ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

安倍首相靖国参拝の反響4

2014-02-14 08:49:20 | 靖国問題
●安倍首相靖国参拝への内外の反応(続き)

 米国内には、参拝を正当なものであるとして支持する見解や米国は干渉すべきでないという意見もある。

・ジョージタウン大学のケビン・ドーク教授
 ドーク教授はこれまで、靖国参拝について、「民主主義的な選挙で選ばれた政治指導者が、戦死者の霊を追悼することは、平和への脅威や軍国主義への前進になるはずがない」と強調。米国のアーリントン国立墓地には、奴隷制度を守るために戦った南軍将校も埋葬されている事実を指摘し、ここを歴代大統領が訪れたというだけで「奴隷制度を肯定したことにはならない。同様に靖国神社参拝も、日本が関わった戦争の全面的肯定を意味しない」と主張している。
 安倍首相の参拝後、産経新聞平成25年12月28日号のインタビュー記事では、次のように発言した。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/131228/trd13122809350004-n1.htm
 「靖国参拝は日本国民と、民主的な選挙で国民から選ばれた安倍首相ら国会議員が自身で決める、日本のすこぶる国内問題だ。
 中国と韓国がなぜ、この日本の国内問題に首を突っ込むのか、いまだに理解できない。安倍首相の靖国参拝は、戦争を始める意思の合図でもなければ、旧日本軍を奉じるものでもない。首相は国内外で国家と国民のために命を落とした人々の霊を、慰めたいと欲しているのだ。中国と韓国の指導者は、同じように(自国民を)慰霊したいと望まないのだろうか。
 靖国神社には戊辰戦争の戦死者らが祭られている。このことは、米国のアーリントン国立墓地(バージニア州)に(南北戦争などの)戦没者が慰霊されていることと類似している。
 安倍首相の靖国参拝で最も印象的なのは本殿だけではなく鎮霊社も参拝したことだ。外国の人々には、鎮霊社を訪れた意味を理解してほしい。
 重要なのは、鎮霊社には世界のあらゆる国の戦没者が祭られているということだ。ここには第二次世界大戦で、旧日本軍と戦った米国人や中国人なども含まれている。安倍首相が鎮霊社を参拝したのは平和を望む意思があったからであることは明白である。
 鎮霊社参拝はまた、安倍首相が国民を、「民族主義」から(国民を重視する)「国民主義」へと導こうとするものでもある。
 日米関係に負の影響がないことを望む。米政府が「失望している」と表明したのは(中国、韓国が)感情を害する事態を、避けようとしただけだろう」

・マイケル・オースリン氏
 「日本が対処すべき問題で、在日米大使館はあのような声明を出すべきではなかった。米政府は関係国の解決に向けた努力を促すべきで非難すべきではない」

