昨日、教員免許更新制度の廃止への動きについて書いたが、教員免許更新制度には、制度面、運用面、他の教育政策と合わせた総合的な効果という三つの面の課題があると思う。
私は、教員免許更新制度は、制度の立案の段階で、不適格教員、及び教職員の組織的な政治活動への対処という重要課題において、内容が後退したことに不満を持っている。しかし、不十分ではあるもののまずは現行制度を運用しながら、改善を図っていくべきものと思う。当制度を廃止することには、反対する。ましてや日教組の政策が政権与党の政策となって廃止にいたるとすれば、日本の政治と教育を誤らせる。
次期首相・鳩山由紀夫氏は、民主党の幹事長をしていた今年1月14日、日教組新春の集いに参加し、次のように語った。
「選挙のときにご支援を下さっている皆さんの温かいお気持ちに、感謝申し上げたい。日教組とともにこの国を担う覚悟だ」と。
さらにこの集会で、輿石東参議院議員は、次のように語った。
「(日教組は)政権交代にも手を貸す。教育の政治的中立といわれても、そんなものはありえない。政治から教育を変えていく。私も日教組とともに戦う。私も永遠に日教組の組合員であるという自負を持っている」と。
この発言は、国会議員でありながら、教育の政治的中立を目指す教育基本法や教育公務員特例法を否定し、日教組の組合員に違法な政治活動を促す問題発言である。
それを容認し、「日教組とともにこの国を担う覚悟だ」と公言している鳩山氏も、国政を担う政治家としての基本姿勢が問われる。
輿石氏が教員免許更新制度の廃止を謳うのは、上記発言に見る氏の政治姿勢、及び日教組と一体化した民主党の組織体質に基づくものであって、教員免許更新制度の存廃は、もはや教育の分野における論点にとどまらず、日本の政治全体に関わる問題になっていると思う。
次に本件に関する新聞記事を、クリップする。
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●産経新聞 平成21年9月14日号
http://sankei.jp.msn.com/life/education/090914/edc0909140306000-n1.htm
【主張】免許更新制「廃止」 教育改革後退を憂慮する
2009.9.14 03:05
民主党の輿石東(こしいし・あずま)参院議員会長兼代表代行が教員免許更新制の廃止に向け、改正案を来年の通常国会にも提出する考えを示した。
更新制は、教育に最も重要な教師の指導力向上を目的として今春、導入されたばかりだ。これに水をさす輿石氏の発言は問題で、教育改革を後退させてはならない。
更新制度では、10年ごとに指導法や最新の教育課題について30時間(5日間)以上の講習を受ける。そして模擬授業など実技を含めた試験により、5段階で評価される。60点未満だと不合格になり、2年以内の再講習で合格しないと免許が失効する。
これに対し、日本教職員組合(日教組)などは「教員の負担が増える」と制度導入に反対してきた。日教組出身の輿石氏は、総選挙前から「政府は先生の身分にまで口を出す必要はない」などと繰り返していた。今回は、平成23年度から免許更新制を廃止することに「間に合えばそうする」と、さらに踏み込んだ発言をした。
民主党はマニフェスト(政権公約)で、教員免許制度を「抜本的に見直す」としてきた。教員養成課程を6年制にするほか、教員の増員を強調している。教師の待遇や地位向上などを訴える日教組の主張に沿ったものだ。
だが教員養成課程を6年制に延ばしても、教師の質が良くなるかどうか疑問である。実際、大学の教育学部、大学院の教育内容そのものが理論に偏り、実践的でないなど課題が多い。
高倍率の試験を経て採用されても、保護者や子供とうまくコミュニケーションの取れない教師が目立つ。教育委員会によっては教師養成塾などをつくり、育成に苦心している。
また教師は自分の授業を客観的に評価される機会が極めて少ない。ベテランがマンネリ化し、学級崩壊を招くケースも報告されている。指導法を見直す機会としても、更新制は意味が大きい。
輿石氏は過去にも「教員の政治的中立はありえない」などと耳を疑う発言をした。だが政権が代わったからといって、教育の重要施策が特定団体の意向などでねじ曲げられることは許されない。
家庭や地域の教育力低下が懸念される中、公教育再生のカギを握るのは教師だ。適切に評価し、鍛える更新制を機能させねばダメな教師が増えるばかりだ。
