産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏によると、慰安婦問題に関する米国教科書の誤記への日本側の抗議を糾弾した米国側の歴史学者たちの主張に対して、鋭い批判を行う米国人学者が現れた。
マグロウヒル社の教科書の記述に関して、わが国の外務省は昨年11月、出版社と著者に記述の訂正を求めたが、いずれも拒否された。この動きに関して、米国側の19人の学者が今年3月、教科書の記述は正しく、日本側の抗議は学問や言論の自由への侵害だとする声明を発表した。声明は、米国歴史学会の月刊機関誌3月号に掲載された。これに対し、日本の19人の有識者が反論を発表したが、米国側の学者は、まともに応じようとしていない。
こうしたなか、米国側の歴史学者たちを批判する声を上げたのが、ジェイソン・モーガン氏である。モーガン氏は、ウィスコンシン大学博士課程の日本史研究者で、現在早稲田大学で日本法制史を研究中。米国側の学者が声明を掲載した同じ歴史学会機関誌に、彼らを批判する論文を投稿した。その骨子が古森氏の記事に掲載されている。モーガン氏は、「米国の日本歴史学界でこの19人の明白な錯誤の意見に誰も反対しないという状態こそ学問の自由の重大なゆがみだと思う」と強調しているという。米国の日本史学界に吹き始めた「新風」に期待したい。
モーガン氏は、4月24日、国家基本問題研究所(JINF)の企画委員会で、アメリカの間違った対日歴史観について講演した。氏は、先の大戦で航空母艦の乗組員だった祖父から「国の為に自分の命を捧げる日本の特攻隊員の潔さ」を教えられたのがきっかけで日本研究の道に入った。その後、日本について学べば学ぶほど、「アメリカの見方がおかしい」と思うようになった、という。
マックス・フォン・シュラー・コバヤシ氏、トニー・マラーノ氏、マイケル・ヨン氏、ケント・ギルバート氏ら、米国の自由と公正の精神を以て、日本を弁護してくれる人々に感謝したい。
以下は、古森氏及びJINFの記事。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成27年5月2日
http://www.sankei.com/world/news/150502/wor1505020018-n1.html
2015.5.2 10:30更新
【緯度経度】
米歴史教科書慰安婦記述へ批判、米学界に「新風」 古森義久
米国の学問の自由もまだまだ健在のようだ。慰安婦問題での米国の教科書の誤記への日本側の抗議を逆に糾弾した米国側の歴史学者19人の主張に対して、新進の米国人学者から鋭い批判がぶつけられたのだ。
米国側の学者たちこそ慰安婦問題の事実関係を真剣にみず、日本側からの正当な抗議を「右翼」「修正主義」という意味の不明なののしり言葉で封じ込めている、という批判だった。
この批判を表明したのは米国ウィスコンシン大学博士課程の日本史研究者ジェイソン・モーガン氏で、米国歴史学会(AHA)の機関誌への投稿という形をとった。同氏は学者としては新進とはいえ37歳、アジアへの関与は豊富で中国と韓国に研究のため住んだほか、日本では4年ほど翻訳会社を経営した後、米国のアカデミズムに戻るという異色の経歴である。現在はフルブライト奨学金学者として早稲田大学で日本の法制史を研究している。
そのモーガン氏が先輩の米国側歴史学者たちを批判した発端は、米国マグロウヒル社の教科書の慰安婦に関する記述だった。周知のように同教科書は「日本軍が組織的に20万人の女性を強制連行した」という虚構を前提に、「日本軍は慰安婦を多数殺した」「慰安婦は天皇からの軍隊への贈り物だった」と記していた。
日本の外務省は昨年11月、出版社と著者に記述の訂正を求めたが、いずれも拒否された。米国側の学者たちはこの動きを受けて今年3月、教科書の記述は正しく、日本側の抗議は学問や言論の自由への侵害だとする声明を発表した。
同声明は慰安婦問題での長年の日本糾弾で知られるコネティカット大学のアレクシス・ダデン教授が中心となり、コロンビア大学のキャロル・グラック教授や同教科書の問題記述の筆者のハワイ大学ハーバート・ジーグラー准教授ら合計19人が署名した。その要旨はダデン教授を代表として米国歴史学会の月刊機関誌3月号に声明の形で掲載された。
