goo blog サービス終了のお知らせ 

ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

講演「日本精神を復興し、亡国憲法の改正を」2

2015-03-19 08:47:59 | 憲法
(4)天皇
 日本は、天皇を民族の中心として国民が団結力を発揮するという優れた国柄を持つ国である。GHQは、天皇と国民の結びつきを弱め、日本を弱体化しようとした。
 明治時代に日本人自身が作った大日本帝国憲法では、天皇について明確に定めていた。「大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」「天皇ハ國ノ元首ニシテ統治權ヲ總攬シ此ノ憲法ノ條規ニ依リ之ヲ行フ」等である。
 これに対し、現行憲法では、次のように定められている。

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第三条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第四条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 (略)

 敗戦により、GHQの圧力で天皇は象徴となり、権威を引き下げられ、統治権の総攬から国事行為のみへと権限が縮小された。特に民族の中心として神に祈りを捧げるという役割が軽視されている。また、元首と規定されておらず、元首が天皇なのか、総理大臣なのか、あいまいな状態になっている。
 改正では、天皇の精神的な役割を明確にすること、また「元首」と位置付けることがポイントとなる。

(5)権利と義務
 次に国民の権利と義務に関して述べる。現行憲法は、基本的人権の尊重を規定している。

第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 権利の保障が厚い反面、義務の規定が非常に少ない。勤労、教育、納税のみである。だが、権利には義務が伴い、自由には責任が伴う。多くの国では国家忠誠の義務や国防の義務が定められている。戦後のわが国はこうした義務がないため、利己主義が蔓延するようになってしまった。
 改正においては、国民として必要な義務を定め、権利と義務のバランスを取ることが必要である。

(6)家族保護条項
 次に、家族について述べる。これに関係するのは、第24条である。

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

 この「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」という規定が、日本の伝統を破壊するものとなった。GHQの若い米国人女性職員の意見が取り入れられた。結婚に両性の合意は必要だが、両性の合意のみに基づいて成立という規定が、家庭に個人主義を持ち込んだ。その結果、親子・夫婦・祖孫等の家族の絆が弱まっている。
 男女が恋愛し、結婚するのは自然なことであり、憲法に結婚について定める必要はない。定めるとすれば、家族を尊重し、保護する条項である。わが国の憲法には家族保護条項がなく、かえって欧米諸国が憲法に定めている。
 改正の際に、家族の尊重規定を盛り込む必要がある。

(7)緊急事態条項
 現行憲法には、わが国が外国から武力攻撃を受け、またはその危険が切迫している場合、及び内乱・騒擾、大規模自然災害等の非常事態が生じた場合、どのように対応するかが、定められていない。多くの国の憲法には、緊急事態条項が設けられている。わが国でも、明治憲法にはその規定があった。それをもとに、2・26事件では戒厳令を発令した。しかし、現行憲法は、それがなくされてしまった。
 緊急事態規定のないことと、第9条で国防を規制していることは、同じ事情による。占領下にアメリカによって作られた憲法だから、何か起これば、GHQが出動することになっていたからである。
 私は、9年ほど前に新憲法私案をネットに掲載し、今も公開している。その中に、緊急事態条項を設けている。また憲法に緊急事態規定のない重大欠陥を指摘し、憲法を改正し、条項を新設するよう訴えてきた。当時はごく少数意見だった。
 平成23年東日本大震災が発生した。原発の事故が起こり、爆発すれば東日本の大部分が危機的状態になり、国家全体もマヒする恐れがあった。だが、憲法にそうした非常事態への対応が定められておらず、また不幸にして当時は民主党政権のため、まともな対応が出来ず、いたずらに被害を拡大し、犠牲者を増やした。
 その反省により、ようやく憲法に緊急事態規定を設けるべきという意見が多くなってきた。現在は共産党を除くすべての政党が必要性を認めている。大震災の影響で首都圏や南海トラフ等で巨大地震が起こる可能性が高まり、日本は天変地異の時代に入っている。改正の際、緊急事態規定を設け、国防と防災を一体のものとして強化する必要性がある。

 次回に続く。

講演「日本精神を復興し、亡国憲法の改正を」1

2015-03-17 09:03:09 | 憲法
 2月23~24日東京都港区で、「日本精神を復興し、亡国憲法の改正を」と題した講演を行った。その大意を掲載する。

●わが国の国柄と現行憲法

 2月11日は現在、建国記念の日と呼ばれるが、戦前までは紀元節として祝われた。紀元節は、神武天皇が八紘一宇の理想を掲げて初代天皇の御位に就いた日を日本の起元とするものである。わが国の皇室は、神武天皇以来、今上陛下まで125代にわたり連綿として続いている。そこには、天皇が国民を「大御宝」と呼んで大切にする仁の伝統が脈打っている。このような国は、世界に他に存在しない。日本人が最も誇りとすべき事実である。
 だが、現行憲法には、日本の素晴らしい歴史・伝統・文化・国柄が盛り込まれていない。大東亜戦争の敗戦後、GHQが秘密裏に起草し、わが国に押し付けた憲法だからである。現行憲法は、わが国を自壊滅亡に導く亡国憲法である。
 わが国はその憲法を一字一句変えずに来てしまった。そのため、家庭・社会・国家のいたるところに深刻な危機を抱えている。今年は第2次世界大戦終結後、70年を迎える年で、中韓が反日的な行動を強めている。しかし、わが国はいわれなき事柄で誹謗中傷を受けても、堂々と反論できずにいる。こうした日本の現状を改めるには、日本人が日本精神を取り戻し、日本人自身の手で世界に比類ない日本にふさわしい憲法を作って、国家を再建することが必要である。

●経済再生の次は憲法改正が課題

 昨年末の12月14日に衆議院総選挙が行われた。衆院選は、アベノミクスの是非について国民の信を問う選挙として行われた。自公が合計で定数の3分の2を上回る326議席を獲得して圧勝した。安倍首相はアベノミクスをはじめとする政策への信任を得て、長期安定政権の軌道に入った。
 確かに日本経済の再生は重要であり、わが国は国民が一致協力してデフレを脱却し、経済成長の軌道に戻らねばならない。だが、もっと重要なのは、国家そのものの再建である。そのために急務となっているのが、憲法の改正である。
 物質的な繁栄を追い求めるだけでは、国家の安泰と持続的な発展は得られない。また、経済にばかり力を入れ、国防を怠っていると、他国に侵攻・支配されることになりかねない。
 1月20日「イスラム国」を自称する過激組織により、日本人2名が人質にされ、殺害される事件が起こった。ISILは、日本人にテロ宣言を行った。いつ日本人がまた襲われるかわからない。日本は平和ボケを脱し、安全保障を真剣に考える必要がある。
 実は現在、中国は沖縄より尖閣諸島に100キロ近い浙江省温州市沖の南キ列島に新軍事基地を建設している。大型レーダー2台、超高速の通信情報網を設置、ヘリポート、軍用機の滑走路の建設等を進め、今年中に完成予定と伝えられる。南シナ海では、フィリピン、ベトナム近辺で5つの岩礁を埋め立てて基地を作っている。中国は本気である。尖閣を奪取したら、次に沖縄を狙う。沖縄を押さえられたら、わが国は窮地に陥る。
 日本人の手で、独立主権国家にふさわしい憲法を作り上げてこそ、国家の安泰と民族の繁栄が得られ、世界の平和への貢献もできる。

●憲法の欠陥と改正のポイント

 続いて憲法の欠陥を述べ、具体的なポイントを挙げて改正の必要性を話す。

(1)根本的な問題
 憲法は国の基本法である。国を成立たせている根本的な法律である。他の法律や政策は、憲法に基づいて作られる。わが国はその憲法に根本的に問題がある。だから日本はおかしくなっている。
 現行憲法は、占領下で戦勝国に押し付けられた憲法である。日本を断罪し、弱体化するのが目的だった。自ずと国が崩壊・滅亡するような内容になっている。そのことをよく理解する必要がある。

