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「旅硯振袖日記 下之巻」 7

(諏訪原城本丸跡からみる金谷、元金谷宿)

一昨日、諏訪原城に行ったとき、本丸跡から金谷の町を見下ろす。遠くに富士山も見えている。

毎日、トランプ旋風が吹き荒れる。予想はしていたが、予想外なのは、それでもトランプ支持が減じないことである。

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「旅硯振袖日記 下之巻」の解読を続ける。

柳枝は象潟と、顔見合せて仰天し、なんと答(いら)えも、手をこまぬき、うち按ずれば、象潟も驚きながら嬉しさに、柳枝が傍にすり寄りて、
※ 手をこまぬく - 事が起きたときに、何もしないで傍観している。また、何もできないでいる。

大枚な身請けの金、済ませておいて、私をば、お前にやろうと親切な、艶の都さんに返事もせず、考えていずと、柳枝さん、早くお礼を、これ申し」と言われて柳枝は、こまねきたる手を解きて、膝に置き、艶の都にうち向いて、
※ 大枚(たいまい)- 多額のお金。大金 (たいきん)。

「縁もゆかりもなき拙者へ、心有りげな御意見の厚きが上に、なお厚き、世にも稀なる賜物を、辞退いたすも何とやら、心無きには似たれども、貴辺にもまた何かお望み、まずその子細を承り、その上にて、ともこうも」と、言うを打ち消し艶の都、
※ 貴辺(きへん)- 二人称の人代名詞。相手を敬って呼ぶ語。貴殿。
※ ともこうも -「ともかくも」の音変化。


「はてさて、野暮を言わしゃるな。望みというも別儀で無けれど、今宵こゝでは言い難し。明日朝未だきに、御身の家へ行きて、詳しく語るべし。子細を聞いて嫌ならば、その時返すとも遅くはあらじ。すでに身請けの済みたる象潟、貰うて家へ連れ帰り、我が行く明日を待たれよ」と、言いつゝ象潟が手を取りて、柳枝へ無理に渡しければ、喜ぶ象潟、柳枝はなお根疑い、不審の眉顰(ひそ)めながらに、また言うよう、
※ 御身(おんみ)- 二人称の人代名詞。敬意を含んでいう語。あなた。

「様子あり有りげな艶の都殿、何かは知らねど賜物の、象潟はまずお貰い申し、明日のお出でを待つべし」と、答うるひまに艶の都、手を打ち鳴らして、若い者を呼びて、帰る支度をなすに象潟は、羽織を着せなどし、送りて出ずれば、柳枝も人ともに、店まで送るほどに、艶の都は(はしご)を下り立ちながら、主(あるじ)を呼びて、さて象潟、この柳枝へ、呉れたる事を告げ知らせ、待たせ置きたるあつらえの、駕籠にうち乗り艶の都は、明日必ずと言葉をつがえ、柳枝らに別れて帰りけり。
※ 梯(はしご)- 階段。
※ あつらえ - 人に頼んでしてもらうこと。
※ つがえる - かたく約束する。
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