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ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

憲法改正の動きに対し、マスメディアが妨害報道

2017-08-08 11:09:04 | 憲法
 ここ数か月の森友・加計学園問題等は、マスメディアが政権を揺るがす動きとなっています。この経緯と現状について、慶応大学大学院教授の岸博幸氏と、憲法学者の八木秀次氏の見解を紹介します。それぞれ経緯と現状をよく捉えた発言だと思います。

●岸博幸氏

 「メディアによる加計学園問題の追及は5月から急激に激しくなったことです。3月頃から森友学園問題の延長でチラホラと報道はされていましたが、朝日新聞が5月中旬に最初の文科省内部文書流出を報道したように、5月から一気に潮目が変わったかのようになりました。だからこそ、わずか2ヵ月で支持率は20ポイントも急落しています。
 その原因として考えられるのは、5月3日の憲法記念日に安倍首相が『2020年までの憲法改正』を明言したことです。すなわち、それまで明示してこなかった憲法改正の具体的なスケジュール感が示されたことをきっかけとして、野党や一部メディアなど憲法改正に反対する護憲派の諸勢力が一致団結して、加計学園問題で政権を攻撃するようになったという流れは否定できないと思います。
 つまり、一部メディアについては憲法改正反対というベースがあるからこそ、加計学園問題の報道がこれだけ厳しくなるのではないでしょうか」
「来週7月24日、25日の予算委員会の閉会中審査は、安倍政権の真贋を見極める格好の場となるのではないでしょうか。
 つまり、安倍政権にとって本当の敵は民進党などの野党ではなく、一致団結した護憲派に属し“勧善懲悪”の構図が好きな一部メディアなのです。国民の多くがその一部メディアの報道を通じて情報を得る以上、『メディアや野党が印象操作をするから』といった言い訳は意味がありません。たとえばサッカーの日本代表の負け試合で、『アウエーだから』が言い訳にならないのとまったく同じです。
 それら護憲派メディアの報道を通じて、国民の側が『真相はこうだったのか』と多少なりとも納得するような説明をできなかったら、安倍政権の負けだと思います。というのは、加計学園問題程度でそれができないようなら、護憲派メディアがより一層厳しく報道するであろう憲法改正で多くの国民を納得させることなど、不可能だからです。
 たとえば、安倍首相や参考人として出席する和泉補佐官はもちろん、政府側の答弁者が1人でも『記憶にない』などといった悪役の悪さを強調する、そしてメディアの報道で切り取りやすい言葉を使っただけでも、アウトだと思います。」
http://diamond.jp/articles/-/135884?display=b

●八木秀次氏

 「『森友・加計学園』問題の追及は、安倍首相や昭恵夫人、側近の意向によって『行政がねじ曲げられた』とするもので、世間の『ズルい』『卑怯』との感情をかき立てようとした。政府の対応のまずさもあって、それが何か『怪しい』『けしからん』との感情を醸成した。一部の新聞が連日、このような『空気』をつくる記事を書き立て、テレビのワイドショーが唱和する。野党や一部メディアはこちらの方が政権にダメージを与えるのに効果的と判断したようだった」
 「この動きは、安倍首相が5月3日(憲法記念日)の読売新聞紙上と民間改憲団体へのビデオメッセージで、憲法9条1項、2項を維持したままで自衛隊を憲法に位置づけることを提案したことで、その本気度に火がついた。さらに、首相が6月24日、神戸『正論』懇話会で、今秋に召集される臨時国会中に自民党としての改憲案をまとめ、憲法審査会に提出したい意向を表明したことで過熱した」
 「改憲が具体的に政治日程に載りそうなると、倒閣と『改憲潰し』の動きが本格化した。都議選の惨敗を受けて、安倍首相は周囲に『護憲勢力の力を改めて思い知ったよ』と漏らしている」
http://www.sankei.com/politi…/…/170726/plt1707260004-n1.html

 私は、岸氏と八木氏の見方に基本的に同感です。付け加えるべきは、この状況は、単に日本国内で醸成されているものではなく、背後に反日的な外国勢力があり、ここぞとばかりに活発に工作活動を行っているだろうことです。その勢力とは、中国、韓国、北朝鮮と考えます。これら特定アジア諸国は、日本が改憲によって国力を増すことを一貫して阻止しようとしており、また現下の情勢において、安倍政権を倒せば、日米同盟が弱体化し、トランプ政権は中国制裁や北朝鮮攻撃ができなくなると考えて、日本のマスメディアや政治家等に強力な働きかけを行っていると思います。この外圧を跳ね返すことができるのは、日本国民の日本を守ろうとする意志をおいて、他にありません。

北朝鮮の攻撃から日本を守るため、憲法改正を急げ2

2017-06-13 08:53:44 | 憲法
3.危機の中で国民の意識が変化している

 さて、国際環境が厳しさを増す中、ここ1年ほどの間に、日本国民の防衛に関する意識が大きく変化している。
 昨28年12月22日に発表された毎日新聞社の世論調査は、「憲法9条の『2項』についてあなたの考えは、次のどれに近いですか」と問いかけた。
 憲法9条は、次の条文である。

――――――――――――――――――――――――――――――――
第9条  日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2  前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 毎日の世論調査の質問は、上記の9条のうち1項はそのままとし、2項についてどう考えるかを訊くものである。回答者の結果は、次の通りだった。

  ・「自衛隊」の保持とその役割を明記すべきだ 36%
  ・「国防軍」の保持とその役割を明記すべきだ 17%
  ・改正すべきではない            21%
  ・わからない                24%

 「自衛隊」ないし「国防軍」の保持とその役割を明記すべきだという意見が、合計53%に達している。2項を改正すべきではないという回答は21%ゆえ、32ポイントも上回っている。

 自衛隊については、平成27年1月に実施された内閣府の世論調査で、「良い印象を持っている」という回答が41.4%、「どちらかといえば良い印象を持っている」という回答が50.8%だった。9割以上の国民が肯定的な印象を持つようになっている。

 もう一つ注目すべきは、国民の間に北朝鮮への危機感が急速に高まっていることである。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は、4月15、16両日に合同世論調査を実施した。北朝鮮の核・ミサイル開発に脅威を「感じる」と答えた人は91・3%に達した。また、この世論調査は、北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する日本の「敵基地攻撃能力」について質問した。「敵基地への反撃は、弾道ミサイルを日本に向けて発射したあとに限るべきだ」と回答した人が、45・0%。「日本に向けて発射する具体的な構えを見せた段階で基地を攻撃すべきだ」と回答した人が、30・7%だった。前者は攻撃を受けてからの反撃、後者は先制攻撃だが、合わせて敵基地への攻撃を容認する意見が75%を超えた。
 これは、日本の国民が今、かつてない危機感を抱いていることの現れだろう。