(2)前文
 前文は、わが国の特徴が書かれておらず、どこの国かわからないような内容となっている。それは、書いているのが、日本人ではないからである。日本を占領したGHQの米国軍人が書いた。前文は、ハッシー海軍中佐が書いた。
 前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と始まる。「代表者を通じて行動する」とは奇妙な表現。英語では、… acting through our duly elected representatives in the National Diet … この act through は「を代理として」という慣用句。英文原案を翻訳するようにと呼びつけられた日本の外交官が誤訳した。
 特に注目すべきは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの生存と安全を保持することを決意した」と書いてあることである。
 「平和を愛する諸国民」というが、それは戦勝国のことで、自分たちは平和を愛する国、日本は戦争を起こした悪い国として一方的に断罪している。だが、米ソは間もなく対立するようになり、冷戦下で様々な戦争が起こった。現在の中国・北朝鮮・ロシア等を見ても、前文はまったく宙に浮いた理想論となっている。しかも「公正と信義に信頼して」は、てにをはが間違っている。「~を」でなければならない。
 前文には、日本人の手でわが国の歴史・伝統・文化・国柄を書き、日本人自らの決意を盛り込む必要がある。

(3)第9条
 前文の関連のもとに定められているのが、第9条である。連合国の中心となった米国は、日本を弱体化し、再び日本が米国及び連合国の脅威とならないようにすることを占領目的とした。そのため、憲法で日本の国防が制限された。憲法改正で最も大きな焦点となるのが、第9条であり、次のような条文である。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 ここに戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認が規定されている。第9条を世界遺産に、9条を守っている日本国民にノーベル平和賞をなどという人たちがいるが、第1項は1928年の不戦条約と同じ主旨である。不戦条約は現在も約60ヶ国が当事者国である。戦争放棄は日本独自のものではない。
 問題は、2項である。もし自衛力を含めてまったく戦力を持たないとすれば、独立主権国家として成り立たない。そこで「前項の目的を達するため、」という文言を入れた。これを芦田条項という。芦田均元首相が発案し、マッカーサーが承認した。自衛のための戦力は持てるという主旨だった。だが、わが国の政府は、自衛のために持てるのは戦力ではなく、最小限度の実力に限るとし、自衛隊は戦力ではないとしてきた。だがこの解釈では限界がある。限界の一つが、集団的自衛権の問題である。従来政府は、集団的自衛権は最小限度の範囲を超えるとし、権利は所有するが、憲法上行使できないという解釈を取ってきた。安倍内閣は、この解釈を変更し、限定的に行使できるようにしようとしているが、根本的な解決にはならない。9条の改正が必要である。
 だが、9条の改正については、左翼・反日勢力が激しく反対する。そこで特に女性の理解が重要である。国民の半分は女性である。女性の多くが国防の重要性を理解し、平和と安全を守るために9条を改正しようという世論を生み出すことに、日本の運命がかかっているともいえる。
 改正においては、侵攻戦争の放棄は維持しつつ、自衛権は自然権であり、自衛のための軍隊を持つことを入れることがポイントである。

 次回に続く。

日本の外交・安全保障と憲法改正2

2015-02-04 08:48:01 | 憲法
 先ほど尖閣の話をしたが、最近、中国は沖縄より尖閣諸島に100キロ近い浙江省温州市沖の南キ列島に新軍事基地を建設している。大型レーダー2台、超高速の通信情報網を設置、ヘリポート、軍用機の滑走路の建設等を進め、今年中に完成予定と伝えられる。中国は本気である。尖閣を奪取したら、次に沖縄を狙う。沖縄を押さえられたら、わが国は窮地に陥る。
 その沖縄では、サンゴ密漁船の来襲の最中、昨年11月16日に知事選が行われ、親中派で辺野古移転反対の翁長雄志氏が当選した。政府は計画どおり普天間基地から辺野古への移設を推進するだろうが、工期の遅れや反対運動の激化が予想される。日米関係にも深刻な影響が出る。
 中国は沖縄を中国の属地にすれば、米軍基地を追い出すことができる。その次に狙うのは日本の属国化である。だから、尖閣を守ることは、沖縄を、そして日本を守ることになる。日本人は国防の重要性を理解し、西南の守りを固める必要がある。
 平成19年末から翌年にかけて、中国で作られたこの2050年の東アジアを予想する地図が話題になった。日本の西半分は「東海省」、東半分は「日本自治区」と書かれている。愛知県・岐阜県・石川県より西か東かで分けている。この地図は、中国に駐在していた経産省の官僚が、中国外務省の役人から渡されたものである。



 その官僚から地図を見せられた国際政治経済学者の浜田和幸氏が世に伝えた。浜田氏は、次のように解説する。出生率の低下で日本の人口はどんどん減少する。そこで、列島の西半分に中国人を1億人単位で移住させ、「東海省」として中国の一部とする。少数民族となった日本人を、東半分に強制移住させ、「日本自治区」として、これも中国の版図に組み込む計画と見られる。
 実は、中国共産党は、日本を共産化する計画を長期的に進めてきている。昭和47年8月、中国共産党による「日本解放綱領」という文書が話題になった。この文書は、「日本解放」つまり日本の共産化を、3段階を経て達成するとしている。第1目標は日中国交の樹立、第2目標は「民主連合政府の形成」、第3目標は「日本人民民主共和国の樹立ーー天皇を戦犯の首魁として処刑」である、と。最後は、皇室をなくして、共産主義国家を建てるという計画である。
 ただし、昭和47年頃の中国は、今のように表だって反日的な行動を取っていなかった。47年9月の日中国交回復で、日中友好が進んだ。ブロマイドで一番人気は、男性が高倉健、女性が山口百恵という友好ムードの時があった。
 ところが、その後、中国は共産主義の矛盾が高じ、国民の目を外に向けるため、江沢民の時代から愛国主義・反日教育を行うようになった。習近平が主席になると、一段と反日的な姿勢を強め、最近は韓国と連携して、歴史認識問題で日本を非難するなど、様々な反日行動を展開している。戦後70年となる今年は反日行動が激化する。きちんと事実を以て反論しなければならない。
 先ほどの地図に自治区と書いてあったが、中国は、これまでチベットや新疆ウイグルを併呑し、自治区としている。中国共産党はチベット、ウイグルでは、固有の文化を破壊し、宗教を弾圧し、虐殺・虐待を行っている。そういうところが、自治区である。日本は、その二の舞にならないように、真剣に対策を立てて進まなければならない。
 昨年末の衆議院選挙は、アベノミクスについて国民の信を問う選挙として行われた。日本経済の再生は重要であり、わが国はデフレを脱却し、経済成長の軌道に戻らねばならない。だが、もっと重要なのは、国防の整備。国家安全保障の強化が必要である。そのために急務となっているのが、憲法の改正である。
 現行憲法は何が問題か。まず占領下で戦勝国に押し付けられた憲法である。GHQが秘密裏に英文で起草した。日本を断罪し、弱体化するのが目的だった。国の基本をなす憲法に、日本の歴史・伝統・文化・国柄が書かれていない。
 前文は「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と始まる。「代表者を通じて」は奇妙な表現。英語では、… acting through our duly elected representatives in the National Diet … この act through は「を代理として」という慣用句。これを誤訳した。
 特に注目すべきは、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの生存と安全を保持することを決意した」と書いてあること。「平和を愛する諸国民」というが、それは戦勝国のことで、日本は戦争を起こした悪い国だと一方的に断罪している。だが、米ソは対立するようになり、冷戦下で様々な戦争が起こった。現在の中国・北朝鮮・ロシア等を見ても、まったく宙に浮いたような理想論となっている。しかも「公正と信義に信頼して」は、てにをはが間違っている。「~を」でなければならない。
 この前文との関連のもとに定められているのが、第9条である。第9条は、次のような条文である。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 ここに戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認が規定されている。第9条を世界遺産にとか、9条を守っている日本国民にノーベル平和賞をとかいう人たちがいるが、第1項は、1928年の不戦条約と同じ主旨である。不戦条約は現在も約60ヶ国が当事者国である。戦争放棄は日本独自のものではない。問題は、2項。もし自衛力を含めてまったく戦力を持たないとすれば、独立主権国家として成り立たない。そこで、わが国の政府は、自衛隊は戦力でないからという解釈を取って来ている。だがその解釈では限界がある。それが先ほど述べた集団的自衛権の行使の問題である。
 その他にも、現行憲法には、多くの欠陥がある。権利の規定が多い反面、義務の規定が非常に少ない。勤労、教育、納税のみである。多くの国では国家忠誠の義務や国防の義務が定められている。家族保護条項がなく、第24条に婚姻は両性の合意のみによって成立すると定めている。この規定が、個人主義を助長し、家族の絆を弱めている。緊急事態条項がなく、大災害、外国の侵攻、内乱、騒擾等の非常事態に対応できない。改正要件が非常に厳しく、国会両院の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票の過半数で決するという規定となっている。
 だが、わが国は、こうした欠陥の多い憲法を、一字一句変えずに今日まで来てしまった。その結果、深刻な危機に陥っている。
 ようやく26年6月、改正国民投票法が成立した。戦後初めて、国会の発議を受けて、国民投票で憲法改正を決するという手続きが具体化した。
 安倍首相は、憲法改正は自分の「歴史的使命」とし、衆院選後、「最も重要なことは国民投票で過半数の支持を得なければならない。国民の理解と支持を深め、広げていくために、自民党総裁として努力したい」と述べ、憲法改正に意欲を示している。
 最後は国民の意思である。子供や孫のために、私たち自身が何を選択するか、その決断が必要である。
 わが国の当面の課題は、経済の再生だが、それ以上に重要なのが、憲法改正による国家の立て直しである。アベノミクスの完遂の次は、憲法の改正が課題である。
 物質的な繁栄を追い求めるだけでは、国家の安泰と持続的な発展は得られない。日本人の手で、日本の歴史・伝統・文化・国柄に基づき、独立主権国家にふさわしい憲法を作り上げてこそ、国家の安泰と民族の繁栄が得られ、世界の平和への貢献もできる。
 憲法改正による日本再建には、日本精神の復興が必要である。日本人は自己本来の日本精神を取り戻そう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 講演では、わが生涯の師にして神とも仰ぐ大塚寛一先生の言葉を多く紹介したが、ここでは割愛した。大塚先生と真の日本精神を伝える運動については、下記のサイトをご参照ください。
http://www.nsfs.jp/sousai_sousai.htm