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私は、教員免許更新制度は、制度の立案の段階で、不適格教員、及び教職員の組織的な政治活動への対処という重要課題において、内容が後退したことに不満を持っている。しかし、不十分ではあるもののまずは現行制度を運用しながら、改善を図っていくべきものと思う。当制度を廃止することには、反対する。ましてや日教組の政策が政権与党の政策となって廃止にいたるとすれば、日本の政治と教育を誤らせる。
次期首相・鳩山由紀夫氏は、民主党の幹事長をしていた今年1月14日、日教組新春の集いに参加し、次のように語った。
「選挙のときにご支援を下さっている皆さんの温かいお気持ちに、感謝申し上げたい。日教組とともにこの国を担う覚悟だ」と。
さらにこの集会で、輿石東参議院議員は、次のように語った。
「(日教組は)政権交代にも手を貸す。教育の政治的中立といわれても、そんなものはありえない。政治から教育を変えていく。私も日教組とともに戦う。私も永遠に日教組の組合員であるという自負を持っている」と。
この発言は、国会議員でありながら、教育の政治的中立を目指す教育基本法や教育公務員特例法を否定し、日教組の組合員に違法な政治活動を促す問題発言である。
それを容認し、「日教組とともにこの国を担う覚悟だ」と公言している鳩山氏も、国政を担う政治家としての基本姿勢が問われる。
輿石氏が教員免許更新制度の廃止を謳うのは、上記発言に見る氏の政治姿勢、及び日教組と一体化した民主党の組織体質に基づくものであって、教員免許更新制度の存廃は、もはや教育の分野における論点にとどまらず、日本の政治全体に関わる問題になっていると思う。
次に本件に関する新聞記事を、クリップする。
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●産経新聞 平成21年9月14日号
http://sankei.jp.msn.com/life/education/090914/edc0909140306000-n1.htm
【主張】免許更新制「廃止」 教育改革後退を憂慮する
2009.9.14 03:05
民主党の輿石東(こしいし・あずま)参院議員会長兼代表代行が教員免許更新制の廃止に向け、改正案を来年の通常国会にも提出する考えを示した。
更新制は、教育に最も重要な教師の指導力向上を目的として今春、導入されたばかりだ。これに水をさす輿石氏の発言は問題で、教育改革を後退させてはならない。
更新制度では、10年ごとに指導法や最新の教育課題について30時間(5日間)以上の講習を受ける。そして模擬授業など実技を含めた試験により、5段階で評価される。60点未満だと不合格になり、2年以内の再講習で合格しないと免許が失効する。
これに対し、日本教職員組合(日教組)などは「教員の負担が増える」と制度導入に反対してきた。日教組出身の輿石氏は、総選挙前から「政府は先生の身分にまで口を出す必要はない」などと繰り返していた。今回は、平成23年度から免許更新制を廃止することに「間に合えばそうする」と、さらに踏み込んだ発言をした。
民主党はマニフェスト(政権公約)で、教員免許制度を「抜本的に見直す」としてきた。教員養成課程を6年制にするほか、教員の増員を強調している。教師の待遇や地位向上などを訴える日教組の主張に沿ったものだ。
だが教員養成課程を6年制に延ばしても、教師の質が良くなるかどうか疑問である。実際、大学の教育学部、大学院の教育内容そのものが理論に偏り、実践的でないなど課題が多い。
高倍率の試験を経て採用されても、保護者や子供とうまくコミュニケーションの取れない教師が目立つ。教育委員会によっては教師養成塾などをつくり、育成に苦心している。
また教師は自分の授業を客観的に評価される機会が極めて少ない。ベテランがマンネリ化し、学級崩壊を招くケースも報告されている。指導法を見直す機会としても、更新制は意味が大きい。
輿石氏は過去にも「教員の政治的中立はありえない」などと耳を疑う発言をした。だが政権が代わったからといって、教育の重要施策が特定団体の意向などでねじ曲げられることは許されない。
家庭や地域の教育力低下が懸念される中、公教育再生のカギを握るのは教師だ。適切に評価し、鍛える更新制を機能させねばダメな教師が増えるばかりだ。
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