12月14日に衆議院総選挙が行われる。私はアベノミクスについては基本的に支持するが、自民党には強い不満も持っている。不満の一つは、慰安婦問題に関する姿勢である。河野談話に関して河野洋平氏を国会に招致しようとせず、朝日新聞の関係者も招致しようとしない。国際社会に対して、誤解を解こうとしても、河野談話をそのままにしているのでは、有効な対応はできない。この慰安婦問題に最も積極的に取り組み、特に河野談話について正当な意見を述べている政治家の一人が、山田宏衆議院議員である。自民党の政治家は氏を見習うべきである。
山田氏は日本維新の会の分裂後、平沼赳夫氏らとともに次世代の党を創設し、現在同党の幹事長をしている。山田氏は、旧日本維新の会の「歴史問題検証プロジェクト・チーム」のメンバーとして、本年2月20日、衆院予算委員会で河野談話の問題点を追及し、国会に石原元官房副長官を参考人として呼んで質問し、重要な証言を引き出した。
山田氏は、同委員会で慰安婦問題について質問し、米グレンデール市の慰安婦像にそばに設置された碑文に、20万人の女性が「自宅」から強制連行され、「性奴隷」にされたという表現があることを示し、問題の重大性を明らかにした。また、聞き取り調査の資料公表を政府に求めた。政府は「個人情報保護」を盾に資料の公表には慎重な態度だが、氏名を隠すなり、偽名にするなりすれば済むことである。
山田氏は、参考人として招致された河野談話作成当時の官房副長官、石原信雄氏に質問を行った。石原氏は、河野談話について関し、国会で初めて証言した。証言は、NHKテレビで全国中継された。
石原氏は、談話作成にあたり、事実関係を明らかにするため関係省庁に資料調査を要請したが、「女性たちを強制的に(慰安婦に)従事させるという種の文書は発見できなかった」と説明し、「米国の図書館まで行ったが、女性たちを強制的に集めたことを客観的に裏付けるデータは見つからなかった」とも述べた。韓国側の強い要求で行われた元慰安婦16人の聞き取り調査については、「事実関係の裏付け調査は行われていない」と明言し、「当時の状況として、裏付け調査をこちらが要求するような雰囲気ではなかった」と語った。また、談話作成の過程で韓国側に文案を提示し、韓国側の要求を入れたことに関し、「私は承知していないが、この種のものをまとめる段階で、何らかの事務的なすり合わせはあったのかもしれない。作成過程で意見のすり合わせは当然行われたと推定される」との見解を示した。河野談話に対しては「慰安婦の募集は主として業者が行い、その過程で官憲や軍が関わった可能性があるという表現になっている」と述べ、「日本政府や日本軍の直接的な指示で慰安婦を募集したことを認めたわけではない」と強調した。事務方のトップだった人物が、国会でこのような証言を行ったことの意味は極めて重い。
石原氏の証言を受けて、菅義偉官房長官は、元慰安婦の聞き取り調査を検証するかどうか検討することを表明した。その後、政府は専門家チームを作って、河野談話に関する検証を行った。6月20日検証結果を明らかにする報告書が公表された。菅官房長官は、報告書の出された6月20日の記者会見で、韓国側へ報告書の概要を伝えたことを明らかにした上で、「談話を見直さないという政府の立場に何ら変わりはない」と述べた。
山田氏は、検証報告書について、裏付けとなる資料の添付が不十分だと指摘し、「単なる『日本側の主張』で片付けられてしまう可能性がある。国際社会に証拠を示さなければならない」と述べた。検証の根拠となった資料が明示されていないとして、再検証を求めた。
根拠資料のうち、特に元慰安婦の聞き取り調査資料は、早急に公開されなければならない。聞き取り調査資料は、元慰安婦の名前、出身地、生年すら不明確なものであると報じられている。政府は、外国人元慰安婦の「人権」より、日本国民に対して説明責任を果たす義務がある。自民党は、身内の責任問題に甘い。河野氏は、河野談話を出した後、党の総裁や衆議院議長を務めた。そうした河野氏を守ろうとしている。だが、自民党は、河野談話を擁護することによって、日本を「性奴隷国家」に貶めてきたのである。そのことを猛省し、根本的に態度を改めなければ、自民党の真の再生は不可能である。
さて、山田氏は、10月20日付の産経新聞のインタビュー記事で、慰安婦問題について、次のように述べた。
http://www.sankei.com/politics/news/141020/plt1410200007-n1.html