関連掲示
・拙稿「日本国憲法は亡国憲法――改正せねば国が滅ぶ」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08c.htm
・拙稿「国防を考えるなら憲法改正は必須」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08d.htm
・拙稿「『日本解放綱領』の残影~中国の対日政治工作」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion07c.htm

日本の外交・安全保障と憲法改正1

2015-02-03 08:56:39 | 憲法
 1月31日東京都武蔵野市で講演を行った。主にわが国の外交・安全保障及びその観点から憲法改正の必要性を話した。2回に分けて講演の大意を掲載する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 日本人は、昔から和の精神を大切にしてきた。人と人が調和し、人と自然が調和して生きる生き方である。この日本人が先祖代々受け継いできた精神を日本精神という。
 だが、残念ながら、現代の日本人は、大切な日本精神を見失っている。そのことによって、わが国には数々の問題が生じている。家庭、社会、学校、地域、国家、どこを見ても、深刻な問題が生じている。
 昨年12月14日に行われた衆院選は、経済の再生を目指すアベノミクスの是非を巡って行われたが、わが国には経済以外にも様々な課題がある。そのうえ、厳しい国際環境にある日本にとって外交・安全保障の強化も大きな課題である。そこで本日は、外交・安全保障の問題に絞ってお話しする。
 昨年の初めから国際的に緊張が高まっている。26年3月ロシアがウクライナのクリミア自治共和国を併合し、欧米等の諸国と対立している。中東ではイスラム国を名乗るイスラム過激派が勢力を拡大している。今月20日日本人人質事件が起こり、テロの脅威が現実になった。それ以上の脅威は、軍拡を続ける中国である。中国は南シナ海でベトナム・フィリピン等の周辺諸国と摩擦を起こしている。とりわけ我が国にとっては、中国の傍若無人の振る舞いに対応を要する状況となっている。
 本来日中は連携して世界平和を実現すべき関係にある。だが、その日中の真の提携を妨げているのが、共産主義である。中国は、共産主義の国である。経済発展しても共産党が支配する体制は変わっていない。中国は、尖閣諸島周辺の海域で公船がわが国の領海への侵入を繰り返している。尖閣諸島はわが国固有の領土だが、中国は自国領だと主張して、尖閣の奪取をもくろんでいる。
 この点一つとってもわが国が厳しい国際環境にあるが感じられる。ここで重要性を増しているのが、国防である。
 自ら身を守ることは、自然に与えられた権利である。国家には自然権として自衛権がある。防波堤がなければ津波で町村がさらわれる。堤防がなければ洪水で田畑が流される。国防は防波堤や堤防のようなものであり、不断の備えが大切である。ところが、わが国はその備えが非常に手薄である。その一方で、隣国の中国は猛烈な勢いで軍備を拡張している。
 実は、中国人民解放軍は25年秋、尖閣奪取のための大規模な軍事訓練を行った。それを知った米国指導層は中国が本気であることを悟り、態度を硬化させた。26年4月23日オバマ大統領が来日し安倍首相と会談し、日米共同声明を発表した。声明は、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲に含まれるとした。また東シナ海及び南シナ海への領土拡大を進める中国を批判し、同時に中国の一方的な防空識別圏設定を批判した。
 こうした中で大きな課題となったのが、集団的自衛権である。わが国の政府は、26年7月1日、従来の憲法解釈を変更して限定的に集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定した。
 自衛権には自分で自分を守る個別的自衛権と、他国と協力して互いに防衛する集団的自衛権がある。国連憲章は、個別的自衛権と集団的自衛権をともに国家の固有の権利と認めている。ところが、わが国は、集団的自衛権を所有はするが、憲法上行使できないという特異な解釈をしてきた。だが、権利を持っているが、行使できないというのでは、権利の否定に他ならない。
 多くのマスメディアや有識者が集団的自衛権を行使できるようにすると、外国の戦争に巻き込まれる、侵攻戦争を始める準備とだなどと報道している。だが、集団的自衛権の行使は、外国の侵攻への抑止力、戦争抑止力を高めるために必要なことである。戦争を起こすためではなく、戦争を防ぎ、平和を守るために、自衛権の整備が必要なのである。集団的自衛権の行使容認は、日米の連携を強化し、中国の侵攻戦争を抑止する効果がある。
 ただし、閣議決定だけで、集団的自衛権の行使ができるのではない。安全保障関連法(自衛隊法、周辺事態法等9つの法)の改正がされなければならない。政府は現在会期中の通常国会での成立を目指している。
 注意すべきは、集団的自衛権は自主防衛の充実が前提であることである。自分で自分の国を守るのが基本。そのうえで他と連携して平和を維持する。自主防衛の充実には、既存の法の手直すよりも、領域警備法の制定が望ましい。また武力攻撃手前の侵害である「グレーゾーン事態」への対処能力を強化するため、警察権と自衛権の隙間を埋めることも必要である。
 ともあれ、わが国は昨年7月集団的自衛権の行使へと一歩前に進んだ。その時に起こったのが、サンゴの密漁事件である。26年9月から11月にかけて、小笠原諸島および伊豆諸島周辺海域に中国漁船団が出没し、赤サンゴの密漁をした。わが国はほぼなすすべなく、サンゴを採り尽くされてしまった。魚も大量に乱獲された。日本人が守ってきた世界自然遺産、海の生態系を破壊された。
 この時、海上保安庁は、中国によって、尖閣と小笠原の二正面作戦を強いられた。尖閣諸島の領海警備に十数隻の大型巡視船を振り向けているため、小笠原諸島沖に出せる巡視船は4隻に限られた。とても広大な海域に来る多数の中国密漁船に対応しきれない。
 10月30日には、212隻もの中国船が来た。これほど多数になると単なる密漁とは考え難い。中国からは燃料代だけで300万円ほどかかる。背後に中国共産党政府の指示・支援があると専門家は見ている。APECで日中首脳会談を実現させ、日中間に尖閣をめぐる領土問題があることを認めさせようとして、密漁船を使って圧力をかけたものだろう。
 密漁の進むなか、わが国の政府は重い腰をあげ、違法操業の取り締まりを強化し、国会は罰金引き上げの法改正を行った。だが、泥棒が宝物を奪い、荒らしまわった後に、法律を厳しくしても遅い。泥縄以下である。
 他国なら、外国船が領海に侵入して密漁している疑いがあれば、当然拿捕し、指示に従わねば威嚇射撃、場合によっては撃沈するところである。パラオのような小国でも撃沈している。
 日本は四方八方を海に囲まれている。面積では世界4位、海水の体積では第4位という海洋大国である。日本の海には石油、天然ガス、メタンハイドレート、レアメタル、ウランなど豊富な資源がある。広大な日本の海を守るには海保だけでは不十分であり、海保と海上自衛隊が連携して対応できるようにする必要がある。
 日本人は、今回の中国密漁船「サンゴの海」強奪事件を手痛い教訓とし、サンゴや魚だけではなく、日本そのものを奪われないようにしなければ、いけない。

