ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

外国人参政権付与と地域主権6

2009-09-25 08:57:20 | 時事
最終回。

●地域主権国家が東アジア共同体の一部になる

 民主党のマニフェストは政策の羅列になっており、分類や整理が雑で、全体を統一的に理解することが困難である。読んでも、民主党のめざす国家の全体像は明らかでない。しかし、直接国家像を表す言葉が一つだけ載っている。それが、「地域主権国家」である。地域主権国家については、先にその危険性を述べた。もう一つマニフェストには、国家像に関わる言葉がある。「東アジア共同体」である。地域主権国家は「東アジア共同体」と結びつくことで、さらに危険性を増す。
 民主党のマニフェストは、「5つの約束」の「5 雇用・経済」に「アジア・太平洋地域の域内協力体制を確立し、東アジア共同体の構築を目指します」と書いている。また「政策各論」の「7 外交」に「52.東アジア共同体の構築をめざし、アジア外交を強化する」と書いている。

 では、永住外国人への地方参政権付与、地域主権の実現、東アジア共同体の構築の三つが合体すると、日本はどうなるか。
 民主党の政策が実現されると、わが国は中央集権国家から地域主権国家に変わっていく。永住外国人は、強大化した地方自治体で、参政権を行使する。民主党は二重国籍を容認することも検討しているから、日本と外国の両方の国籍を持った外国人が増え、国政にも参加する。こうした地域主権国家・日本が、東アジア共同体の一員となる。
 鳩山氏は東アジア共同体の構築を言うが、それがどのような組織・機構なのか、主張に具体性がない。鳩山氏は、ヨーロッパ統合運動の創始者、クーデンホフ=カレルギーの「友愛」を理念として、東アジア共同体を説いているから、ヨーロッパのEU(欧州連合)をモデルとしているらしい。EUでは、加盟国は、経済的・政治的権限の一部を連合に委ねる。軍事的には、NATO(北大西洋条約機構)で、共同防衛体制を組む。こうした国家連合では、加盟国は、主権の一部を譲渡する形となる。
 わが国の民主党は、国内では、日本の主権を地方に分散し、外国人にも分譲する。中央政府は、群小の自治体と対等の関係でしかなく、国内を統治できない。国内基盤の弱い政府は、外交・安全保障においても、外国政府との交渉で、明確な主張と断固たる行動が出来ない。わが国は、こういう国家として、東アジア共同体に加入することになる。

●民主党の政策は、日本をシナ化に導く

 ヨーロッパには、中国のような巨大国家がない。中核国家のドイツとフランス、第2の大国であるイギリスは、経済・軍事・人口等で拮抗している。しかし、東アジアでは、中国が圧倒的な存在となりつつある。民主党の東アジア共同体は、そうした中国が主導する国際組織となるだろう。わが国と中国の間は、経済的には大差はないが、政治的には中国は拒否権を持つ国連安保理常任理事国であり、軍事的には核大国と日本では比較にならず、人口的には1対10もの差がある。
 民主党が構想する地域主権国家となった日本が、中国に政治的・軍事的に圧倒され、中国から多数の移民が流入し、参政権を得て、日本の社会や文化はシナ化していくだろう。中国には、一人っ子政策のために結婚できない青年男子が3千万人はいるという。彼らが日本に移住し、日本の女子との結婚が増えれば、日本民族は漢民族に段々、吸収されていくだろう。漢民族は父系社会ゆえ、シナの価値観、文化・習慣が日本列島に広がっていくだろう。
 それゆえ、私は、永住外国人への地方参政権付与、地域主権の実現、東アジア共同体の構築の三つを合体した民主党の政策は、日本の主権を国の内と外の両方向に解体し、日本が中国に併呑されていく道だと思う。民主党が思い描いているのは、目指すべき国家像ではなく、国家の解体と消滅の方法論なのである。
 中国は、チベットや新疆ウイグルを併呑し、自治区としている。チベット、ウイグルの固有の文化を破壊し、宗教を弾圧し、虐殺・虐待を行い、民族的にも弱小化する政策を強行している。わが国が将来、東アジア共同体という名の下に、中国の実質的な自治区にされていく可能性がある。わが国の政府が、民主党の政権であり、民主党の政策を中長期的に実現するものであれば、確実にわが国は、シナ化されてしまうだろう。
 私が、永住外国人への地方参政権付与、地域主権の実現に反対し、東アジア共同体の構築に異論を唱えるのは、このような危険性が高いからである。

 では、日本がこうした自壊・滅亡の道から逃れるには、どうすればよいか。それは、日本人が日本精神を取り戻し、わが国の伝統・文化・国柄を保守して、日本を再建することである。
 憲法を改正し、国民の自覚を高め、皇室の礎を確かにし、国防を充実させ、誇りある歴史と道徳を教える。こうした政策を実行する時にのみ、わが国は独立自尊の姿勢をもって、日本人の特徴を発揮し、アメリカや中国と共存共栄の道を進むことが出来る。この道を往かなければ、自壊・滅亡の道を下るだろう。(了)