世。娑婆。
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