 次回に続く。

憲法改正へ積極的に議論すべき時~百地章氏

2014-12-26 08:54:30 | 憲法
 私は、アベノミクスの完遂の次は憲法改正へ、と訴えている。衆院選の結果、与党で3分の2以上の議席を確保した安倍首相は、歴史的使命を自覚し、憲法改正の道を切り開いていくことだろう。
 日本大学教授の百地章氏は、憲法改正の早期実現を求める有識者の一人である。百地氏は、産経新聞12月18日の記事で、憲法改正に向けて国会で積極的な議論を行うことを求める記事を書いている。
 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を主張しているが、百地氏は、憲法改正こそ、脱却すべき「戦後レジーム」の「本丸」だという。安倍首相は、第1次安倍内閣で、憲法制定後60年も放置されてきた憲法改正国民投票法を成立させた。第2次安倍内閣では、4年後に投票年齢を18歳以上に引き下げる国民投票法の改正を行った。「となれば」として、百地氏は言う。「次の第3次安倍内閣において、本丸の憲法改正実現を目指すであろうことは疑いない」と。
 百地氏は、衆院選の結果を受け、ここで必要なのは「憲法改正に向けた周到な戦略と今後のスケジュール」だと主張する。まず必要なのは、「国民の高い支持率」である。それなくして、憲法改正の実現に伴う困難を克服していくことはできない。「それゆえ、当面はアベノミクスを成功させることによって日本経済を活性化させ、国民を元気づけることが緊要である」と百地氏は認める。次に必要なのは、「より積極的に憲法改正の必要性を国民に訴えていく」ことであるとして、首相からのさらなる発信を期待する。また「この点、自公連立合意で『憲法改正に向け国民的議論を深める』ことが謳(うた)われたのは画期的だ」と評価する。
 現行憲法は、全般的に改正が求められる。だが、衆参両院で3分の2の改憲勢力を結集するためには、改憲のテーマを絞ることが必要だ、と百地氏は言う。絞り込みの仕方については、「第1に国家的に重要な課題であること、第2に国家、国民にとって緊急の必要性があること、第3が国民にとって分かりやすく、多数の支持が得られそうなものであること」を挙げる。そして、「真っ先に考えられるのがいつ発生するか分からない首都直下型地震などの非常時に備えて、憲法に緊急事態条項を定めることであろう」と説く。
 11月6日に開催された衆院憲法審査会では、共産党を除く与野党7党が大規模災害や感染症拡大などの緊急事態に対処するための規定を憲法に盛り込む必要性に言及しており、改憲の優先テーマに浮上する可能性が強まった。これには「加憲」の立場を取る公明党も賛成している。百地氏は「来年の通常国会では具体的な憲法改正原案作りに向けて、積極的な議論が交わされることを期待したい」と述べている。
 私見を述べると、今回の衆院選で選挙された国会議員は、戦後日本が67年以上放置してきた憲法の改正を具体的に論じ、条文の改正を進めるという重要な役割を担うべき立場にある。政治家としてこの時に国会議員を務めることは、実にやりがいのあることだろう。日本の再建と、日本の将来の開拓のために、積極的に改正論議を行ってもらいたいものである。
 一方、国民の側にも重要な役割がある。現行憲法は、国民主権を謳い、憲法の改正は国民投票の過半数で決すると定めている。国家の根本を定める憲法について、最終的な判断をするのは、一人ひとりの国民である。この点、先の衆院選は、投票率が戦後最低となり、国民の主権者意識、政治的自覚の低下が目立った。国民一人ひとりが日本の現在と将来を考え、自ら主体的に日本を変える活動に参加することが求められている。
 百地氏は、「既に大阪府議会を含む24の府県議会で憲法改正促進の議会決議がなされ、『美しい日本の憲法をつくる国民の会』(共同代表・櫻井よしこ氏、田久保忠衛氏、三好達氏)が1千万人署名運動を始めたことを挙げ、「2年後の憲法改正実現に向け、民間レベルでも力強い歩みが始まっていることは間違いなかろう」と書いている。「2年後」とは、28年7月の参議院選挙の時に憲法改正の国民投票を行うことを意味するものだろう。正確には、1年7か月後とすべきところである。その時点が最速となる。拙速は慎まねばならないが、国会における議論と国民における圭亜発運動が相俟って、できるだけ早期に日本人自身の手になる新しい憲法を制定し、日本の根本的な再建を成し遂げたいものである。
 以下は、百地氏の記事の全文。後半に緊急事態条項に関する記事を付す。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成26年12月18日

http://www.sankei.com/column/news/141218/clm1412180001-n1.html
2014.12.18 05:02更新
【正論】
憲法改正へ積極的議論の時だ 日本大学教授・百地章

≪精神的レジームから脱却へ≫
 先の総選挙は自民党が圧勝して終わった。昨年末に安倍晋三首相が靖国神社を参拝してから間もなく1年になるが、安倍政権が国民の信任と圧倒的支持を得たことの意味は極めて大きいと思われる。
 安倍首相は、かねて「戦後レジームからの脱却」を主張してきた。「戦後レジーム」とは、制度的には憲法を中心とする戦後体制そのものであり、精神的には東京裁判に起因する「自虐史観」や精神的自立性の喪失ということになろう。
 首相の靖国神社参拝は、「精神的戦後レジーム」から脱却するための力強い第一歩となった。当初、中韓両国から激しい批判があり、米国まで「失望」を表明したため、日本が孤立化するのではと危惧する向きもあった。しかし首相の地球儀を俯瞰(ふかん)する精力的な外交によって誤解は解消され、逆に今では日本を非難し続ける中国や韓国の方が国際社会から厳しい目を向けられているではないか。
 先の大戦が終結してから、来年は70年という節目の年に当たる。中国は再び虚構の「南京事件」を持ち出して日本批判を始めたが、これに対抗するためにも、積極的に反論していく必要があろう。
 そして、精神的戦後レジームからの完全な脱却を図るためにも「強い日本」を作り上げることが不可欠である。懸案の日中首脳会談が終わった今、安倍首相には新内閣成立後、ぜひもう一度、靖国神社参拝を行っていただきたい。

≪第3次安倍内閣に期待≫
 「戦後レジーム」の本丸はもちろん憲法改正である。選挙後の記者会見において安倍首相は「憲法改正は自民党の悲願であり、立党以来の目標である」と明言したが、心強い限りである。
 首相は憲法改正が「私の歴史的使命」と公言しており、憲法制定後60年も放置されてきた憲法改正国民投票法を成立させたのは、第1次安倍内閣であった。そして先の第2次安倍内閣では、4年後に投票年齢を18歳以上に引き下げる国民投票法の改正を行っている。
 となれば、次の第3次安倍内閣において、本丸の憲法改正実現を目指すであろうことは疑いない。総選挙での圧勝により、首相の党内基盤は強化され、来年の総裁選挙で再選されることは間違いなかろうし、憲法改正に必要な時間も与えられた。残るは、憲法改正に向けた周到な戦略と今後のスケジュールであろう。
 憲法改正の実現のためには、さまざまな困難が待ち受けており、これを克服していくためには国民の高い支持率は不可欠である。それゆえ、当面はアベノミクスを成功させることによって日本経済を活性化させ、国民を元気づけることが緊要である。
 しかし、自民公明の両党で改憲の発議に必要な3分の2の改憲勢力が維持できた以上、より積極的に憲法改正の必要性を国民に訴えていく必要があろう。首相からのさらなる発信を期待したい。
 この点、自公連立合意で「憲法改正に向け国民的議論を深める」ことが謳(うた)われたのは画期的だ。