4.今こそ憲法改正を実現しよう

 北朝鮮から日本を守るには、憲法改正が必要である。
 民間の憲法改正運動の中心となっている「美しい日本の憲法をつくる国民の会」では、憲法改正を求める1千万人署名運動を進め、3月下旬の時点で約880万人に達した。5月3日までに1000万人を達成すべく取り組みを行ったと聞いている。
 ところで、「国民の会」には日本会議が参画している。日本会議は平成9年に設立された。宗教界からは、神道・仏教・キリスト教・新宗教が宗教宗派を超えて参加している。生長の家は昭和58年に政治活動から手を引いており、日本会議には参加していない。日本会議で目立つのは、むしろ伝統的な神道の団体である。神社本庁や神道政治連盟が活発に活動している。日本会議と生長の家との関係を強調するジャーナリストは、こうした実態をよくとらえていない。
 そうした本の一つである『日本会議の研究』の著者・菅野完(すがの・たもつ)氏は、森友学園問題でマスメディアからいちやく注目されるようになった。彼は、元解放同盟の活動家で、元しばき隊でカンパ金を横領し、性犯罪事件で現在係争中である。著書は、取材をせずに載せた内容について抗議を受け、出版差し止め判決を受けているので、注意を要する。
 さて、現在、わが国の国家最高指導者として、安倍氏に代わり得る人物はなく、まだ確かに後継者と目される人材はいない。自民党は、3月5日の党大会で、総裁の任期を連続3期9年に延長することを決定した。これによって安倍晋三首相の3選が可能になった。
 自民党は同時に平成29年の運動方針を決定した。5月3日に現行憲法施行から70年を迎えたが、そのことを踏まえ、「次の70年に向けて新しい憲法の姿を形作り、国会の憲法論議を加速させ、憲法改正に向けた道筋を国民に鮮明に示す」とし、「憲法改正原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と明記した。憲法改正を「自民党の歴史的使命」と位置付ける安倍首相が「発議」の明記を主導した。
 安倍首相は、5月初め自民党総裁として、憲法改正に向けた考えを、読売新聞の単独インタヴューや「民間憲法臨調」(櫻井よしこ代表)の集会へのビデオメッセージ等を通じて公にした。
 ポイントは、(1)9条1項2項を残しつつ、3項に自衛隊の存在を明記すること、(2)教育無償化を規定すること、(3)2020年の施行を目指すこと。
 安倍氏の狙いは、国会で政党間の議論を活性化させることにあるとのことが、(1)は加憲の立場をとる公明党に配慮したもの。(2)は日本維新の会の主張を入れて連携を強化しようとするもの。自民党の改正草案にこだわらず、自公維を中心に両院総議員の3分の2以上が合意し得る案をまとめられるよう、現実的な方針を提示して、議論の収斂を図ろうとしたものだろう。同時に、(3)には目標時期を示して、もう一つ憲法改正に関して責任遂行意識の弱い自民党の議員に喝を入れる意図もあるだろう。
 安倍首相は、5月8日の衆院予算委で民進党の議員の質問に答え、「自民党総裁としての考え方は読売新聞に相当詳しく書いてあるから、ぜひ熟読していただきたい」と発言。憲法審査会で議論してほしいと述べ、各党に対し憲法改正案を提示して建設的な議論をしてもらいたいと要望した。その後、自民党は年内に改憲原案をまとめ、国会に提出する予定であると発表した。

 5月13~14日に実施された産経・FNNの同世論調査は、次のような結果だった。
 ・現行憲法が「時代に合っていると思わない」との回答が59・1%
 ・9条の条文を維持した上で自衛隊の存在を明文化することに「賛成」が55・4%。
 ・各政党が憲法改正草案を「示すべきだと思う」が84・1%。

 民進党の蓮舫代表は、安倍政権における憲法改正には反対だとして、憲法改正に否定的である。民進・自由・共産・社民は、9条の改正に反対している。
 国民は選挙によって、国会議員に厳しい審判を下さねばならない。国会にまともな考えを持った議員が増えていかなければ、日本を立て直すことはできない。
 私自身新憲法の理想目標はあるが、現実的には国会議員が3分の2以上で合意して発議できる案を作らねばならず、また国民の過半数が賛同できるものでなければ、現行憲法は一字一句変えられない。まず最低限可能なところから改正し、段階的に改正を重ねていくという考え方が必要だと思う。(了)

北朝鮮の攻撃から日本を守るため、憲法改正を急げ1

2017-06-10 09:31:32 | 憲法
 5月28日、鎌倉市で講演を行った。北朝鮮を中心とした国際情勢、国防に関する国民の意識の変化、憲法改正に向けた最近の動向等について語った。講演の概要を掲載する。

1.緊迫する朝鮮半島情勢

 日本国憲法施行から70年を経た現在、わが国は、戦後最大の危機にある。まず国際情勢に目を向けると、環境の厳しさは一段と増している。
 本年1月に米国でトランプ政権が誕生した。トランプ大統領は、北朝鮮が核兵器の小型化を進め、また米本土に届くICBMを完成させることに、強い危機感を持っている。オバマ政権が取っていた「戦略的忍耐」の方針を否定し、あらゆる選択肢を検討するという姿勢に転換した。
 北朝鮮は4月15日に、金日成生誕105年祭に当たり、核実験を行うことが懸念された。米国は、北朝鮮が核実験や弾道ミサイルの発射をする場合は軍事行動を辞さないという強い姿勢を示した。空母カール・ビンソンを中心とする第1打撃群を朝鮮半島近海に移動させて、北朝鮮と中国に圧力をかけた。米国は、北朝鮮の行動によっては、核ミサイル関連施設への攻撃や金正恩ら指導部の一掃を図る「斬首作戦」等を行うことが検討されている。戦争になれば、日本への影響が想定され、緊張が高まった。
 4月29日ティラーソン米国務長官が国連安保理閣僚級会合で、事態の深刻さに危機感を示し、「北朝鮮の東京、ソウルへの核攻撃に現実味がある」と発言した。中国の王毅外相は「予期できないことがかなりの確率で起こるだろう」として、対話による対応が必要と述べた。中国が米国の要請に応えて石油の輸出禁止や外貨取引の停止をすれば、北は窮地に陥る。だが、体制維持のため暴発の恐れがあり、中国は慎重である。ロシアが石油を送るなどでして北を自国に引き寄せる可能性もある。各国の利害と思惑が複雑に絡み合って、意思統一が困難な状態と見られる。
 一方、北朝鮮の核・ミサイル開発は、確実に進んでいる。発射準備に時間がかからない固体燃料、どこからでも打てる移動式発射装置、海中から打てるSLBM等の技術を取得している。5月14日早朝に発射した弾道ミサイル「火星12」は、高高度から落とすので迎撃の難しいロフテッド軌道の技術を試したもの、21日夕方の「北極星2」は空中で点火するコールド・ローンチ方式を試したものとみられる。ICBMは、完成時期に近づいている。早ければ年内にも完成すると見られる。
 わが国は、現在の迎撃システムの能力では、もし北朝鮮から核搭載のミサイルを一か所に向けて同時に数発撃たれた場合、完全な防御はできない。また、安倍首相が4月に明言したことだが、ミサイルにサリンを搭載する可能性もある。北朝鮮は、金日成時代から世界有数の毒ガス保有国であり、現在はサリンやVXを2500~5000トン持っていると見られる。最大限の警戒が必要であるとともに、北朝鮮の攻撃を防ぎ、日本を守る体制をしっかり作り上げなければならない。
 北朝鮮に対応するには日本・米国・韓国がしっかり連携することが必要だが、問題は韓国である。朴槿恵大統領が大スキャンダルを起こし、大統領を罷免された。北朝鮮の工作のもと、韓国の親北勢力が民衆を扇動して、この状況を生み出した。5月9日に行われた大統領選挙で、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)が当選した。親北左派で反日反米の過激な発言を繰り返している人物である。文政権のもとで韓国が大きく北朝鮮寄りになる恐れがある。また、慰安婦合意が白紙にされるなど、日韓関係の悪化も懸念される。
 中国による尖閣諸島周辺の領海侵犯はいっそうエスカレートしており、こちらも油断できない。
 わが国は、戦後最大の危機に直面している。国家の再建を急ぎ、この困難を乗り切らねばならない。