モーガン氏はこの声明への反論を4月下旬にまとめて同誌に投稿するとともに、他のサイトなどで公表した。その反論の骨子は以下のようだった。
▽19人の声明は慰安婦に関する日本政府の事実提起の主張を言論弾圧と非難するが、非難の根拠となる事実を明示していない。
▽声明は吉見義明氏の研究を「20万強制連行説」などのほぼ唯一の論拠とするが、同氏も強制連行の証拠はないことを認めている。
▽声明は米国の研究者も依拠したことが明白な朝日新聞の誤報や吉田清治氏の虚言を一切無視することで、歴史研究者の基本倫理に違反している。
▽声明は日本側で慰安婦問題の事実を提起する側を「右翼」「保守」「修正主義」などという侮蔑的なレッテル言葉で片づけ、真剣な議論を拒んでいる。
▽声明は日本政府の動きを中国などの独裁国家の言論弾圧と同等に扱い、自分たちが日本政府機関からの資金で研究をしてきた実績を無視している。
以上の主張を表明したモーガン氏は、「米国の日本歴史学界でこの19人の明白な錯誤の意見に誰も反対しないという状態こそ学問の自由の重大なゆがみだと思う」と強調した。慰安婦問題では日本側の事実に基づく主張にさえ耳を傾けない米国の日本研究者の間にも新しい風が生まれたと思いたい。(ワシントン駐在客員特派員)
●国家基本問題研究所のサイト
https://jinf.jp/news/archives/15808
2015.04.24 (金)
アメリカの間違った対日歴史観 ジェイソン・モーガン・早稲田大学フルブライト研究者
早稲田大学フルブライト研究者のジェイソン・モーガン氏は4月24日、国家基本問題研究所企画委員会で、アメリカの間違った対日歴史観について講演、アメリカの歴史学者のほとんどが先の大戦後日本側をさばいた連合国側の東京裁判を鵜呑みにしており、慰安婦問題など日本側からの異論を全く認めない偏見に満ちている、との見解を明らかにした。
モーガン氏は、アメリカ歴史学会の対日歴史観は、潜在的な人種差別をベースに、東京裁判判決が加わり、その後のアメリカを脅かした日本の経済進出、そして現在は中国の経済、政治、軍事的な攻勢の中で、左翼的な日本悪者論が固定化していると指摘している。このため、日本側が南京事件や慰安婦問題、靖国参拝など日本非難に抗議しても全く受け付けず、相手側にも反論する権利があることさえ認めない頑なさが顕著で、学問の自由を自ら放棄している、と厳しく批判した。アメリカの歴者学者はほとんどが日本語の資料、書籍などを読んでおらず、日本側としては、いろいろな機会、ルートを通して事実を粘り強く伝えていく必要がある、と強調した。
モーガン氏は、先の大戦で航空母艦の乗組員だった祖父から「国の為に自分の命を捧げる日本の特攻隊員の潔さ」を教えられたのがきっかけで日本研究の道に入った、という。その後、日本について学べば学ぶほど、「アメリカの見方がおかしい」と思うようになった、と述べている。特に中国系アメリカ人・アイリス・チャンの「ザ・レイプ・オブ南京」はウソで固められている、と断言した。
モーガン氏は、今夏には早大での研究を終え、母校ウィスコンシン大学大学院の歴史学部に戻ることになっている。(文責・国基研)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
関連掲示
・拙稿「慰安婦問題:米教科書会社に秦郁彦氏らが訂正要求」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/7464ca0fabc8f24ce6c47cf64400a7a5
・拙稿「慰安婦問題:マイケル・ヨン氏『全部が嘘だったのだ』」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/798dd3338a95fd87129e6c011de64116
マグロウヒル社の教科書の記述に関して、わが国の外務省は昨年11月、出版社と著者に記述の訂正を求めたが、いずれも拒否された。この動きに関して、米国側の19人の学者が今年3月、教科書の記述は正しく、日本側の抗議は学問や言論の自由への侵害だとする声明を発表した。声明は、米国歴史学会の月刊機関誌3月号に掲載された。これに対し、日本の19人の有識者が反論を発表したが、米国側の学者は、まともに応じようとしていない。