≪緊急事態条項なら発議可能か≫
 改憲のテーマとしては、占領下においてGHQ(連合国軍総司令部)から強いられた憲法制定の事情から、前文、天皇、第9条2項といった具合に、憲法全体について国民に幅広く改正の必要性を訴えていく必要がある。他方、衆参両院で3分の2の改憲勢力を結集するためには、改憲のテーマもおのずから絞られてこよう。
 その絞り込み方については以前、指摘したとおり、第1に国家的に重要な課題であること、第2に国家、国民にとって緊急の必要性があること、第3が国民にとって分かりやすく、多数の支持が得られそうなものであることだ。
 このように考えれば、真っ先に考えられるのがいつ発生するか分からない首都直下型地震などの非常時に備えて、憲法に緊急事態条項を定めることであろう。
 緊急事態条項の意義については本欄(9月25日付)で述べたとおりだが、11月6日に開催された衆院憲法審査会では、共産党を除く与野党7党が大規模災害や感染症拡大などの緊急事態に対処するための規定を憲法に盛り込む必要性に言及しており、改憲の優先テーマに浮上する可能性が強まったという(本紙11月7日付)。
 これには「加憲」の立場を取る公明党も賛成しており、来年の通常国会では具体的な憲法改正原案作りに向けて、積極的な議論が交わされることを期待したい。
 他方、国民投票で過半数を得るためには国民の理解と支持が不可欠だが、憲法改正問題に対する一般の関心はそれほど高いとはいえない。そこで必要なのが国民投票に向けた啓発運動だが、既に大阪府議会を含む24の府県議会で憲法改正促進の議会決議がなされ、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(共同代表・櫻井よしこ氏、田久保忠衛氏、三好達氏)が1千万人署名運動を始めた。
 2年後の憲法改正実現に向け、民間レベルでも力強い歩みが始まっていることは間違いなかろう。(ももち あきら)

●産経新聞 平成26年9月25日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140925/plc14092505030005-n1.htm
【正論】
憲法の「緊急権」こそ緊急課題だ 日本大学教授・百地章
2014.9.25 05:03

 2年後に好機を迎える憲法改正実現に向けて真っ先に挙げられるテーマの一つが、緊急事態条項である。首都直下型大地震の危機が叫ばれる中、当然といえよう。

≪国家存立と立憲主義かかる≫
 「憲法は平常時においてだけでなく、緊急時および危機的状況にあっても真価を発揮しなければならない。憲法が危機を克服するための配慮をしていないときは、責任ある国家機関は、決定的瞬間において憲法を無視する挙に出るほかにすべはないのである」。これは良く知られたドイツの代表的憲法学者K・ヘッセの言葉である。それ故、超法規という名の無法状態に陥ることを避け緊急事態においても「立憲主義」を維持するため、この条項は不可欠である。
 緊急権は戦争、内乱、大規模災害などの国家的な危機に際し、危機を克服し国家の存立と憲法秩序を維持するために行使される例外的な権限である。もちろん、ここでいう「国家」とは単なる政府や権力機構のことではなく、国民共同体のことである。時の権力のためではなく、「国民共同体としての国家」や憲法秩序が危殆(きたい)に瀕(ひん)しているときに、国民を守るために発動されるのが緊急権である。
 ところが、わが国では「国民共同体としての国家」に対する認識が乏しく、国家を権力としか考えない憲法学者が多い。そのため、緊急権乱用の危険のみが強調されてしまうわけだが、国家の存立なくしてどうして国民の生命や人権が保障されるであろうか。
 諸外国では憲法に緊急権を明記しているのが普通である。

≪法律だけでは対応できない≫
 この点、大災害については、わが国には災害対策基本法、大規模地震対策特別措置法、原子力災害対策特別措置法、さらに首都直下地震対策特別措置法や南海トラフ地震対策特別措置法といった法律が存在する。しかし、法律だけでは対応できないことは、先の東日本大震災で経験した通りである。
 災害対策基本法では「非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合」には、「災害緊急事態」を布告できる旨、定めている(105条)。そして、この「災害緊急事態」が布告されれば、政府は「緊急の政令」を制定し、生活必需物資の統制、物品や役務の価格統制、債務の支払い延期などの緊急措置が実施できることになっている(109条1項)。
 にもかかわらず、菅直人政権は「災害緊急事態の布告」を行わず「緊急政令」も制定しなかった。「緊急政令」は国会が「閉会中」などの場合に限られており、当時は国会が開会中であったことが理由とされたが、「生活必需物資を統制する必要はなかった」という言い訳は通じまい。
 実際には震災直後に、現地ではガソリンが不足したため、被災者や生活必需物資が輸送できなかったりして、助かる命も助からなかった。したがって「物資の統制」は必要であった。それなのに「物資の統制」を行わなかった理由について、国会で答弁に立った内閣府の参事官はこう答えている。「国民の権利義務を大きく規制する非常に強い措置であり、適切な判断が必要であった」と。
つまり、憲法で保障された国民の権利や自由を安易に制限するわけにはいかない、ということであろう。事実、被災地ではガレキの処分をめぐって、財産権の侵害に当たり所有権者の了解が必要だなどという議論もあったという。
 今年2月、山梨県などを襲った大雪の中で、路上に放置された車を自由に撤去することができなかったのも、「財産権の不可侵」(憲法29条1項)との兼ね合いが問題となったからだ。もちろん、財産権といえども「公共の福祉」によって制限することは可能だが(同条2項)、現実にはこの「財産権の不可侵」がネックとなり、土地収用法で定められた強制的な公共事業用地の取得でさえ、実際には「土地所有者等がどうしても用地買収に応じてくれないという極限の場合」しか用いられないという(小高剛『くらしの相談室 用地買収と補償』)。
 こうした大災害時において速やかに国家的な危機を克服し国民生活を守るためにも、憲法に緊急権を定めておく必要がある。

≪「命令」制度の採用を急げ≫
 もう一つは、国会が機能しない時のためである。例えば、首都直下型大地震によって国会が集会できない場合には、新たに法律を制定することもできない。そこで、このような場合には、内閣が法律に代わる「命令」を発することを認め、後で国会の承認を求めようというのが、「緊急命令」制度である。
 これはイタリアやスペインの憲法にも規定され、自民党の憲法改正案や産経新聞の「国民の憲法」要綱でも採用されている。
 先の衆院憲法審査会では、自民、民主、日本維新の会、みんな、生活の各党は緊急事態条項の新設に前向きであった。国会により一日も早く憲法改正の発議が行われることを期待したい。(ももち あきら)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が設立!

2014-10-06 08:55:17 | 憲法
 日本再建の要は、日本人自身の手で新しい憲法をつくることである。改憲は、国会が総議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成を必要とする。
 幸い平成23年7月の参議院選挙及び24年12月の衆議院選挙の結果、現在国会は改憲勢力がほぼ3分の2を占める。この勢力を以て、平成28年7月の参院選と同時に憲法改正の国民投票を実現するという目標が浮かび上がった。  
 この目標のもとに「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が設立された。ジャーナリストの櫻井よしこ氏、杏林大学の田久保忠衛名誉教授、日本会議会長で元最高裁長官の三好達氏が共同代表を務める。
https://kenpou1000.org/
 10月1日東京・憲政記念館で、設立総会が開催された。私は一賛同者として、参加した。



 総会では、櫻井よしこ氏が挨拶し、「わが国の国土と国民、価値観や暮らしぶりを自分たちで守る力をつけるには、憲法を改正すべきだ」と訴えた。来賓の衛藤晟一首相補佐官は、「第2次安倍内閣は憲法改正のために成立した。最後のスイッチが押される時が来た」と述べた。各界からは、埼玉大学名誉教授の長谷川三千子氏が、「有権者の半分は女性。女性の意識を変えることが重要。9条が欠陥条項であることを正面切って訴えるべき」と提言した。
 同会は、全国で以下の活動を行っている。

