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「亜米利加応接書」 12

(庭のピンクのツツジ)

ツツジとサツキは見分けがつきにくい。3月から5月の早く咲くのがツツジ、5月から7月の遅く咲くのがサツキだというから、昨日の花はツツジに名前を変えた。とは言っても、花の時期は重なっているし、見分けるのが中々難しい。

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「亜米利加応接書」の解読を続ける。

一 右租税の法、種々これ有り候えども、先ず他邦より輸入致し候ものに税より、十分成るものはこれ無く候。

一 交易の格別尊き義は、繰り返し申し上ぐべく候。

一 国々の懇切は交易より、と申し上げ候は、交易致し候えば、漸々睦ましく相成り候儀に御座候。

一 私儀、日本へ参り掛け、シャムへ罷り越し、条約相結び申し候。その後、右振り合い(バランス)を以って、同国(シャム)仏蘭西と条約相結び申し候。右亜米利加、佛蘭西と条約相結び候趣意、兼ねて英吉利、シャムを奪い候心組み、見候故、その横領を防ぎ候ための儀に御座候。
※ シャム - タイ王国の旧名。
※ 心組み(こころぐみ)- かねてからの心の用意。心積もり。心構え。


一 東印度は只今一円、英吉利の所領と相成り候えども、元来は数ヶ国に分かれ居り候処、何れも西洋と条約取り結ばざる故、遂に英国に一統致され候。右英国より切られ候砌(みぎり)、条約相結び候与国、相助け候ものこれ無き故、容易に改め取られ申し候。
※ 一統(いっとう)- 一つにまとめて治めること。統一。
※ 与国(よこく)- 互いに助け合う約束を結んだ間柄の国。味方の国。同盟国。


一 他邦と条約取り結ばず、一本立ちの国の損なる儀、諸方おいて、右より別して心付け申し候。

一 故に、日本に於いても、東印の振り合いを心得にて、勘考これ有り候様、存じ奉り候。

一 日本も交易御開き相成り候わば、御国の船印、諸州の港にて見知り候様、相成り申すべく候。

一 高山に格別眼力宜しき人登り、見候わば、亜米利加州の鯨漁船数艘、日本国の周(まわ)りに寄り合い、鯨漁致し候儀、相見申すべく候。自国致し難き業にもこれ無き処、絶(た)って問わず、他国の者にのみ利を得られ候段、笑止の事に御座候。

一 大統領より、亜米利加にて心得候儀は、何にても御伝え申し候様、申し付け候。

一 軍船、蒸気船、その外何様の軍器にても、御入用の品、御持ち渡し候様致すべく、海軍の士官、陸軍の士官、歩軍の士官、幾百人なりとも、御用候わば差し出し申し候。
※ 歩軍(ほぐん)- 歩兵。
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