2.国内では国会が空転

 ところが、こうした重大危機にありながら、今年に入って国会では、森友学園の件が大問題になった。国家の根本に関わることを議論しなければならない時に、民進党等の野党はこの問題で、政府の批判・攻撃に終始した。1か月以上、国会が空転した。
 その際、マスメディアの多くは、森友学園の幼稚園で教育勅語を教えていることを取り上げ、戦前の教育理念を誹謗するような報道を繰り返した。だが、教育勅語は、明治23年に明治天皇より賜ったお言葉であり、日本人に伝わってきた生き方と教育の理念が説かれている。伝統的な日本精神を最もよく表しているものの一つである。戦後、教育勅語が国会で排除・失効の決議がされ、勅語のもとに教えられていた修身をなくした。教育の立て直しには、教育勅語を復権する必要がある。
 ところで、平成33年度から実施される新学習指導要領は、保健体育で、武道の例として9種目を挙げ、柔道・剣道等とともに「銃剣道」を記載した。銃剣道は、戦前軍事教練で教えられたが、戦後はスポーツとして復活した。日本武道協議会に加盟する武道の一つであり、国体競技種目にもなっている。軍国主義の復活などとする批判は当たらない。
 教育勅語や日本の伝統文化を否定する左翼や偏向したマスメディアが、日本精神の復興を妨げている。

 次回に続く。

2020年新憲法施行を目指す~安倍自民党総裁

2017-05-16 08:53:21 | 憲法
 安倍首相は、5月初め自民党総裁として、憲法改正に向けた考えを、読売新聞の単独インタヴューや「民間憲法臨調」(櫻井よしこ代表)の集会へのビデオメッセージ等を通じて公にした。
https://news.infoseek.co.jp/arti…/20170503jcast20172297160/…

 ポイントは、(1)9条1項2項を残しつつ、3項に自衛隊の存在を明記すること、(2)教育無償化を規定すること、(3)2020年の施行を目指すこと。
 安倍氏の狙いは、国会で政党間の議論を活性化させることにあるとのことが、(1)は加憲の立場をとる公明党に配慮したもの。(2)は日本維新の会の主張を入れて連携を強化しようとするもの。自民党の改正草案にこだわらず、自公維を中心に両院総議員の3分の2以上が合意し得る案をまとめられるよう、現実的な方針を提示して、議論の収斂を図ろうとしたものだろう。同時に、(3)には目標時期を示して、もう一つ憲法改正に関して責任遂行意識の弱い自民党の議員に喝を入れる意図もあると思う。

 安倍首相は、5月8日の衆院予算委で、民進党の長妻昭議員の質問に答えて、「自民党総裁としての考え方は読売新聞に相当詳しく書いてあるから、ぜひ熟読していただきたい」と発言。これに対して、野党が反発し、昨9日の参院予算委では、蓮舫民進党代表が安倍首相にかみついた。
 私はたまたま昼の休憩中、国会中継をライブで観たが、安倍首相がたびたび答弁を止めて注意するほど、野次が飛び交った。安倍首相は、国会では内閣総理大臣として政府の方針に基づいた発言をする立場であるとして、自民党総裁としての考えの説明には深入りせず、憲法審査会で議論してほしいと述べ、各党に対し憲法改正案を提示して建設的な議論をしてもらいたいと要望した。蓮舫氏は、改正案の提示については、答えようとせず、ただただ首相への批判に終始。私は、蓮舫氏の険しい容貌が、中国文化大革命時代の紅衛兵の顔と重なって見えた。民進党にも憲法改正に積極的な議員はいるので、安倍氏の発言は、民進党内への揺さぶりにもなっていると思う。

 5月13~14日に実施された産経・FNNの同世論調査は、次のような結果を示した。

・9条の条文を維持した上で自衛隊の存在を明文化することに「賛成」が55・4%、「反対」が36・0%。
・現行憲法が「時代に合っていると思わない」との回答が59・1%、「思う」が31・4%。
・憲法改正に「賛成」が49・8%、「反対」が44・0%。
・各政党が憲法改正草案を「示すべきだと思う」が84・1%。
・衆参両院の憲法審査会の議論を「活性化させるべきと思う」が75・6%。

 私自身新憲法の理想目標はあるが、現実的には国会議員が国会で3分の2以上で合意して国民に発議できる案を作らねばならず、また国民の過半数が賛同できるものでなければ、現行憲法は一字一句変えられない。まず最低限可能なところから改正し、段階的に改正を重ねていくという考え方が必要だと思う。
 共に2020年新憲法施行による日本再生を目指しましょう。

現行憲法70年。新憲法の制定へ

2017-05-03 09:41:40 | 憲法
本日は憲法記念日です。大東亜戦争の敗戦後、GHQによって憲法を押し付けられ、70年を経過しました。この憲法の改正を成し遂げない限り、日本の再建はできません。北朝鮮に日本を潰されたり、中国に日本を奪われてはなりません。憲法改正によってのみ、日本の安全と繁栄を確保することができます。日本を愛する方々は、自身の心の中に眠っている日本精神を呼び覚まし、ともに協力して日本再建を進めましょう。

旧稿ですが、憲法改正私案を再掲し、ご参考に供します。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion08h.htm