一、 憲法改正の早期実現を求める国会議員署名及び地方議会決議運動を推進する。
一、 全国47都道府県に「県民の会」組織を設立し、改正世論を喚起する啓発活動を推進する。
一、 美しい日本の憲法をつくる1000万人賛同者の拡大運動を推進する。



 最高の好機が到来している。この機を逃すことなく、日本人の手で新しい憲法の制定を実現しよう。

関連掲示
・拙稿「日本国憲法は亡国憲法――改正せねば国が滅ぶ」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08c.htm
・拙稿「新憲法へ――改正の時は今」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08g.htm
・拙稿「日本再建のための新憲法――ほそかわ私案」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion08h.htm

2年後の同日選挙で憲法改正を~百地章氏

2014-05-19 08:49:46 | 憲法
 3月30日都内で行われた集会で、日本大学教授・百地章氏による「憲法改正の実現へ向けて」と題した講演を聴いた。百地氏は、自民党では2年後に衆参同日選挙を行う案が出ていると述べ、その時に憲法改正の国民投票を行うことを提案した。百地氏は、その講演と同じ主旨の文章を、産経新聞5月1日号に寄稿した。
 大意を記すと、現在衆院では憲法改正の発議に必要な改憲派の議員が3分の2を超え、参院でも潜在的には3分の2以上おり、国会の改憲発議は時間の問題だろう。ただ、懸念されるのが国民投票である。護憲派は10年近く前から反対運動の対象を国民投票にシフトして活動している。マスメディア等の影響もあって、憲法改正反対の声は増加しつつある。他方、改憲派の国民運動は遅れている。もし今国民投票が行われたら否決されてしまう恐れさえある。このような中で国民投票を行い改正を実現するためには、平成28年夏の衆参同日選挙に国民投票をぶつけるしかあるまい。安倍内閣の手でまず景気を回復させ、国民の活気を取り戻し、高い内閣支持率の下で憲法改正に打って出る以外考えられまい。この「黄金の2年間」をフル活用すべく、改憲を目指した国民運動が始動したーーとの旨である。
 先の集会では、憲法改正に向けたDVDが映写された。視聴したのは、「憲法に『家族条項』を明記し『家族の絆』を」。百地氏が解説者となり、10分程度で要点をわかりやすく、伝えている。この映像は「誰にでもわかる憲法改正の話」というシリーズの2作目で、1本目は「日本の平和を守るため、『9条2項』の改正を」。今後、憲法前文、天皇、緊急事態条項、改正条項、環境規定を制作予定という。
 2年後の憲法改正を目指して、国民の啓発を進めるために、有効なツールになるだろう。
 以下は、百地氏の記事の転載。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成26年5月1日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140501/plc14050103060003-n1.htm
【正論】
国民の憲法1年 2年後の同日選挙で改憲実現を 日本大学教授・百地章
2014.5.1 03:06 [憲法改正]

 憲法改正国民投票法の改正案が、連休明けの8日、衆議院憲法審査会において賛成多数で可決される見通しという。

≪テーマある程度絞り込め≫
 自民党の船田元・憲法改正推進本部長(当時代行)は年初、「通常国会の前半で決着をつけ、後半から憲法改正の中身について、どこから改正を始めるかという話を他党としたい」と意欲的に語っており(毎日新聞、1月11日付)、本格的改憲論議を期待したい。
 ここまで来た以上、改憲テーマについては優先順位を定め、何点かに絞り込んでいくべきだろう。基準の一つは、国家的に重要な課題であって緊急性を要すること、そして国民多数の支持が得られそうなもの-である。真っ先に考えられるのは、いつ発生するか分からない首都直下型大地震に備え、憲法に緊急事態条項を定めることである。これなら国民の多数の支持が得られるであろう。
 また国家的重要性と緊急性でいえば、迫りくる中国や北朝鮮の軍事的脅威から尖閣諸島や沖縄さらに本土を守るため、憲法9条2項を改正して自衛隊を「軍隊」とすることもあげられよう。国民に分かりやすく説明していけば、必ず道は開かれるはずである。
 先の日米首脳会談において、オバマ大統領から尖閣諸島が日米安全保障条約の対象になるとの約束を取り付けたのは画期的だ。が、現実に集団的自衛権が発動されるかどうかは分からない。なぜなら、条約第5条は、日米両国が「自国の憲法上の規定及び手続に従って」行動すると定めているからだ。米軍の出動を担保するためにも、わが国が自ら尖閣諸島を防衛する覚悟を定め、身を以て実践していかなければなるまい。
 現在衆議院では憲法改正の発議に必要な議員がゆうに3分の2を超え、参議院でも潜在的には3分の2以上の改憲勢力が形成されているという。つまりこれまで憲法改正の前に立ちはだかってきた3分の1の壁は崩れ落ちようとしている。これを突破するためには相当な政治力が必要だろうが、国会の発議は時間の問題と思われる。

≪成否を決する国民投票≫
 ただ、懸念されるのが国民投票である。護憲派は10年近く前から、反対運動の対象を国民投票にシフトしてきた。たとえ国会で発議されても国民投票で否決してしまおうとの戦略である。
 「九条を守る会」は全国に7500以上あるといわれ、「マスコミ九条の会」などといった職域別の会も多数存在する。また、今年の3月には、左翼系学者、文化人らによる「戦争をさせない1000人委員会」が発足した。それに護憲派マスメディア等の影響もあって、憲法改正反対の声は増加しつつある。他方、改憲派の国民運動は遅れており、もし今国民投票が行われたら否決されてしまう恐れさえある。
 このような中で国民投票を行い改正を実現するためには、2年後つまり平成28年夏に想定される衆参同日選挙に国民投票をぶつけるしかあるまい。それによって保守勢力を国民投票に総動員するわけだ。というのは、もし単独に国民投票を行った場合、護憲派は必死になって投票所に足を運ぶだろうが、改憲派の動向は読めないからである。

≪トリプル戦略で勝利を≫
 とはいえ、今後2年間で憲法改正をといわれても、戸惑う向きは多かろう。しかし、国会の両院で3分の2を超える改憲勢力が結集できたのは、憲法制定以来はじめてであり、これ以上のチャンスはない。しかも、2年後の衆参両院選挙の結果は未知数である。となれば、この「黄金の2年間」をフル活用するしかなかろう。安倍内閣の手でまず景気を回復させ、国民の活気を取り戻し、高い内閣支持率の下で憲法改正に打って出る以外考えられまい。
 昨年暮れ、「自民 憲法改正へ本格化」の大見出しのもと、「自民党憲法改正推進本部では、国民投票法改正を経て16年〔平成28年〕に憲法改正の発議・国民投票にこぎつける日程案が浮上している」との新聞報道があった(読売新聞、平成25年12月31日付)。そしてこれを裏付けるように、2年後の改憲を目指した国民運動が現実に始動し出している。3月議会では、石川県を皮切りに千葉県、熊本県など計8県議会で憲法改正促進を求める意見書が採択されており、6月議会ではさらに多くの県議会で議決が行われようとしている。
 思い出してみよう。第1次安倍内閣では、それまでの積み重ねがあったにせよ、従来まず不可能と考えられてきた教育基本法の改正を成し遂げた上、憲法改正国民投票法を制定し、さらに防衛庁を防衛省に昇格することができた。それもわずか1年間である。
 であれば、憲法改正とてできないはずがない。第2次安倍内閣の下、この2年間をかけて憲法改正を実現し、日本再建の力強い第一歩を踏み出そうではないか。(ももち あきら)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

