ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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トランプ政権、人事で混迷

2017-08-10 08:19:36 | 国際関係
 米国・トランプ政権は発足後、半年を過ぎましたが、内政・外交とも不調が続き、混迷の相を呈しています。

 ワシントン・ポスト紙とABCテレビが共同実施した世論調査の結果が7月16日公表され、トランプ大統領の支持率は36%でした。就任後半年の支持率としては、第2次大戦後の歴代大統領の中で「最低」とABCは断じています。ちなみに不支持率は58%です。(うのみにはできませんが)

 混迷の原因の一つは、独裁的な大統領のもと、政権中枢が安定していないことでしょう。政権発足以来、フリン前大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、スパイサー前大統領報道官など辞任・解任が相次いでいます。今度は、プリーバス大統領首席補佐官が更迭されました。
 首席補佐官は閣僚中のナンバーワン。我が国の内閣官房長官に似た官邸のまとめ役であるとともに、大統領の日常の執務予定を組んだり、大統領が日々誰と会うかを決めたりする役割を担います。プリーバスは共和党全国委員長として共和党の中枢にいたので、政権発足時、ホワイトハウスと共和党の間の調整を行い、また分裂含みの党を統括することを期待した起用と見られました。そのプリーバスが事実上の解任です。
 先日は、オバマケア限定廃止法案が連邦議会上院で、共和党の大物マケインら3名が反対に加わり、否決されたところでした。プリーバスの解任で、官邸と与党・共和党の関係は、一層ギクシャクするでしょう。トランプ政権は、ますます混迷の度を深めていきそうです。

 政権中枢が不安定なだけではありません。米政府で高官とされる役職は570あるといわれますが、トランプ政権では半年もたって、まだ49しか決まっていないと伝えられます。10分の1以下です。個々の政務の実務責任者が不在のため、外交、雇用、保険等の政策が進まない状態です。
 大統領を諌め、教育し、政権の基盤構築にも手腕を振るえる実力者が首席補佐官に就かないと、トランプ政権は危ういと思います。プリーバスの後任者、ケリー前国土安全保障長官にその能力があるかどうか。長女イヴァンカ、娘婿クシュナーが彼を強く推したと伝えられますが、この王朝的な家族政治を止めないと、政権は混迷を抜け出せないのではないでしょうか。