憲法改正はまず可能な緊急事態条項から~百地章氏

2016-08-18 08:53:27 | 憲法
 7月10日の参院選はいわゆる改憲勢力が3分の2を超え、憲法改正の発議が戦後初めて可能になった。これから国会で改正の論議が始まる。もっとも参院で改憲勢力を165議席とカウントしても、公明党は加憲という立場であり、現行の条文の改正には消極的である。参院選後、公明党は早々と「9条改正には当面、反対」の方針を打ち出した。そのため、9条2項の改正は、現状のまま進めるのは難しい。改憲に賛成な政党間で合意の可能性のある条文は、緊急事態条項の新設などにごく限られる。一歩一歩進めていかざるを得ない状況である。
 産経新聞7月12日付で日本大学教授・百地章氏は、「緊急事態条項であれば、公明党も「加憲」の立場であり無碍(むげ)に反対できないだろうし、平成26年11月の衆議院の憲法審査会では、共産党を除く7与野党が必要性という点で一致している。これだけの一致をみたテーマは緊急事態条項以外には存在しない」と述べている。
 また、緊急事態条項に関して、「例えば衆議院の解散中に大規模地震が発生し、総選挙を実施することができない場合などのために、国会議員の任期を延長するといった特例を憲法に定めておくことについては、民進党の一部議員を含む与野党議員の間で共通の理解ができつつあるようだ」と書いている。
 だが、国家の緊急事態を想定するに当たって、国会議員が、国民の生命・財産を守ることよりも自らの地位を守ることを優先して考えるような姿勢であれば、国民は支持しないだろう。そこで、百地氏は「緊急事態条項から取り組むにしても、まず危機を克服するための規定を明記し、その上で国会議員の地位や選挙の特例を定めるべきであろう」と主張している。
 百地氏は近年、緊急事態条項の新設を行うべきことを、繰り返し主張している。一方、改憲反対派は、緊急事態条項の阻止に狙いを定めて、デマを流している。安保法制の時と同様に、国民の不安を煽り立てる方法を取っている。
 反対派の主張の一つは、緊急事態条項は、戦前のドイツでヒトラー独裁に道を開いたとか、戦前のわが国の国家総動員法そのものだというものである。これに対して、百地氏は次のように反論する。「戦前のドイツの場合は、大統領の緊急措置権が乱用されたためだ。だからこそ、西ドイツはその反省に立って、より周到な緊急権を定めた」「緊急事態条項を導入しただけで独裁に繋がるのならば、世界の先進国はすべて独裁国家になっているはずである」と。
 次に、反対派は、災害対策基本法などの法律を使いこなせば十分としている。これに対して百地氏は、次のように反論する。「その法律が現実に役立たなかった」「法律万能主義こそ立憲主義の否定につながる」「何もかも法律でやってしまおうというのは、国家総動員法と変わらない」と。
 次に、反対派は、東日本大震災の時に「ガソリン不足で緊急車両が走れない事例などなかった」と主張したり、「所有者の了解なしにガレキを処分すれば財産権の侵害に当たると考えたため処分が進まなかった自治体など本当に存在するのか」と批判している。これに対して、百地氏は具体的な事例を挙げて反論している。ガソリン不足により緊急車両に支障を来した例として、「東日本大震災時は、石油燃料の供給が不足し、病院での救急対応や支援物資運搬車両の運行に支障を来すなど、県民生活に大きな影響が生じました」(青森県庁のウェブサイト)、「活動で一番困ったのが燃料の不足である。消防隊用はもちろんのこと、避難所の連絡用や食料配達用の公用車の燃料にも事欠く有様であった」(福島県いわき市消防本部総務課の大平公規氏)等の報告がある。ガレキ処理については、樋高剛環境大臣政務官が宮城県の被災地を訪問した際に、多賀城市長と市議会議長から「私有地における廃棄物も含めて処理するためには、財産権の問題に関する制度的解決が必要であり、国として早急に結論を出してもらいたい」旨の要請があったと伝えられる。
 百地氏は、東日本大震災で、多数の震災関連死いよる死者が出たことも指摘している。復興庁の「東日本大震災における震災関連死に関する報告」(平成24年8月)は震災関連死は1632人として、その中には原因の一つとして「救急車を呼んだが、ガソリンがなく自力で運ぶよう要請があった」ことと明記している。厚生労働省の報告書「厚生労働省での東日本大震災に対する対応について」(平成24年7月)は、「ガソリン不足による給油制限のため、発災後初期には医薬品等の被災地への広域輸送や現地卸業者による医療機関等への搬送に支障が生じた」と記している。
 このような東日本大震災の経験を踏まえ、百地氏は、「多くの国民の命と安全を守るためにはガソリンなどの物資の統制が必要だったこと、しかし憲法で保障された国民の権利や自由を制限し物資の取引制限を行うためには、単に法律によるのではなく憲法上の根拠が必要であり、緊急事態条項を設けるべきである」と訴え続けている。
 百地氏が指摘しているように、東日本大震災の時、人命救助や緊急物資輸送に必要な緊急車両の通行のために、緊急道路を最優先で確保する必要があった。だが、道路上に大量に散乱したガレキ等を所有者の同意がなく勝手に処理することは財産権の侵害になることからと各自治体は対応に苦慮した。燃料不足も深刻だった。緊急援助物資を各避難所に輸送することや患者の緊急輸送などで多大な困難が生じた。憲法に緊急事態条項があれば、権限を一時的に政府に与え、政府は人命救助を最優先した必要な指示や命令を出せた。
 大震災の影響で首都圏や南海トラフ等で巨大地震が起こる可能性が高まり、日本は天変地異の時代に入っている。だが、現行憲法は、緊急事態の時どう対応するかを決めていない欠陥憲法である。世界では憲法に緊急事態条項を規定しておくのが常識になっている。1990年以降に制定された各国(102か国)憲法は100%導入している。わが国では東日本大震災後、5年たってもまだ緊急事態条項が盛られていない。共産党以外の政党は、緊急事態条項の必要性を認めている。まずこの点から速やかに合意を作り、万が一の災害に備えるための改正を発議することは、国会議員の責務である。
 以下は、百地氏のここ数か月の記事から。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●産経新聞 平成28年4月26日

http://www.sankei.com/premium/news/160426/prm1604260006-n1.html
2016.4.26 13:50更新
【正論】
憲法改正反対派のデマ、レッテル貼りに屈するな 改正が独裁につながるなら世界は皆、独裁国家だ! 日本大学教授・百地章

 安倍晋三首相が憲法改正を「在任中に成し遂げたい」と発言して以来、憲法改正論議が過熱化してきた。改正反対派はすでに緊急事態条項の阻止に狙いを定め、ネガティブ・キャンペーンを展開している。このまま手をこまねいていたら、憲法96条(改正条項)のときと同じ轍(てつ)を踏みかねない。

≪国民の不安を煽り立てる反対派≫
 96条改正論議が盛り上がったのは平成24年12月、第2次安倍内閣が登場した頃からだった。世界で一、二を争うほど厳しい改正手続きをフランス憲法並みに緩和し、憲法を主権者国民の手に取り戻そうというだけなのに、反対派はデマやレッテル貼りを行い、改正の動きを止めてしまった。
 「九六条の会」(代表・樋口陽一東大名誉教授)は「96条改正は憲法の破壊」と主張(東京、平成25年5月24日)、石川健治東大教授も「立憲国家への反逆」であり「革命」であると述べている(朝日、同年5月3日)。また小林節慶応大名誉教授も96条改正は「裏口入学」(朝日、同年5月4日)「憲法の本質を無視した暴挙」(毎日、同年4月9日)と訳の分からない理屈を展開した。
しかし憲法に定められた改正手続きに従って96条を改正することは「憲法の破壊」でも「裏口入学」でもない。大石眞京大教授の言うとおり「96条を見直すとどうして立憲主義が破壊されてしまうのか」(読売、同年7月2日)。にもかかわらず、96条改正の可能性は遠のいてしまった。
 反対派は緊急事態条項についても、再びデマを流し始めた。そして先の安保法制と同様、国民の不安を煽(あお)り立てている。インターネットは反対派の記事のオンパレードだ。それ故、早急に反論を展開していく必要がある。
 朝日新聞は戦前のドイツで「ヒトラー独裁に道を開いた苦い歴史もある」(平成27年4月3日)といい、サンデー毎日も「『緊急事態条項』は国家総動員法そのものだ!」と決めつけた鼎談(ていだん)を載せている(2016年2月21日号)。

≪導入だけで独裁に繋がるのか≫
 しかし戦前のドイツの場合は、大統領の緊急措置権が乱用されたためだ。だからこそ、西ドイツはその反省に立って、より周到な緊急権を定めたことは、本欄でも指摘した(拙稿「緊急事態条項で改憲の発議を」平成27年5月4日)。それに緊急事態条項を導入しただけで独裁に繋(つな)がるのならば、世界の先進国はすべて独裁国家になっているはずである。
 反対派は、災害対策基本法などの法律を使いこなせば十分としている。しかしその法律が現実に役立たなかったことや、法律万能主義こそ立憲主義の否定につながることも、先に本欄で批判した(拙稿「国民の生命守る緊急事態条項を」平成28年2月11日)。何もかも法律でやってしまおうというのは、国家総動員法と変わらない。
 そこで新たに出てきたのが、東日本大震災の折も「ガソリン不足で緊急車両が走れない事例などなかった」と強弁する弁護士や、所有者の了解なしにガレキを処分すれば財産権の侵害に当たると考えたため処分が進まなかった自治体など本当に存在するのか、といった批判である。
ならばいくつかの具体例をあげよう。ガソリン不足により緊急車両に支障を来した例として、青森県庁のウェブサイトには「東日本大震災時は、石油燃料の供給が不足し、病院での救急対応や支援物資運搬車両の運行に支障を来すなど、県民生活に大きな影響が生じました」とある。また、福島県いわき市消防本部総務課の大平公規氏も「活動で一番困ったのが燃料の不足である。消防隊用はもちろんのこと、避難所の連絡用や食料配達用の公用車の燃料にも事欠く有様であった」(消防防災科学センター)と述べている。