憲法:責任と義務を謳うのは世界標準~西修氏

2013-08-12 08:44:01 | 憲法
 7月3日の拙稿で、国民には憲法遵守義務があることについての駒澤大学名誉教授・西修氏の見解を紹介した。西氏は、そこで「立憲主義は憲法に義務規定を設けることを決して否定していない。古来より今日に至るまで納税はむろん、国防や兵役を国民の義務規定としてきている立憲国家は、枚挙にいとまがない。これらの義務は、帰属する国家の一員として国民が当然に担うべき負担と考えられてきたのである。憲法尊重擁護義務もしかりだ。」と述べている。
 西氏は7月12日の産経新聞に、「『責任と義務』謳うは世界標準だ」と題した記事を書いた。ここで西氏は、自民党の「日本国憲法改正草案」が「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」(国民の責務)と謳ったことが、護憲派から批判されていることを挙げ、これに対する反論を書いている。
 西氏は、反論の根拠として、国際人権規約を挙げる。国際人権規約は、世界人権宣言のもとで、人権の理念を具体化し加盟国を直接に拘束する効力を持つ条約である。
 西氏は、国際人権規約で、個人は自ら帰属する社会に対して義務を負うこと、また、内心の自由たる宗教の自由、および民主主義の生命線といわれる表現の自由について、「公共の安全、国の安全、公の秩序、公衆の健康、道徳の保護」のために法律で制約することができると明記されていることを指摘する。
 私は、現在連載中の「人権――その起源と目標」で、国際人権条約について述べているが、この条約は多くの日本人が思っているより、重要な条約である。いわゆる人権派、左翼人権思想の信奉者は、時に国際人権条約の文言を振りかざす。だが、西氏が指摘しているように、国際人権条約は無制限の自由を人権とするものではなく、公共の利益のためには、制限できることを定めている。人権を至上の価値とする論者は、そのことに触れない。私の見るところ、多くの人は国際人権条約を読んでいないためか、有効な反論ができないでいる。
 西氏はまた多くの国の憲法には、表現の自由の制約要件として、「公共の利益、公共の秩序、国の安全、社会道徳、青少年の保護」などが定められているとし、「これが世界標準なのである」と述べている。それらの国々の憲法の規定は、国際人権規約の規定と矛盾しないものである。
 西氏は、記事で、国際人権規約から何条と明記して引用しておらず、かつ大意を示したもので文言が正確でないようである。そこで、同規約から義務と責任に係る部分を抜粋にて提示する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●国際人権規約

※外務省のサイトから
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2b_001.html
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2c_001.html

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)及び市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)に共通の前文

 この規約の締約国は、国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものであることを考慮し、これらの権利が人間の固有の尊厳に由来することを認め、世界人権宣言によれば、自由な人間は市民的及び政治的自由並びに恐怖及び欠乏からの自由を享受するものであるとの理想は、すべての者がその経済的、社会的及び文化的権利とともに市民的及び政治的権利を享有することのできる条件が作り出される場合に初めて達成されることになることを認め、人権及び自由の普遍的な尊重及び遵守を助長すべき義務を国際連合憲章に基づき諸国が負っていることを考慮し、個人が、他人に対し及びその属する社会に対して義務を負うこと並びにこの規約において認められる権利の増進及び擁護のために努力する責任を有することを認識して、次のとおり協定する。

◆社会権規約A規約より

第一条
1 すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する。
2 すべて人民は、互恵の原則に基づく国際的経済協力から生ずる義務及び国際法上の義務に違反しない限り、自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。人民は、いかなる場合にも、その生存のための手段を奪われることはない。
3 この規約の締約国(非自治地域及び信託統治地域の施政の責任を有する国を含む。)は、国際連合憲章の規定に従い、自決の権利が実現されることを促進し及び自決の権利を尊重する。

◆自由権規約(B規約)より

第一条
1 すべての人民は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する。
2 すべての人民は、互恵の原則に基づく国際的経済協力から生ずる義務及び国際法上の義務に違反しない限り、自己のためにその天然の富及び資源を自由に処分することができる。人民は、いかなる場合にも、その生存のための手段を奪われることはない。
3 この規約の締約国(非自治地域及び信託統治地域の施政の責任を有する国を含む。)は、国際連合憲章の規定に従い、自決の権利が実現されることを促進し及び自決の権利を尊重する。

第四条
1 国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合においてその緊急事態の存在が公式に宣言されているときは、この規約の締約国は、事態の緊急性が真に必要とする限度において、この規約に基づく義務に違反する措置をとることができる。ただし、その措置は、当該締約国が国際法に基づき負う他の義務に抵触してはならず、また、人種、皮膚の色、性、言語、宗教又は社会的出身のみを理由とする差別を含んではならない。
2 (以下略)

第十二条
1 合法的にいずれかの国の領域内にいるすべての者は、当該領域内において、移動の自由及び居住の自由についての権利を有する。
2 すべての者は、いずれの国(自国を含む。)からも自由に離れることができる。
3 1及び2の権利は、いかなる制限も受けない。ただし、その制限が、法律で定められ、国の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の権利及び自由を保護するために必要であり、かつ、この規約において認められる他の権利と両立するものである場合は、この限りでない。
4 (略)

第十八条
1 (略)
2 (略)
3 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。
4 (略)

第十九条
1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。したがって、この権利の行使については、一定の制限を課すことができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 次に西氏の記事の全文を転載する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●産経新聞 平成25年7月12日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130712/plc13071203160002-n1.htm
【正論】
駒沢大学名誉教授・西修 「責任と義務」謳うは世界標準だ
2013.7.12 03:15 [正論]

 今回の参議院選挙における大きな特色は、憲法改正が争点の一つになっていることである。序盤戦の状況がこのまま続けば、自民党と公明党で過半数を獲得する勢いである。加憲を含め、憲法改正に前向きな自公両党と、日本維新の会、みんなの党などが改正の発議に必要な参議院での3分の2(162人)の議席を超えるかどうかも焦点である。衆議院では、すでに自民党と日本維新の会で3分の2以上の議席を占めている。

≪護憲派による近視眼的論議≫
 護憲政党や一部マスコミなどの憲法論議をみると、一面的かつ近視眼的傾向が目立つ。例えば、自民党の「日本国憲法改正草案」が「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」(国民の責務)と謳ったことが、護憲派から批判されている。国民に責任と義務を強要し、時の政権が「公益及び公の秩序」に反すると判断すれば、自由と権利を極度に制約することが可能になり民主主義に逆行するというのだ。
 だが、国連総会で1966年12月に採択された「市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」(日本は79年6月に批准)前文に、「個人が、他人に対しておよびその属する社会に対して義務を負うこと」とある。
 宗教の自由については、「公共の安全、公の秩序、公衆の健康もしくは道徳または他の者の基本的な権利および自由を保護するために法律で制限できること」(第18条)、表現の自由では、「(a)他の者の権利または信用の尊重、(b)国の安全、公の秩序または公衆の健康もしくは道徳の保護のために法律で制限できること」(第19条)と規定されている(集会の自由、結社の自由に関してもほぼ同様の制約がある)。

≪国際人権規約にも規定あり≫
 この「国際人権規約」は、「世界人権宣言」(48年12月に国連総会で採択)とは異なり、「加盟国を直接に拘束する条約であり、法的にもきわめて重要な文書である」(芦部信喜著、高橋和之補訂『憲法 第五版』平成24年)。その「国際人権規約」で、個人は自ら帰属する社会に対して義務を負うこと、また、内心の自由たる宗教の自由、および民主主義の生命線といわれる表現の自由について、「公共の安全、国の安全、公の秩序、公衆の健康、道徳の保護」のために法律で制約することができると明記されている。
 このような「国際人権規約」の規定に対して、護憲学者の間から非民主的であるとの批判は聞かれない。各国憲法をみると、多くの国の憲法に表現の自由の制約要件として、「公共の利益、公共の秩序、国の安全、社会道徳、青少年の保護」などが定められている。これが世界標準なのである。
 第96条の憲法改正発議要件の緩和について改めて考えてみよう。同条項の原案が連合国軍総司令部(GHQ)で制定されたとき、日本人は民主主義に未熟であり、極力、変えにくいようにしたという事情と、先進国から成る経済協力開発機構(OECD)参加34カ国中、二院制を採用し、必ず国民投票に付すことを前提として、憲法改正の発議要件を各院で総議員の3分の2以上にしている国家は皆無であり、日本国憲法の改正要件の難易度が世界でも最高レベルであることは、今年4月1日付の本欄で指摘したところである。
 護憲勢力は、立憲主義とは国家権力を縛るものであって、国家権力者がそのルールを変えることは立憲主義の原則に反すると主張する。しかしながら、現行憲法のような厳しい発議要件は、むしろ国民の憲法改正意思を著しく縛っているのではないか。今年の3月から4月に実施された産経、読売、朝日、毎日および日経各紙の世論調査では、いずれも憲法改正賛成が過半数を超え、改正反対を17ポイントから28ポイントも引き離している。