「朝日新聞は慰安婦報道を訂正しましたが、慰安婦問題自体はまだ終わっていません。平成5年8月の河野洋平官房長官談話が取り消されなければならない。自民党の萩生田光一総裁特別補佐は『上塗りするような新しい談話で事実上、否定する』との考えでしょうが、新たな談話で違った考えを出せば、国際社会は上塗りしたというよりも対立したものとしてとらえる可能性があり、あまり功を奏しません。
9月に訪米し、共和、民主両党の親日派議員と会いました。(略)『慰安婦の問題に新たな展開がある。完全に根拠のないものだと考えている。是非理解してくれ』と言うと、『でも日本の首相は何度も謝っているじゃないか。謝っている対象があるんだろ? その対象がなかったと君らは今になって言うのか?』と言ってきました。
旧日本軍は慰安婦を強制連行したのか、しなかったのか。政府が根拠にしたのは吉田清治氏の証言でもなければ、慰安婦の証言でもありません。河野さんが談話発表のときの記者会見で、談話の内容を『強制連行』と間違った形で意図的に発した。その結果、河野談話が強制連行を認めたものだと国際的に認知され、強制連行について謝る羽目になりました。
やはり河野さんが『記者会見での発言は間違っていた』『根拠のないものだった』とはっきり言わないと、河野談話の否定にはなりません。
なぜ河野さんは強制連行を認める発言をしたのか。想像するに、河野さんの善意であれば、『これで終わるのだから』と韓国におもねった。悪意であれば、何か韓国と取引をした可能性があるかないかを調べる必要があります。いずれにせよ間違ったことをわざと仰ったと思います。
河野さんは『強制連行』と発言した根拠を出せるわけがありません。どこにもないのですから。ある自民党議員から『河野さんを国会に呼んでも“自分は正当だ”と主張したら逆効果になるのではないか』と言われましたが、『何を弱気を言っている。自民党もだらしない。僕が河野さんをねじり伏せる』と反論しましたよ。
河野さんを国会に呼んで『強制連行は否定ですね?』と問い詰め、『この場で否定する。間違っていた』と答えたら、かなりの部分が消えます。それは言ってもらわなければいけない。
7月に河野さんに国会での説明を求める手紙を送りましたが、返事も何もありません。僕はかつて河野さんが立ち上げた新自由クラブから東京都議会に出ました。河野さんをよく知っています。だからこそ仁義を切って考えを伝えようと手紙を書きましたが、返事がないのでこれからは堂々とやります」
自民党は、日本の名誉回復より党内事情を優先するこれまでの誤った態度を改め、河野洋平氏らを国会招致すべきである。その際、山田氏にはぜひ河野氏への質問をしてもらいたいものである。
次回に続く。
山田氏は日本維新の会の分裂後、平沼赳夫氏らとともに次世代の党を創設し、現在同党の幹事長をしている。山田氏は、旧日本維新の会の「歴史問題検証プロジェクト・チーム」のメンバーとして、本年2月20日、衆院予算委員会で河野談話の問題点を追及し、国会に石原元官房副長官を参考人として呼んで質問し、重要な証言を引き出した。
山田氏は、同委員会で慰安婦問題について質問し、米グレンデール市の慰安婦像にそばに設置された碑文に、20万人の女性が「自宅」から強制連行され、「性奴隷」にされたという表現があることを示し、問題の重大性を明らかにした。また、聞き取り調査の資料公表を政府に求めた。政府は「個人情報保護」を盾に資料の公表には慎重な態度だが、氏名を隠すなり、偽名にするなりすれば済むことである。
山田氏は、参考人として招致された河野談話作成当時の官房副長官、石原信雄氏に質問を行った。石原氏は、河野談話について関し、国会で初めて証言した。証言は、NHKテレビで全国中継された。
石原氏は、談話作成にあたり、事実関係を明らかにするため関係省庁に資料調査を要請したが、「女性たちを強制的に(慰安婦に)従事させるという種の文書は発見できなかった」と説明し、「米国の図書館まで行ったが、女性たちを強制的に集めたことを客観的に裏付けるデータは見つからなかった」とも述べた。韓国側の強い要求で行われた元慰安婦16人の聞き取り調査については、「事実関係の裏付け調査は行われていない」と明言し、「当時の状況として、裏付け調査をこちらが要求するような雰囲気ではなかった」と語った。また、談話作成の過程で韓国側に文案を提示し、韓国側の要求を入れたことに関し、「私は承知していないが、この種のものをまとめる段階で、何らかの事務的なすり合わせはあったのかもしれない。作成過程で意見のすり合わせは当然行われたと推定される」との見解を示した。河野談話に対しては「慰安婦の募集は主として業者が行い、その過程で官憲や軍が関わった可能性があるという表現になっている」と述べ、「日本政府や日本軍の直接的な指示で慰安婦を募集したことを認めたわけではない」と強調した。事務方のトップだった人物が、国会でこのような証言を行ったことの意味は極めて重い。