≪大切なのは命より改憲阻止?≫
 ガレキ処理については、枝野幸男官房長官が「緊急立法」に言及、津波で流された家財や自動車にはそれぞれ所有権があり、勝手に処分すれば財産権の侵害になりかねないため、と朝日の記事は説明している(平成23年3月23日)。同記事には、村井嘉浩宮城県知事も「流された大量の家屋や車をどう処分するのか。やっかいなのは柱一本でも私有財産ということだ」と発言したとある。
 さらに樋高剛環境大臣政務官が宮城県の被災地を訪問した際に、多賀城市長と市議会議長から「私有地における廃棄物も含めて処理するためには、財産権の問題に関する制度的解決が必要であり、国として早急に結論を出してもらいたい」旨の要請があったという(www.env.go.jp/jishin/attach/110320-21_sendai.pdf)。
 反対派は現行法だけで首都直下型大地震などに対処できると本気で考えているのだろうか。彼らにとって大切なのは、実は国民の命より「改憲阻止」ではないのか。熊本地震で国民の関心も高まっている折、堂々と緊急事態条項の必要性を訴えていくべきである。(日本大学教授・百地章 ももち あきら)

●産経新聞 平成28年5月17日

http://www.sankei.com/column/news/160517/clm1605170009-n1.html
2016.5.17 09:43更新
【正論】
一方的資料で緊急事態条項に反対したTBS報道特集 「燃料不足と震災関連死は無関係」に異議 日本大学教授 百地章

≪ガソリン不足と無関係か≫
 4月30日放送のTBS報道特集「憲法公布70年『緊急事態条項』は必要か」がネットで話題になっている。
 番組によれば「岩手・宮城・福島の被災3県にある全36の消防本部に取材したところ、燃料不足によって救急搬送できなかったという回答は1件もなかった」という。そしてそれを根拠に、緊急車両がガソリン不足で出動できず、被災者の命を救うことができなかった、などといった事実は存在しないとし、ガソリン不足による震災関連死を指摘した『まんが女子の集まる憲法おしゃべりカフェ』(筆者監修)の記述についても疑問を呈した。
 それを受けて、TBSラジオでは荻上チキ氏が「震災関連死とガソリン不足は無関係」であり、そのような主張は「デマ」であると喧伝(けんでん)している。
 果たしてこの主張は正しいのか。争点は、第1に「そもそもガソリン不足によって緊急車両の出動に支障が生ずることなどあったのか」、第2に「ガソリン不足に起因する震災関連死は本当に存在したのか」ということになろう。
そこで以下、再検証を試みることとする。
 その際、大切なことは、震災後5年が経過した今頃になって取材し、その結果得られた消防本部からの回答だけで結論を下すのではなく、当時の新聞報道やさまざまな震災報告書なども踏まえて、客観的な検討を加えることである。
 まず、第2の震災関連死の問題だが、復興庁の「東日本大震災における震災関連死に関する報告」(平成24年8月)を見ると、震災関連死は1632人、その中には原因の一つとして「救急車を呼んだが、ガソリンがなく自力で運ぶよう要請があった」(24頁(ページ))ことがはっきりと明記されている。
 同報告には、以下のような記述もある。「一般病院(や施設)の機能停止が大きな死亡要因となった。長期間のライフラインの停止、物資や人の支援が遅れたため。背景にガソリン不足がある」(3~4頁)

≪合理的に推測できる震災関連死≫
 震災関連死により245人の犠牲者を出した仙台市の「東日本大震災 仙台市被害状況」(平成24年12月)でも、「迅速な対応を阻害した要因」の第1に「燃料の不足」があげられ「重油、ガソリン、軽油、灯油」「非常用発電、緊急車両・公用車・作業車の燃料、避難所の暖房のための燃料が払底」とある。
 さらに、厚生労働省の報告書「厚生労働省での東日本大震災に対する対応について」(平成24年7月)にも、「ガソリン不足による給油制限のため、発災後初期には医薬品等の被災地への広域輸送や現地卸業者による医療機関等への搬送に支障が生じた」(15頁)とある。
 このようにガソリン不足が直接ないし間接の原因となって、多くの震災関連死が発生したであろうことは、さまざまな資料によって証明ないし合理的に推測できる。
 次に、震災当時、ガソリン不足により緊急車両の運行に支障があったのか。この点は以上に加え、報道からも明らかである。
当時の新聞を見ると、「緊急車両もガソリン不足」(読売3月16日)「ガソリン枯渇深刻」(河北新報3月16日)「緊急車両は優先的に給油できたものの、台数が多くて供給が追いつかない」(河北新報社『東日本大震災全記録』209頁)などといった記事が各所にみられる。
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(3月22日、日本版)にも「深刻なガソリン不足が救援活動の妨げ-東日本大震災」と題する以下の記事がある。「深刻な燃料不足が、東日本大震災の救援活動の大きな妨げとなっている。当初の地震や津波から1週間以上がたつが、被災地ではガソリン不足のため生存者の捜索や食品などの生活必需品の配送が遅れ、灯油の足りない避難所では被災者が凍える日々を過ごしている」
 これこそ、当時私たちがテレビや新聞などのニュースで知ることのできた被災地の現状そのものではないか。

≪国民の命を守る緊急事態条項≫
 筆者はこのような東日本大震災の経験を踏まえ、多くの国民の命と安全を守るためにはガソリンなどの物資の統制が必要だったこと、しかし憲法で保障された国民の権利や自由を制限し物資の取引制限を行うためには、単に法律によるのではなく憲法上の根拠が必要であり、緊急事態条項を設けるべきである-と訴え続けてきた。
 これに対し、TBSの特集では現地消防本部への取材をもとに震災関連死を否定し、緊急事態条項に反対している。むろん反対は自由だが、一方的な資料だけで結論を導き出し、対立する意見を退けるやり方はいかがなものか。
 放送には特に政治的公平性が求められる。その意味でも、今回のように大きく意見が対立している問題を扱うときには慎重さが必要であり、この報道特集には疑問が残るのである。(日本大学教授・百地章 ももち あきら)

●産経新聞 平成28年7月12日

http://www.sankei.com/column/news/160712/clm1607120011-n1.html
2016.7.12 14:30更新
【正論】
まずは「緊急事態条項」が焦点 速やかに憲法改正の国会発議を 日本大学教授・百地章

≪護憲派の壁を突き崩した≫

 参議院で改憲勢力が3分の2を超えることになった。これにより、公布以来70年、ようやく憲法改正が現実味を帯びてきた。
 憲法改正の決定権を持つのは、主権者国民である。この憲法改正のための国民投票は、単に人を選ぶだけの選挙と異なり、国民一人一人が直接、国のあり方や将来を決めることができる、極めて重たいものである。その重要さについては、先の欧州連合(EU)離脱をめぐる英国の国民投票からも想像できよう。
 ところが、憲法制定以来、国会は一度も改憲のための発議を行うことがなく、国民は国民投票を行うことができなかった。その原因は、世界で一、二を争うほど厳しい改正手続きにある。憲法96条によれば、衆参両院のそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成が得られなければ発議できない。逆にいえば、両院のいずれか3分の1以上(参議院でいえばわずか81人)が改正に反対すれば、改憲を阻止することが可能である。
 そこで、旧社会党などの護憲派や共産党などは、常に国会で3分の1の反対勢力を確保することに全力を注ぎ、その結果、国民は少数の反対派のために主権行使の機会を奪われ続けてきた。
しかし、今回の参議院選挙によって、ようやく反対派の壁を突き崩すことができたわけである。それ故、主権者国民の負託に応えるべく、国会は速やかに憲法改正を発議すべきである。

