ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

友愛を捨てて、日本に返れ56

2010-03-05 10:00:16 | 文明
●日本は米中共衰を見越して進め

 西洋近代文明が生んだ政治・経済の思想・体制が、資本主義と共産主義であり、これらはいずれ崩壊する。だから、日本はその先を見越して、新たな文明を創造・提示すべきである。わが国は、米中の間にあって、しっかりした理念を立て、長期的な展望をもって、存立と繁栄を図らねばならない。私は、日本は従米でも従中でもなく、独立自尊の道を行き、西洋文明の模倣でも、シナ文明の追従でもなく、独自の文明を発展させて、アジアと世界の平和と繁栄に貢献すべきと思う。しかし、鳩山氏の「友愛外交」には、文明を創造する根本的な理念も長期的な展望もない。
 本来日本は、西洋近代に生まれた物質偏重・自然支配の文明から新たな文明へと世界全体を先導する役割がある。その新たな文明とは、物心調和・共存共栄の文明である。わが国は、そうした文明を築きうる文化を、伝統として受け継いできている。そのことを認識した上で、わが国は、現代世界の二大大国であり、また西洋文明とシナ文明を代表するアメリカと中国に対し、自らのできることを果たしていくべきだと思う。

●アメリカに対して日本が果たすべき役割

 まずアメリカに対してであるが、アメリカは、軍事的にはわが国の唯一の同盟国であり、安全保障上の重要性は、他国と比較にならないほど大きい。しかし、それがために、アメリカに依存し、追従する政策は誤りである。日本は自立と共栄の道を進まねばならない。そのうえで、わが国はアメリカに対して、経済や軍事で対抗するのではなく、新たな文化を提示することが求められる。
 なにより日本文明の文化的アイデンティを再確認することが必要である。文明の中核には宗教ないし精神文化がある。日本文明の場合、それを最もよく表しているのは、皇室・神道・武士道だと私は思う。そしてそれらを貫いているのが、日本精神である。その伝統的な精神を受け継いで、今日において発揮するところに、日本文明が日本文明として維持・発展する道がある。日本人が日本人としての精神を発揮することが、新たな文明を創造する力となる。
 そして、アメリカに対して、日本の精神文化を伝えることが大切である。物質偏重ではなく、物心調和の価値観を示すことが、アメリカにおける価値観の変化を促すことになる。アメリカは長期的には脱西洋化せざるを得ない。有色人種が人口の多くを占める人口構成の変化とそれに伴う多文化化がそれを示している。そしてそこに日本の精神文化を伝えることは、西洋近代文明の矛盾・限界を縮小させることになるだろう。またアメリカを変えることによって、ヨーロッパにも影響が波及する。さらに西洋近代文明全体にも波及していく。

●中国に対して日本が果たすべき役割
 
 次に中国に対してであるが、中国の繁栄は長続きしない。中国が破滅を逃れるには、共産主義を放棄して民主化することが必要である。民主化は、漢民族内部だけでなく、少数民族(チベット、ウイグル等)を含み、民族自治を認めることが必要である。そのうえで私は、中国は伝統的な道徳と自然観を回復しなければ、だめだと思う。単なる民主的な近代国家では、イギリス・アメリカの後継者となるに過ぎない。東洋・アジアの文明を復興し、文明を転換しえてこそ、世界に貢献できる国家となり得る。
 ただし、私は、この転換は中国単独では無理だと思っている。中国は伝統的な道徳と自然観を失いすぎている。もはやシナ大陸には、ほとんど伝統的な道徳と自然観が残っていない。中国共産党政府は「和諧社会」の実現を国家目標に挙げているが、現在の諸矛盾を乗り越えて「和諧社会」をめざすには、日本の「和の精神」を取り入れる以外に道はないと私は思う。「和の精神」とは、人と人、人と自然が調和する精神であり、それが日本精神である。
 中国は共産主義を放棄し、民主化するとともに、日本の精神文化を摂取する時に、初めて調和ある発展の道を進むことができる。このことは、独り中国のみならず、人類の運命にかかわる課題である。日本は自らの日本文明に内在する「和の精神」を深く自覚し、これを中国に伝え、中国の文明的転換を促進する役割がある。

●「一国一文明」としての独立自尊を

 上記のような対米・対中の二重の役割を果たすためには、日本は、一個の独立主権国家として、自立する必要がある。そして、「一国一文明」である日本文明の特長を発揮し、世界人類の平和と繁栄に貢献しなければならない。わが国が自立するためには、当面アメリカとの軍事同盟を堅持し、連携を図りながら、憲法を改正し、自主国防を整備する必要がある。この間、日本はアメリカと連携しながら、米中のバランスを取り、自国の国益を守りながら、日米中の共存共栄を図るべき役割がある。やがてアメリカは経済的にも軍事的にも衰退していく。そしてアメリカが日本を守る力を振えない状態になっても、わが国は中国に侵されずに、自立を保つことのできる独立主権国家となっていなければならない。こうした日本となってこそ、わが国はアジア太平洋地域に平和と繁栄を実現できる。そして、日本文明に潜在する指導理法を開顕・展開しうるだろう。これはアジアのみならず、全人類の運命がかかった課題である。
 世界は多文明化・多極化しつつあり、アメリカの国際的な地位は、相対的に低下していくことは明らかである。この長期的な展望のもと、わが国は、対米追従でも対中追従でもなく、一個の文明、一個の極として国際社会で存在感を発揮し、日本独自の特徴を発揮して世界人類に貢献するという目標を持って、21世紀を進むべきでる。日本人は、自立のできない、他に依存するばかりの「友愛」を捨てて、独立自尊の気概を持って、共存共栄を図る調和の精神を発揮しなければならない。
 こうしたわが国の役割を今日の世界で遂行していく上で、鳩山氏の「友愛外交」は何らプラスがなく、害を生むばかりである。日本人はただちに「友愛外交」を止め、日本の進むべき道へ軌道修正しなければならない。

 次回に続く。

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