ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

子ども手当を廃止し親学の振興を

2011-08-24 08:46:32 | 時事
 子ども手当が、廃止される見込みとなった。私は、当初から子ども手当に反対した。、その理由の一つは家庭道徳においてマイナスが大きいことである。貧富の差はあれ、親が一生懸命働いて子供を育てる、その姿に子供は感謝し、親の背中を見て成長していくものである。ところが、国が家庭に子ども手当を配り、子供はその金で自分が学校に行っているし、生活費にもなっているとわかると、親に感謝しなくなるだろう。親は「誰のお陰でご飯を食べられると思っているんだ!」などと叱れなくなる。子供も親に向かって、「俺は父さん、母さんに養われてんじゃないよ!」などと言い出すだろう。
 親が子供を愛情を持って育て、子供はその親に感謝する。そこに家庭道徳の重要な要素がある。子ども手当の配布によって、家庭教育は基盤から崩壊するおそれがある。
 子供手当には、子供は国家が育てるという社会主義的な発想が根底にある。ソ連が行なった育児の社会化が原型である。また親子関係を単なる個人と個人の関係にして個人主義を徹底し、また女性の母性的役割をなくすフェミニズムを浸透させようという思想が、社会主義的発想と融合している。
 日本の家庭を解体し、日本を全く違う社会に変える。その動きの一環が子ども手当だと私は見ている。子ども手当と夫婦別姓は、別のものではない。ともに個人主義を徹底して、家族を解体する作用をする。子ども手当と夫婦別姓がセットで作用するとき、親子・夫婦の絆がゆるみ、家族の個別化・アトム化が進む。
 私は、このように考えてきた。

 子ども手当の廃止に当たり、家庭教育、特に親のあり方を真剣に考え直すべきである。私は、日本を立て直すには、教育が大切であり、教育は家庭における子どものしつけに始まると思う。子どものしつけをするには、しつけのできる親を育てる必要がある。そこで、親になるための勉強、親が親らしくできるようになるための訓練、すなわち親学(おやがく)が求められている。
 平成13年3月、わが国で「親学会」が発足した。以来、さまざまな専門家・教育者が集まって親学の研究・教育を行なってきた。
 一般財団法人「親学推進協会」理事長をしている高橋史朗明星大学教授は、次のように書いている。
 「『親学』の基礎・基本の第一は、教育の原点は家庭にあり、親は人生最初の教師であって、教育の第一義的責任を負うということである。(略)第二は、胎児期、乳児期、幼児期前期、幼児期後期、児童期、思春期という子供の発達段階によって、家庭教育で配慮すべき点が異なるということである。(略)第三は、父性と母性の役割を明確にすることである。父性とは『切る』特性で『義愛』であり、母性とは『包み込む』特性で『慈愛』である」と。(『続・親学のすすめ』)
 私は、親学は国を挙げて大いに普及・振興すべき課題だと思うが、現状では民間団体が連携して、地道に普及に努めているところである。なかでも高橋氏が理事長を務める「親学推進協会」は、平成18年に埼玉県を拠点として活動を開始し、今日に至っている。
 高橋氏は、7月23日の産経新聞に、「『親学』は道徳教育の土台」という記事を書いた。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110723/trd11072307400000-n1.htm
 記事の中で、高橋氏は読売新聞社が行った政府による道徳教育の強化方針に関する世論調査の結果について書いている。この調査は、平成19年(2007)8月4~5日に実施された。安倍晋三内閣の時期で、前年の平成18年12月に、戦後初めて教育基本法が改正され、政府は道徳教育の強化を進めようとしていた。読売の調査は、道徳教育の強化を検討している政府の方針について聞いたところ、賛成が「どちらかといえば」も含めて92%。反対は「どちらかといえば」を含めて6%だった。「最近、日本人のマナーが悪くなったと感じることがある」と感じるのは、「よく」「ときどき」を合わせて88%。マナー悪化の原因については、「家庭でのしつけに問題」が77%だった。
 だが、その後の内閣は、道徳教育の強化を積極的に進めているとは言えない。家庭教育や親のあり方にまで踏み込んで、日本を変えようという動きになっていないのは、非常に残念である。
 高橋氏は、「わが国のこれまでの子育て支援策は、保育サービスの量的拡大による働く女性の子育て負担の軽減を目指す少子化対策として位置づけられてきたが、親の役割について学び、親として成長することを支援する『親育ち』支援こそが求められている」とし、「これから親となる者の『親になるための学習』と『親としての学習』に本格的に取り組むことが道徳教育の土台になることを明確に位置づけ国民運動を展開する必要があろう」と述べている。
 同感である。私は、日本の復興は日本精神の復興からという意見を述べているが、日本精神の復興においては、教育、特に家庭教育が重要である。親学の普及・振興には、教育基本法を再改正して、そのことを盛り込み、国民全体で取り組む運動を起すことが必要だと思う。

関連掲示
・拙稿「『親学』を学ぼう、広めよう」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion02j.htm
・拙稿「日本再建のため、教育基本法の再改正を~ほそかわ私案」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion02e.htm

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