≪9条2項は喫緊の課題≫
 問題は、どこに焦点を絞るかだが、真っ先に考えられるのは、9条2項を改正して「軍隊」の保持を明記すること、および緊急事態条項ということになろう。
 特に、最近の中国による軍事的脅威の増大、とりわけ中国の軍艦がとうとう尖閣諸島周辺の接続水域や口永良部島周辺の領海にまで侵出し始めたことを考えれば、9条2項の改正は喫緊の課題である。今後の成り行き次第では、一気に改憲のテーマに浮上する可能性があろう。
 ただ、現状で改憲発議の可能性を考えた場合、果たしてどうだろうか。改憲勢力と頼む公明党が、早々と「9条改正には当面、反対」の方針を打ち出したからである。この点、緊急事態条項であれば、公明党も「加憲」の立場であり無碍(むげ)に反対できないだろうし、平成26年11月の衆議院の憲法審査会では、共産党を除く7与野党が必要性という点で一致している。これだけの一致をみたテーマは緊急事態条項以外には存在しない。
さらに、例えば衆議院の解散中に大規模地震が発生し、総選挙を実施することができない場合などのために、国会議員の任期を延長するといった特例を憲法に定めておくことについては、民進党の一部議員を含む与野党議員の間で共通の理解ができつつあるようだ。
 とすれば、例えば緊急事態における国会議員の地位についてであれば、国会の3分の2を確保することは可能かもしれない。問題は国民がどのように考えるかだ。
 恐れるのは、国家的緊急事態が発生したにもかかわらず、国会議員はいかにして危機を克服し国民の生命や安全を守るかということより、自らの身分の方が心配なのかといった誤解を招きかねないことである。もしそうなれば、国会の発議に成功したとしても、国民の支持は得られないだろう。
 他方、改正反対の共産党などは、一字一句たりとも改正させまいとしているから、支持者は必死になって投票に向かうであろう。その結果は、容易に想像できる。
 それ故、緊急事態条項から取り組むにしても、まず危機を克服するための規定を明記し、その上で国会議員の地位や選挙の特例を定めるべきであろう。

≪超党派議連で原案の作成を≫
 次に、憲法改正原案のとりまとめ方であるが、安倍晋三首相は秋の臨時国会から、衆参両院の憲法審査会で具体的な改正項目の検討に入ることを期待しているようだ。それ故、今後、憲法審査会が中心になって改憲論議がなされることは間違いなかろう。
 しかし国会法をみれば明らかなとおり、憲法改正原案の発議権は第一に国会議員にあり、衆議院で100人、参議院で50人の賛成があれば憲法改正原案を提出できる(68条の2)。憲法審査会も憲法改正原案を提出することはできるが(102条の7)、これはあくまで二義的なものと考えられる。
 つまり、憲法改正原案の作成は憲法審査会のメンバーでなくても、国会議員であれば誰でも自由に行うことができるわけである。
 それ故、憲法審査会に丸投げしてしまうのではなく、緊急事態条項や9条2項の改正、天皇の地位の明確化、家族保護条項など、それぞれ積極的に賛同者を集めて超党派の議連をつくり、憲法改正原案の作成に当たるべきである。
 そのためにも、地元や支援者からの国会議員への積極的な働きかけは不可欠である。また、発議の先には国民投票が控えており、1千万賛同者拡大運動をさらに推進していく必要があると思われる。(日本大学教授・百地章 ももち あきら)
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関連掲示
・拙稿「緊急事態条項から改憲の発議を~百地章氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/a4db28757e90228c4c53419f61e88262

「今こそ憲法改正を!武道館1万人大会」が開催

2015-11-12 09:31:43 | 憲法
 11月10日「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の主催により、東京千代田区の日本武道館で「今こそ憲法改正を!1万人大会」が開催された。私は、賛同者の一人として、友人たちとともに参加した。
 場内は最上列の席までびっしり人が入り、来場者は1万1千3百人を超えた。また、82名の国会議員(代理含む)が参加した。



 最初に主催者を代表してジャーナリストの櫻井よしこ氏が挨拶し、「日本の神髄を凝縮して表現していなければならないのが憲法前文ですが、現在の前文は実は外国のさまざまな文章の寄せ集めです。現代風にいうと「コピペ」であります。そこには日本の歴史も、私たちのご先祖が大切にしてきたさまざまな価値観も、全く反映されていません」「来年7月の参院選を一つの目標として、憲法改正の実現に向けて、全員の力を結集してまいりましょう」と訴えた。
 来賓として、外国人が2名挨拶した。インド政策センター教授のブラーマ・チェラニー氏は「憲法改正なくして日本の再建はあり得ません」と断じ、「日印の協力でアジアの平和を守っていきましょう」と呼びかけた。またベトナム外務省元顧問局長のディン・ホアン・タン氏は、「中国の拡張主義は実に利己的で地域のみならず世界の安全を脅かしています」「日本の平和と安全のためだけでなく、アジアと世界の平和と安全のためのものとして憲法改正を支持します」と熱烈に語った。
 会場には、インド・ベトナムを含む8カ国の若者30名が参加していることが紹介された。
 自民党総裁の安倍晋三首相は衆院予算委員会のため欠席したが、「21世紀にふさわしい憲法を私たち自身の手で作るべき時です」「私たち自身の手で憲法をつくるという精神こそが、新しい時代を切り開いていくことにつながるものである。私はそう考えます」とのビデオメッセージを寄せた。
 次世代の党の中山恭子代表は、「この憲法に忠実にあろうとすればするほど、日本が独立国家としての体をなさなくなり、平和の維持すら危うくなってしまいます」「長い歴史と伝統を持つ、日本の心を大切にした、日本人自らの手による自主憲法を制定しなければなりません」と決意を語った。
 提言者の一人として、米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏は、「9条で軍事力を奪ったのもアメリカのためなんです。アメリカの国益のためなんです」「米国が私たちを守ってくれるという依存症が日本国内に蔓延しています。日本人はそうした病を早く払拭すべきだと思います」と述べた。
 『永遠の0』の作家・百田尚樹氏が監修する憲法改正の啓発映画の予告編が上映された。ナレーターの俳優・津川雅彦氏は「日本国憲法は日本を守るどころか、日本を滅ぼしかねない危険性を持っている」と指摘した。この映画は年内完成がめざされており、各地の啓発活動に活用されるだろう。
 意見表明者の一人として、熊本大学教授の高原朗子氏は、女性が憲法改正を語る「なでしこの集い」の活動を報告し、「47都道府県のうち埼玉・神奈川以外は女性の方が多いのです。国民投票の勝利を女性の力で成し遂げましょう」と訴えた。
 大会スローガンとして、「憲法改正1000万賛同者を拡大し、国民的大議論を巻き起こそう!」「国会は国民の声を受け止め、すみやかに国会発議を実現し憲法改正の国民投票を!」が掲げられ、決議文が採択された。
 決議文は、自民党、民主党、大阪維新の会、次世代の党の各党代表者に手渡された。
 司会は、政治ジャーナリストの細川珠生さんが行った。さわやかで明るく、和らぎのなかに力強さがあり、素晴らしい司会だった。随所で女性のパワーを感じる集会だった。
 この日をきっかけに憲法改正運動は、来年に向けてさらに拡大していく。日本を愛し、日本の再建を願う皆さん、家族・友人・地域の人たちなどに、広く憲法改正の必要性を伝えていきましょう。

