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道聴塗説 その二 1

(隣りの茶畑のスズメ)

雨降りだが、南風が吹いて気温がぐんと上った。関東では春一番が吹いたという。午後、駿河古文書会で静岡へ行く。

写真は一昨日撮った隣の茶畑のスズメ。カメラを向けるとすぐに飛び立って、なかなか撮れなかったが、カメラを変えて、少し遠くからでもアップで撮れるようになった。さすがにこちらを向いては撮らせてくれないが。

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今日より、「道聴塗説 その二」の解読に入る。

その二
問う。世に伝う。蜷川が臨終に貉(たぬき)の来迎を感ずと。これに依りて疑う。臨終の奇特も行者の妄想、倒見なるべし。もし(く)は、野狐精魅の類にはあらずや。
※ 蜷川(にながわ)- 蜷川智蘊(ちうん)。室町時代の武士、連歌作者。新右衛門親当 (ちかまさ) と称した。室町幕府に政所代として仕えた。和歌を正徹に、連歌を梵灯庵主に学び、一休に参禅。『竹林抄』の連歌七賢の一人。
※ 倒見(とうけん)- 真理にそむいた謝った見解。
※ 野狐精魅(やこせいみ)- 狐憑き、狐に取り憑かれた者。


答う。禅定の魔障、行者を惑乱すること、起信論などにも出たり。天台摩訶止観に、広く明かし給う臨終の倒見、或は狐狸の妖変、これまた例多し。然るに、念仏行者の信心、決定したるは、臨終に邪魔など、障礙をなすことは極めて無きことなり。何故ぞと言えば、兎も角も無し。ただ仏智の不思議なり。
※ 魔障(ましょう)- 仏道の修行の妨げをなすもの。また、悪魔。
※起信論(きしんろん)- 大乗起信論。馬鳴(めみよう)著と伝わる、大乗仏教の代表的概説書。
※ 摩訶止観(まかしかん)- 隋の天台大師智顗が講述したものを、門人の灌頂が筆録した書。法華経実践修法の解説書、理論書。
※ 障礙(しょうげ)- 障害。妨げ。仏教では、悟りの障害となるものをいう。


蜷川が如きは、聖道自力の機感なれば、他力の例に非ず。如何なる天魔精魅にても、諸仏を惑乱すべき道理なければ、弥陀聖衆の来迎に障礙なき事も勿論なり。仏智を信ずるものは仏心なり。平生には摂取護念を得て、臨終には来迎引接を被るなり。
※ 聖道(しょうどう)- 聖道門。自ら修行して現世において悟りに到達しようとする自力の宗門。
※ 機感(きかん)- 仏が衆生の心の働きを感じ取って、それに対応すること。また、衆生の心の働きが、仏の導く力を感じること。
※ 精魅(しょうみ)- 妖怪。
※ 護念(ごねん)- 仏・菩薩が行者を心にかけて守ること。
※ 引接(いんじょう)- 仏・菩薩が衆生をその手に救い取り、悟りに導くこと。


但し、理性を沙汰する人は、来迎などを妄想虚見と申す事、世に多き例なり。或は人間、目前の事を実と執して、神仙の説をも疑い、まして地獄も天道の類いも知れぬことに思う類いは、ともに大道を論じ難し。
※ 大道(だいどう)- 人の行うべき正しい道。根本の道徳。
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