こうしたなか、米国側の歴史学者たちを批判する声を上げたのが、ジェイソン・モーガン氏である。モーガン氏は、ウィスコンシン大学博士課程の日本史研究者で、現在早稲田大学で日本法制史を研究中。米国側の学者が声明を掲載した同じ歴史学会機関誌に、彼らを批判する論文を投稿した。その骨子が古森氏の記事に掲載されている。モーガン氏は、「米国の日本歴史学界でこの19人の明白な錯誤の意見に誰も反対しないという状態こそ学問の自由の重大なゆがみだと思う」と強調しているという。米国の日本史学界に吹き始めた「新風」に期待したい。
モーガン氏は、4月24日、国家基本問題研究所(JINF)の企画委員会で、アメリカの間違った対日歴史観について講演した。氏は、先の大戦で航空母艦の乗組員だった祖父から「国の為に自分の命を捧げる日本の特攻隊員の潔さ」を教えられたのがきっかけで日本研究の道に入った。その後、日本について学べば学ぶほど、「アメリカの見方がおかしい」と思うようになった、という。
マックス・フォン・シュラー・コバヤシ氏、トニー・マラーノ氏、マイケル・ヨン氏、ケント・ギルバート氏ら、米国の自由と公正の精神を以て、日本を弁護してくれる人々に感謝したい。
以下は、古森氏及びJINFの記事。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成27年5月2日
http://www.sankei.com/world/news/150502/wor1505020018-n1.html
2015.5.2 10:30更新
【緯度経度】
米歴史教科書慰安婦記述へ批判、米学界に「新風」 古森義久
米国の学問の自由もまだまだ健在のようだ。慰安婦問題での米国の教科書の誤記への日本側の抗議を逆に糾弾した米国側の歴史学者19人の主張に対して、新進の米国人学者から鋭い批判がぶつけられたのだ。
米国側の学者たちこそ慰安婦問題の事実関係を真剣にみず、日本側からの正当な抗議を「右翼」「修正主義」という意味の不明なののしり言葉で封じ込めている、という批判だった。
この批判を表明したのは米国ウィスコンシン大学博士課程の日本史研究者ジェイソン・モーガン氏で、米国歴史学会(AHA)の機関誌への投稿という形をとった。同氏は学者としては新進とはいえ37歳、アジアへの関与は豊富で中国と韓国に研究のため住んだほか、日本では4年ほど翻訳会社を経営した後、米国のアカデミズムに戻るという異色の経歴である。現在はフルブライト奨学金学者として早稲田大学で日本の法制史を研究している。
そのモーガン氏が先輩の米国側歴史学者たちを批判した発端は、米国マグロウヒル社の教科書の慰安婦に関する記述だった。周知のように同教科書は「日本軍が組織的に20万人の女性を強制連行した」という虚構を前提に、「日本軍は慰安婦を多数殺した」「慰安婦は天皇からの軍隊への贈り物だった」と記していた。
日本の外務省は昨年11月、出版社と著者に記述の訂正を求めたが、いずれも拒否された。米国側の学者たちはこの動きを受けて今年3月、教科書の記述は正しく、日本側の抗議は学問や言論の自由への侵害だとする声明を発表した。
同声明は慰安婦問題での長年の日本糾弾で知られるコネティカット大学のアレクシス・ダデン教授が中心となり、コロンビア大学のキャロル・グラック教授や同教科書の問題記述の筆者のハワイ大学ハーバート・ジーグラー准教授ら合計19人が署名した。その要旨はダデン教授を代表として米国歴史学会の月刊機関誌3月号に声明の形で掲載された。
モーガン氏はこの声明への反論を4月下旬にまとめて同誌に投稿するとともに、他のサイトなどで公表した。その反論の骨子は以下のようだった。
▽19人の声明は慰安婦に関する日本政府の事実提起の主張を言論弾圧と非難するが、非難の根拠となる事実を明示していない。
▽声明は吉見義明氏の研究を「20万強制連行説」などのほぼ唯一の論拠とするが、同氏も強制連行の証拠はないことを認めている。
▽声明は米国の研究者も依拠したことが明白な朝日新聞の誤報や吉田清治氏の虚言を一切無視することで、歴史研究者の基本倫理に違反している。