・シーファー元駐日大使
 「アメリカ政府は、日本の靖国参拝に干渉することはない」

・ウォーツェル米中経済安保調査委員長
 「『歴史認識非難』は単なる対日攻撃手段、靖国参拝、中止すべきでない」

・トーマス・スニッチ氏
 「中国には日本の戦没者追悼に対し一定の方法を命令する権利はない 」

・アーサー・ウォルドロン氏
 「事の核心は日本に対し覇権を確立したいという中国の野望だ」

・ワシントン国立大聖堂に祀られている奴隷制支持の南軍の将軍
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131229/amr13122903080000-n1.htm
 産経新聞平成25年12月29日号に同紙ワシントン駐在客員特派員・古森義久氏は、次のように書いた。
 「首都中心部にそびえる大聖堂はキリスト教のあらゆる宗派の礼拝や追悼の国家的な場となってきた。多数の大統領の国葬や歴史上の人物の式典が催され、無数の米国民が参拝してきた。
 大聖堂のネーブ(身廊)と呼ばれる中央の礼拝堂の祭壇わきには南北戦争でアメリカ合衆国に反旗を翻し、奴隷制を守るために戦った南部連合軍の最高司令官のロバート・E・リーとその右腕のストーンウォール・ジャクソンという2人の将軍の霊をたたえる碑文と生前の活動を描く多色のステンドグラスが存在する。その慰霊表示は礼拝堂の壁面全体でも、よく目立つ巨大な一角を占めてきた。
 その事実が話題になることはこれまで少なかったが、12月11日、大聖堂で南アフリカの大統領だったネルソン・マンデラ氏の追悼式が催されたのを機に議論を生んだ。
 ワシントン・ポストの首都圏コラムニストのジョン・ケリー氏が「なぜリーとジャクソンが大聖堂で栄誉を受けるのか」と題する記事で疑問を提起したのだ。「人種平等のために戦ったマンデラ氏を悼む場に人種平等阻止のため戦った2人が堂々と祭られていることに驚いた」との指摘だった。
 バージニア州のランドルフメーコン大学のエビー・テロノ歴史学教授も「首都の大聖堂にこの首都自体を破壊しようとした将軍たちの慰霊表示があることは矛盾」との見解を述べた。
 だが両将軍の大聖堂への祭祀(さいし)は1953年と歴史は古い。南部連合の子孫の女性団体が20年がかりで訴え、実現させた。その結果はリー将軍らの「高貴な信念の豪胆なキリスト教戦士」という碑文での聖人化であり、戦場での勇猛な活躍ぶりのガラス画化だった。
 こうした疑問に対し大聖堂の広報官は「南軍将軍の慰霊表示も米国の歴史のキリスト教の視点からの紹介であり、歴史にはよい部分も悪い部分もある」として公式の反対はないと言明した。死者の霊は生前の行動によって責められることはないとの見解だった。
 だからこそこの大聖堂にオバマ大統領も閣僚たちも頻繁に参拝するのだろう。だが、その政権は靖国に対しては問われる前に日本の首相の参拝への「失望」を喧伝(けんでん)するのだ。ブッシュ前政権が当時の小泉純一郎首相の靖国参拝を認め、むしろ中国の圧力に屈するなという意向を示したのとは対照的である。
 日本の首相は頻繁に靖国を参拝すべきだというジョージタウン大学のケビン・ドーク教授は「オバマ政権の靖国への態度は大聖堂の現実からみると明らかに偽善的だ」と論評するのだった」

・ヴァンダービルト大学日米研究協力センター所長のジェームス・E・アワー氏
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140116/amr14011603130002-n1.htm
 「安倍首相は衷心からであれ緊張を確実に増す行動は取るべきでないとする向きがある。
 この論評は一見、もっともらしい。しかしながら、誰が緊張を持続または増大させようとしているのか、そして誰が緊張を克服しようとしているのかという論点を巧みにはぐらかしている。
 日韓そして日中の間の緊張緩和は、安倍首相と大方の日本国民にとって歓迎するところだ。首相が12月26日に靖国に行っていなければ、韓国の朴槿恵大統領や中国の習近平国家主席は、今ごろは日本との関係を大いに改善する用意があっただろう、と本気で信じている者などいるだろうか?(略)
 12月26日の首相の発言にも、神社内の鎮霊社も訪れた当日の行動にも、日本国天皇や幾多の首相、他の幹部指導者たちが謝罪を重ねてきたA級戦犯や他のあらゆる兵士たちの行為を、いささかでも称えるようなものは表れていない。米国のアーリントン国立墓地には米指導者たちが後に謝罪した奴隷制やその他の行動に関わった兵士たちの遺骸(靖国にそれはない)も収められているのだ。(略)
 米国政府は安倍首相に失望の念を表すべきだろうか。米国は独立国としてそうする権利がある。しかし、慎重に考察すれば、1952年から2014年までの平和愛好国としての日本の実績を認めたがらない姿勢を示す韓国に、そして、とりわけ中国の声明や行動に対して、最低でも同等の(言わせてもらえれば、もっと大きな)失望感が向けられる必要がある、ということが見えてくる。
 そして、米国が東京に失望感を表明するのであれば、米国の指導者たちには少なくとも安倍首相の試みを高く評価してもらいたい。首相は、腰が引けて時に非現実的である日本の反戦平和主義を、もっと積極的な形に変えようとしている。それは、米国が60年以上にわたって日本に採用するよう奨励してきたことでもある」

 次回に続く。