※動画のご紹介
https://www.youtube.com/watch?v=yCDQaRYrmkQ





緊急事態条項から改憲の発議を~百地章氏

2015-06-05 09:48:51 | 憲法
 現行憲法には、わが国が外国から武力攻撃を受け、またはその危険が切迫している場合、及び内乱・騒擾、大規模自然災害等の非常事態が生じた場合、どのように対応するかが、定められていない。多くの国の憲法には、緊急事態条項が設けられている。わが国でも、明治憲法にはその規定があった。それをもとに、2・26事件では戒厳令を発令した。しかし、現行憲法は、それがなくされてしまった。
 緊急事態規定のないことと、第9条で国防を規制していることは、同じ事情による。占領下にアメリカによって作られた憲法だから、何か起これば、GHQが出動することになっていたからである。
 私は、9年ほど前に新憲法私案をネットに掲載し、今も公開している。その中に、緊急事態条項を設けている。また憲法に緊急事態規定のない重大欠陥を指摘し、憲法を改正し、条項を新設するよう訴えてきた。当時はごく少数意見だった。
 平成23年東日本大震災が発生した。原発の事故が起こり、爆発すれば東日本の大部分が危機的状態になり、国家全体もマヒする恐れがあった。だが、憲法にそうした非常事態への対応が定められておらず、また不幸にして当時は民主党政権のため、まともな対応が出来ず、いたずらに被害を拡大し、犠牲者を増やした。
 その反省により、ようやく憲法に緊急事態規定を設けるべきという意見が多くなってきた。現在は共産党を除くすべての政党が必要性を認めている。大震災の影響で首都圏や南海トラフ等で巨大地震が起こる可能性が高まり、日本は天変地異の時代に入っている。改正の際、緊急事態規定を設け、国防と防災を一体のものとして強化する必要性がある。
 日本大学教授の百地章氏は、憲法改正の早期実現を求める有識者の一人である。百地氏は、産経新聞26年12月18日の記事で、衆参両院で3分の2の改憲勢力を結集するためには、改憲のテーマを絞ることが必要だと主張し、テーマの絞り込みの仕方については、「第1に国家的に重要な課題であること、第2に国家、国民にとって緊急の必要性があること、第3が国民にとって分かりやすく、多数の支持が得られそうなものであること」を挙げた。そして、「真っ先に考えられるのがいつ発生するか分からない首都直下型地震などの非常時に備えて、憲法に緊急事態条項を定めることであろう」と述べた。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/46f1e0749767c0ad1f30d00c30571346
 本年5月4日の記事では、緊急急事態条項で改憲の発議をすることを提案している。百地氏は、次のように言う。
 「首都直下型地震などの大規模自然災害への備えに加え、新たに浮上してきたのが大規模テロ対策の必要性である。今回、首相官邸の屋上で小型無人飛行機『ドローン』が発見された。容疑者はブログの中で原発の再稼働阻止のためテロも辞さないとの意思を示していたという。『イスラム国』によるテロの脅威などもあり緊急権導入のために憲法改正が急がれる」と。
 「昨年11月6日の衆議院憲法審査会において、共産党を除く与野党7党(当時)が『憲法に緊急事態条項を』という点でほぼ一致したのは画期的であった。このテーマなら衆議院だけでなく参議院でも憲法改正の発議に必要な3分の2の賛成が得られる可能性が出てきたからである」。
 緊急事態条項については、憲法を改正しなくとも、緊急時の対応はすでに災害対策基本法や国民保護法などに定められているとの理由の反対がある。これに対し、百地氏は、「いざという時に法律だけで対処できないことは先の東日本大震災の折に実証済みである。被災直後、現地ではガソリン、水、食料品などの生活必需物資が不足していたにもかかわらず、災害対策基本法で認められた『物資の統制』を行うための『緊急政令』は出されなかった」と指摘する。また、その理由の一つとして「たとえ法律で『権利・自由の制限』が認められていても憲法に根拠規定がなければ違憲とされる恐れがあり、緊急権を発動するのは困難」ということがあり、「憲法に緊急事態条項を定めておかなければ、いざという時に役に立たない」と主張している。全く同感である。
 以下は、百地氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成27年5月4日

http://www.sankei.com/column/news/150504/clm1505040001-n1.html
2015.5.4 05:01更新
【正論】
緊急事態条項で改憲の発議を 日本大学教授・百地章

 首都直下型地震などの大規模自然災害への備えに加え、新たに浮上してきたのが大規模テロ対策の必要性である。今回、首相官邸の屋上で小型無人飛行機「ドローン」が発見された。容疑者はブログの中で原発の再稼働阻止のためテロも辞さないとの意思を示していたという。「イスラム国」によるテロの脅威などもあり緊急権導入のために憲法改正が急がれる。

≪画期的な与野党7党の合意≫
 「政府」ではなく「国民共同体としての国家」や憲法秩序が危機に陥った時に、国民と国家を守るために発動されるのが緊急権である。制度化は緊急事態でも「立憲主義」を維持するために不可欠である。その意味で、昨年11月6日の衆議院憲法審査会において、共産党を除く与野党7党(当時)が「憲法に緊急事態条項を」という点でほぼ一致したのは画期的であった。このテーマなら衆議院だけでなく参議院でも憲法改正の発議に必要な3分の2の賛成が得られる可能性が出てきたからである。
 自民党は「緊急事態」において法律に代わる「緊急政令」や一定の私権制限を認めるよう主張、公明党も「加憲項目の一つ」として、緊急事態規定の容認が党内の大勢であるとした。
 また野党では、維新の党が「自然による大災害や感染症のパンデミック、また有事の際など、国民の生命や国土を守るべく国として最善の対処をするため」、次世代の党は「有事にあっても憲法秩序を維持し、民主主義を尊重し、権力の濫用(らんよう)や簒奪(さんだつ)を防ぐため」と主張、民主党も「非常事態においても、国民主権や基本的人権の尊重などが侵されることなく、その憲法秩序が維持されるよう」緊急事態条項を、と主張している。
 これに対して唯一反対したのが共産党であった。ただ、緊急事態条項の具体的な内容について十分な論議がなされたとはいえず、今後更に検討が必要である。それゆえ一日も早く憲法改正原案をまとめ、国会による憲法改正の発議が可能となるよう、憲法審査会ではぜひとも審議のスピードアップをはかっていただきたいと思う。

≪法律だけでは対処が困難≫
 共産党は、必要な法律を整備すれば対処可能として、緊急権に反対している。同様に朝日新聞も「憲法を改正しなくとも、緊急時の対応はすでに災害対策基本法や国民保護法などに定められている」との理由で反対している(4月3日、社説)。しかし、いざという時に法律だけで対処できないことは先の東日本大震災の折に実証済みである。被災直後、現地ではガソリン、水、食料品などの生活必需物資が不足していたにもかかわらず、災害対策基本法で認められた「物資の統制」を行うための「緊急政令」は出されなかった。国会が「閉会中」でなかったからというが、もう一つの理由として内閣府の参事官は次のような趣旨の答弁をしていた。「憲法で保障された国民の権利や自由〔経済取引の自由や財産権〕を安易に制限するわけにはいかない」と。
つまり、たとえ法律で「権利・自由の制限」が認められていても憲法に根拠規定がなければ違憲とされる恐れがあり、緊急権を発動するのは困難という訳である。それゆえ憲法に緊急事態条項を定めておかなければ、いざという時に役に立たないのだから、共産党や朝日新聞の主張には無理がある。