石原氏の証言を受けて、菅義偉官房長官は、元慰安婦の聞き取り調査を検証するかどうか検討することを表明した。その後、政府は専門家チームを作って、河野談話に関する検証を行った。6月20日検証結果を明らかにする報告書が公表された。菅官房長官は、報告書の出された6月20日の記者会見で、韓国側へ報告書の概要を伝えたことを明らかにした上で、「談話を見直さないという政府の立場に何ら変わりはない」と述べた。
山田氏は、検証報告書について、裏付けとなる資料の添付が不十分だと指摘し、「単なる『日本側の主張』で片付けられてしまう可能性がある。国際社会に証拠を示さなければならない」と述べた。検証の根拠となった資料が明示されていないとして、再検証を求めた。
根拠資料のうち、特に元慰安婦の聞き取り調査資料は、早急に公開されなければならない。聞き取り調査資料は、元慰安婦の名前、出身地、生年すら不明確なものであると報じられている。政府は、外国人元慰安婦の「人権」より、日本国民に対して説明責任を果たす義務がある。自民党は、身内の責任問題に甘い。河野氏は、河野談話を出した後、党の総裁や衆議院議長を務めた。そうした河野氏を守ろうとしている。だが、自民党は、河野談話を擁護することによって、日本を「性奴隷国家」に貶めてきたのである。そのことを猛省し、根本的に態度を改めなければ、自民党の真の再生は不可能である。
さて、山田氏は、10月20日付の産経新聞のインタビュー記事で、慰安婦問題について、次のように述べた。
http://www.sankei.com/politics/news/141020/plt1410200007-n1.html
「朝日新聞は慰安婦報道を訂正しましたが、慰安婦問題自体はまだ終わっていません。平成5年8月の河野洋平官房長官談話が取り消されなければならない。自民党の萩生田光一総裁特別補佐は『上塗りするような新しい談話で事実上、否定する』との考えでしょうが、新たな談話で違った考えを出せば、国際社会は上塗りしたというよりも対立したものとしてとらえる可能性があり、あまり功を奏しません。
9月に訪米し、共和、民主両党の親日派議員と会いました。(略)『慰安婦の問題に新たな展開がある。完全に根拠のないものだと考えている。是非理解してくれ』と言うと、『でも日本の首相は何度も謝っているじゃないか。謝っている対象があるんだろ? その対象がなかったと君らは今になって言うのか?』と言ってきました。
旧日本軍は慰安婦を強制連行したのか、しなかったのか。政府が根拠にしたのは吉田清治氏の証言でもなければ、慰安婦の証言でもありません。河野さんが談話発表のときの記者会見で、談話の内容を『強制連行』と間違った形で意図的に発した。その結果、河野談話が強制連行を認めたものだと国際的に認知され、強制連行について謝る羽目になりました。
やはり河野さんが『記者会見での発言は間違っていた』『根拠のないものだった』とはっきり言わないと、河野談話の否定にはなりません。
なぜ河野さんは強制連行を認める発言をしたのか。想像するに、河野さんの善意であれば、『これで終わるのだから』と韓国におもねった。悪意であれば、何か韓国と取引をした可能性があるかないかを調べる必要があります。いずれにせよ間違ったことをわざと仰ったと思います。
河野さんは『強制連行』と発言した根拠を出せるわけがありません。どこにもないのですから。ある自民党議員から『河野さんを国会に呼んでも“自分は正当だ”と主張したら逆効果になるのではないか』と言われましたが、『何を弱気を言っている。自民党もだらしない。僕が河野さんをねじり伏せる』と反論しましたよ。
河野さんを国会に呼んで『強制連行は否定ですね?』と問い詰め、『この場で否定する。間違っていた』と答えたら、かなりの部分が消えます。それは言ってもらわなければいけない。
7月に河野さんに国会での説明を求める手紙を送りましたが、返事も何もありません。僕はかつて河野さんが立ち上げた新自由クラブから東京都議会に出ました。河野さんをよく知っています。だからこそ仁義を切って考えを伝えようと手紙を書きましたが、返事がないのでこれからは堂々とやります」
自民党は、日本の名誉回復より党内事情を優先するこれまでの誤った態度を改め、河野洋平氏らを国会招致すべきである。その際、山田氏にはぜひ河野氏への質問をしてもらいたいものである。
次回に続く。
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