▽声明は日本側で慰安婦問題の事実を提起する側を「右翼」「保守」「修正主義」などという侮蔑的なレッテル言葉で片づけ、真剣な議論を拒んでいる。
▽声明は日本政府の動きを中国などの独裁国家の言論弾圧と同等に扱い、自分たちが日本政府機関からの資金で研究をしてきた実績を無視している。
以上の主張を表明したモーガン氏は、「米国の日本歴史学界でこの19人の明白な錯誤の意見に誰も反対しないという状態こそ学問の自由の重大なゆがみだと思う」と強調した。慰安婦問題では日本側の事実に基づく主張にさえ耳を傾けない米国の日本研究者の間にも新しい風が生まれたと思いたい。(ワシントン駐在客員特派員)
●国家基本問題研究所のサイト
https://jinf.jp/news/archives/15808
2015.04.24 (金)
アメリカの間違った対日歴史観 ジェイソン・モーガン・早稲田大学フルブライト研究者
早稲田大学フルブライト研究者のジェイソン・モーガン氏は4月24日、国家基本問題研究所企画委員会で、アメリカの間違った対日歴史観について講演、アメリカの歴史学者のほとんどが先の大戦後日本側をさばいた連合国側の東京裁判を鵜呑みにしており、慰安婦問題など日本側からの異論を全く認めない偏見に満ちている、との見解を明らかにした。
モーガン氏は、アメリカ歴史学会の対日歴史観は、潜在的な人種差別をベースに、東京裁判判決が加わり、その後のアメリカを脅かした日本の経済進出、そして現在は中国の経済、政治、軍事的な攻勢の中で、左翼的な日本悪者論が固定化していると指摘している。このため、日本側が南京事件や慰安婦問題、靖国参拝など日本非難に抗議しても全く受け付けず、相手側にも反論する権利があることさえ認めない頑なさが顕著で、学問の自由を自ら放棄している、と厳しく批判した。アメリカの歴者学者はほとんどが日本語の資料、書籍などを読んでおらず、日本側としては、いろいろな機会、ルートを通して事実を粘り強く伝えていく必要がある、と強調した。
モーガン氏は、先の大戦で航空母艦の乗組員だった祖父から「国の為に自分の命を捧げる日本の特攻隊員の潔さ」を教えられたのがきっかけで日本研究の道に入った、という。その後、日本について学べば学ぶほど、「アメリカの見方がおかしい」と思うようになった、と述べている。特に中国系アメリカ人・アイリス・チャンの「ザ・レイプ・オブ南京」はウソで固められている、と断言した。
モーガン氏は、今夏には早大での研究を終え、母校ウィスコンシン大学大学院の歴史学部に戻ることになっている。(文責・国基研)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
関連掲示
・拙稿「慰安婦問題:米教科書会社に秦郁彦氏らが訂正要求」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/7464ca0fabc8f24ce6c47cf64400a7a5
・拙稿「慰安婦問題:マイケル・ヨン氏『全部が嘘だったのだ』」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/798dd3338a95fd87129e6c011de64116
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-705.html
ご紹介いただいたビデオは、後日時間のある時に見てみます。今後ともよろしくお願いいたします。
参加者の一人Bio Yook 氏がアップデートしたMadMonarchist 氏の ビデオ 「The Politically incorrect truth 」は、なかなかの傑作です。本人のブログサイトによると、Madmonarchist氏も、マラーノ氏同様テキサスの人だそうです。
https://asiansecurityblog.wordpress.com/2015/07/20/how-japan-manages-to-hang-tough-in-history-debates-with-korea-china/#more-3434