≪ドイツの失敗が反対理由?≫
 朝日新聞の社説は、次のようにもいう。「戦前のドイツでワイマール憲法のもと大統領緊急令が乱発され、ヒトラー独裁に道を開いた苦い歴史もある」「ほとんどの国の憲法に盛り込まれているのに日本にはないのは不備であるという。歴史的な経緯を無視した、あまりに単純な主張だ」
 反対派が決まって引き合いに出すのがこの大統領の緊急措置権だ。同憲法48条は「ドイツ国内において公共の安全および秩序に著しい障害が生じ、またはそのおそれがあるときは、大統領は公共の安全および秩序を維持するために必要な措置をとることができ〔る〕」と定めていた(2項)。
 大統領の緊急措置権が乱用されたのは主に次の理由による。
すなわち大統領に与えられたのは公共の安全と秩序を回復するための「行政措置権」にすぎず、「緊急命令権」つまり立法権は含まれなかった。にもかかわらず判例および政府解釈さらに通説までが「緊急命令」も含まれるとの立場をとり、後に小党乱立のため議会が立法機能を果たせなくなると緊急命令が議会の「通常の立法」にとって代わることになった。
 こうして大統領に独裁的権力が与えられ、大統領の権限を利用して政権を掌握したのがヒトラーである。しかしこれは憲法を逸脱し緊急措置権が乱用された結果にすぎず、緊急権制度そのものに原因があるわけではない。だからこそ戦後、西ドイツはその反省に立って、より周到な緊急権を定めた。
 ドイツの失敗例を持ち出しただけで「ほとんどの国の憲法に盛り込まれ」た緊急権制度そのものに反対するのは、「あまりに単純な主張」ではなかろうか。(ももち あきら)
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 百地氏は、ここで具体的な条文案を提示していない。私は、平成18年(2006)1月11日にマイサイトに掲示した新憲法ほそかわ私案で、下記のような条文案を提案している。用語は非常事態を用いているが、緊急事態と同義で使用している。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー----------------------------ーーー
(非常事態宣言)
第十九条 我が国が外国から武力攻撃を受け、またはその危険が切迫している場合、及び内乱・騒擾、大規模自然災害等の非常事態が生じた場合、内閣総理大臣は国会の事前又は事後の承認のもとに、政令により、地域及び期間を決め、非常事態宣言を発し、必要によって緊急命令を発することができる。
2 内閣総理大臣は、非常事態において、国軍の出動を命じ、法律に定めるところにより、非常事態が解消されるまで一定の権利の制限を行うことができる。
3 非常事態における行政事務は、法律の定めるところにより、必要やむを得ない範囲のものに限り、国軍によつて行なわれる。
4 非常事態にかかる地域については、やむを得ない事情のある場合に限り、公共の利益のため、住民の居住、移転、集会、表現等の自由と、財産等の権利に関し、この憲法の規定にかかわらず、政令で、これらの規定と異なる定めをすることができる。
5 緊急を要する租税その他の公課、政府専売品の価格又は通貨に関する措置を必要とするときは、内閣は、国会の事前の承認なくして政令で緊急の措置を行うことができる。
6 前4頃、5項に規定するもののほか、非常事態宣言に関し必要な事項は、法律で定める。

(非常事態宣言の承認と解除)
第二十条 内閣総理大臣は、非常事態宣言並びに緊急命令を発したときは、すみやかに国会に付議して、その承認を得なければならない。
2 非常事態宣言の発令後、国会の承認を得られなかった時、また非常事態が終了したと認められた時は、内閣総理大臣は、すみやかに非常事態解除宣言を発しなければならない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー-----------------------------------

 詳しくは、拙稿「日本再建のための新憲法――ほそかわ私案」をご参照ください。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion08h.htm

「日本精神を復興し、亡国憲法の改正を」をアップ

2015-03-23 08:45:23 | 憲法
 3月17~20日にブログとMIXIに連載した憲法改正に関する講演の大意を編集し、マイサイトに掲載しました。通して、お読みになりたい方は、下記へどうぞ。

■日本精神を復興し、平成29年春までに亡国憲法の改正を
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion08.htm
 目次から06へ

講演「日本精神を復興し、亡国憲法の改正を」3

2015-03-20 08:54:06 | 憲法
(8)改正要件
 現行憲法は、改正要件が非常に厳しい。GHQは簡単に改正できないようにしたものと思われる。

第九十六条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 この改正要件は、世界的に見て極めて厳しいものである。米国は、上下両院の3分の2以上の賛成で発議し、アメリカ全州の4分の3以上の州議会の賛成で改正。国民投票はない。ドイツは連邦議会・連邦参議院両方で3分の2以上の賛成だけで改正できる。フランスは国民議会と元老院両院でそれぞれ過半数の賛成で発議し、国民投票において有効投票数の5分の3以上で改正となる。わが国は、国会両院の総議員の3分の2以上の賛成で発議することに加えて、国民投票を実施しなければならないので、条件が厳しい。そこで、まず96条を改正し、憲法改正をしやすくするようにするのがよいという意見もある。
 改正においては、発議要件を衆参各議院の「2分の1以上」などと緩和することが必要である。

●改正への取り組み

 わが国は、こうした欠陥の多い憲法を、後生大事に押し頂いて来た。その結果、深刻な危機に陥っている。
 世界の国々は、時代の要請に即した形で憲法を改正している。主要国を見ても、戦後の改正回数は、アメリカが6回、フランスが27回改正している。敗戦国でわが国と比較されることの多いドイツは憲法ではなく基本法というが、58回も改正を行なっている。
 安倍首相は、第1次安倍内閣で、平成19年(2007)に、憲法制定後60年も放置されてきた憲法改正国民投票法を成立させた。第2次安倍内閣では、昨年6月、国民投票法の改正を行った。それにより、ようやく国会が憲法改正を発議する環境が整った。国民の立場としては、戦後初めて、国会の発議を受けて、国民投票で憲法改正を決するという手続きが具体化したわけである。
安倍首相は、憲法改正は自分の「歴史的使命」とし、憲法改正に意欲を示している。自民党は今年秋の臨時国会で最初の改憲項目を絞り込み、来年の通常国会に憲法改正原案を提出、参院選後で改憲勢力が多数を占めれば、秋の臨時国会で憲法改正発議を目指す。発議から6か月以内に国民投票を実施する日程案である。このスケジュールで行くと、来年秋か再来年春までに国民投票が実施されることになる。
 現状では一気に憲法の全部を改正するのは難しく、改憲の必要性の高い重要項目に絞って、最初の改正を行うことになるだろう。本日話したポイントは、主な検討点となるだろう。
 国会の現状は、平成26年12月の衆議院総選挙で当選した議員のアンケートでは、84%が憲法改正に賛成している。最も改正すべき項目は、1位が96条、2位が9条、3位が緊急事態条項の新設、という答えだった。一方、参議院は発議に必要な議席に、自公で27議席不足、改憲賛成の野党議員を加えても7議席不足する。来夏の参院選で改憲賛成の圧勝するのでないと、両院総議員の3分の2以上で発議というハードルを越えられない。憲法改正に向けて、国民の意識を高め、また理解を深めていく必要がある。

●日本精神を復興して、亡国憲法を改正しよう

 憲法改正による日本再建には、日本精神の復興が必要である。押し付けられた憲法を改正して、日本の伝統・文化・国柄に基づく憲法を、日本人自身の手で創り出せるように、人々が日本精神を取り戻すことが求められている。
 現行憲法は、国民主権を謳い、憲法の改正は国民投票の過半数で決すると定めている。憲法について、最終的な判断をするのは、一人ひとりの国民である。日本の将来のため、子供や孫のために、私たちには正しい選択をする責任がある。国民一人ひとりが日本の現在と将来を考え、積極的に選挙や国民投票に参加するように働きかける必要がある。
 昨年6月に改正された国民投票法によって、国民投票権は当面20歳以上とし、4年後から18歳以上に引き下げられる。年齢を引き下げることで、青少年の教育が一層重要となる。日本人としての誇り、伝統・文化・国柄への理解、正しい歴史認識、国民としての道徳心等を育てる必要がある。
 憲法改正による日本の再建のために、日本精神を取り戻そう。

 講演では、わが生涯の師にして神とも仰ぐ大塚寛一先生の言葉を多く紹介したが、ここでは割愛した。大塚先生と真の日本精神を伝える運動については、下記のサイトをご参照ください。
http://www.nsfs.jp/sousai_sousai.htm

関連掲示
・拙稿「日本国憲法は亡国憲法――改正せねば国が滅ぶ」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08c.htm
・拙稿「日本再建のための新憲法――ほそかわ私案」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08h.htm