≪発議要件緩和は主権の発露≫
 国民の代表者たる国会は本来、主権者たる国民の声を吸い上げる場でなければならない。にもかかわらず、例えば参議院で3分の1超、すなわち81人の議員の反対によって、憲法改正案を葬ることができるというのは、国民主権の原理に照らして、あまりにも不合理である。憲法改正発議要件の緩和は、国民主権行使の道を広げることにほかならないのである。
 各党の憲法に関する選挙公約を見ると、一院制への移行、首相公選制の導入、環境権をはじめとする新しい権利の「加憲」などが掲げられている。重要な課題ではあるが、最も重要な論点は、わが国の領土領海をいかに保全するか、国の緊急事態に際して国民の生命、自由、財産をどのようにして保護するかという点である。
 現在の憲法では限界があることは明らかだ。各党は、とりわけ集団的自衛権を含む安全保障のありようを、有権者に具体的かつ積極的に語りかけなければならない。有権者もまた、主体者意識をもって憲法の再生に向けて真摯に向きあう決意と判断力が求められる。この参議院選挙は、その意味で、きわめて重要な機会である。(にし おさむ)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

関連掲示
・拙稿「憲法:国民には憲法遵守義務がある~西修氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/s/%C0%BE%BD%A4

参院選:憲法改正託せる人物を~百地章氏

2013-07-20 12:06:12 | 憲法
 参議院選挙は、いよいよ明日となった。今回の参院選は、憲法改正を争点とする選挙となるべきところ、憲法改正についての国民的な議論が高まらないまま、投票日を迎える。残念な状況である。
 現行憲法には、主権在民が規定されているが、国民の多くは自らが主権者であるという意識が薄い。その原因は、主権在民と定めている憲法そのものにある。現行憲法は、日本人が自ら起草したものではなく、GHQが秘密裏に英文で起草したものを押し与えられ、銃砲による威嚇と情報統制の監視のもとで、制定されたものだから、国民は自ら憲法を作ったという意識を持ちようがない。さらに、現行憲法は、極めて厳しい改正要件を第96条に定めており、国民は憲法改正に直接かかわる機会がいまだかつてない。主権の構成要素に憲法制定権があり、主権者は憲法制定権者だが、わが国では主権者が主権者の役割を果たしたことがない。そのため、国民の多くは自らが主権者であるという意識が薄いのである。
 この状況を変えるには、国政選挙が最もよい機会である。各党が憲法に関する政策を公約し、有権者の前で大いに議論する。有権者はその議論に参加し、また様々な機会に互いに議論する。こうした題材の一つが、第96条の改正要件の見直しである。改正要件の緩和は、憲法を主権者である国民の手に取り戻すという意義がある。だが、今回の参院選では、その議論がまだよく盛り上がっていない。残念な状況である。
 さて、日本大学教授の百地章氏は、憲法改正及び96条改正を主張する有識者の一人だが、今回の参院選について書きのように述べているので、参考に紹介する。
 「参議院議員の任期は6年であるから、今回選出される議員の任期中に、憲法改正の発議がなされる可能性は高いと思われる。したがって、その時、参議院に憲法改正に通じた人材が確保できているかどうかは、国の命運にかかわる。候補者の政見にじっくり耳を傾けて、真に憲法改正を託すに足る人物かどうか、よくよく吟味したうえでの投票を期待したい」。
 現時点の参院選予測では、私の見るところ、改憲勢力は憲法改正発議要件の3分の2以上に、19議席ほど不足すると予想される。選挙は、結果を見るまで分からない。大衆の心理は、1日の内にも変化する。だが、仮に選挙結果が先の予想に近いものとなり、このまま衆院では3分の2以上が維持された場合、次のチャンスは3年後となる。その時こ衆院・参院とも改憲勢力が3分の2以上となっても、国会が具体的にどう改正するかの案をまとめ、国民投票に諮るには、また数か月なり1年以上なりの時間がかかるだろう。
 問題は、これからの3年ないし4年なりの間にも、わが国の主権を揺るがす事態が生じるおそれがあることである。私は、特に中国による尖閣諸島への武力侵攻、北朝鮮の冒険主義的行動または体制崩壊によるわが国への影響を懸念する。第9条を改正しなければ、日本は守れない。焦点を絞れば、9条2項である。それを日本人自身がどうするかである。
 日本国民は、主権者として、日本の現状及び将来をよく考え、参院選で貴重な一票を投じよう。
 以下は、百地氏の記事。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●産経新聞 平成25年7月19日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130719/elc13071903170023-n1.htm
【正論】
日本大学教授・百地章 「憲法改正」託せる人物を選ぼう
2013.7.19 03:16 [憲法改正論議]

 参議院選挙の投票日まで、残すところわずかとなった。当初、国政選挙における初めての本格的な改憲論議を期待していたが、残念ながらさして盛り上がらないまま終盤に入ったようだ。そこで改めて、改憲論議の現状と今後の課題に触れてみたい。

≪先行改正慎重論に反論続々≫
 4月11、5月28両日付本欄で憲法96条改正反対論への様々な疑問や批判を述べ、『正論』8月号でも詳細な反論(「憲法を国民の手に 96条改正はその第一歩」)を加えたが、その後、96条改正反対論に有力な反論が現れた。
 一つは、京都大学の大石眞教授によるものである。教授は「96条改正は立憲主義の破壊」という批判について、「96条を見直すとどうして立憲主義が破壊されてしまうのか、その理屈がよくわからない」「憲法改正は政治の一つの仕組みに過ぎない。仕組みが存在しているのに動かしてはいけないという主張はおかしい」と反論、96条の見直しは「クーデターだ」「裏口入学だ」といった批判を、「レッテル貼りに近い」としている(7月2日付読売新聞)。
 また、北岡伸一東大名誉教授も「96条改正反対論の中には、憲法の個々の条項ではなく、手続きを先に変えるのはルール違反だという人がある。しかし、現行のルールはGHQが日本に押しつけたものであるから、この批判はナンセンスである」と一蹴している(7月1日付日本経済新聞)。
 さらに、96条改正反対の急先鋒(せんぽう)で、「絶対ダメだよ。邪道」「縛られた当事者が『やりたいことができないから』と改正ルールの緩和を言い出すなんて本末転倒、憲法の本質を無視した暴挙だよ。近代国家の否定だ」(4月9日付毎日新聞)と述べていた小林節慶応大学教授も、筆者との対談では、「9条などの改憲がなされた後なら、96条の改正をしてもいいと思います」と発言しておられる(別冊宝島『憲法大論争』)。

≪優先すべきテーマ絞り込め≫
 96条改正は、連合国軍総司令部(GHQ)により課せられた拘束から日本人を解放し、憲法を国会から主権者国民自身の手に取り戻すという、独自の意義を有する。それゆえ、96条の先行改正について決して姑息(こそく)などといった批判は当たらないことは、以上からも明らかであろう。ただ、96条改正後に何を変えるのか、具体的に明確な方向を示さないまま先行改正を行うことに対し疑問や批判が提起されているのも事実である。
 であれば、この際、96条と同時に、改正の中身についても優先テーマを絞ったうえで、具体的な目標をはっきりと提示していくべきではなかろうか。というのは、憲法改正の発議は、「内容において関連する事項ごとに区分して行う」ことになっており(国会法68条の3)、現実問題として全面改正は不可能だからである。
 優先テーマを決定する際の基準は、まず国家的な重要課題であることと、何よりも緊急性を要すること、になると思われる。とすれば、一刻を争うテーマとして真っ先にあげられるべきは、緊急事態対処規定と9条2項の改正による「軍隊の保持」であろう。

≪緊急事態対処規定と9条2項≫
 昨年7月19日に、国の中央防災会議の作業部会が、「首都直下型地震は国家の存亡にかかわるものであり、その対策は喫緊の課題である」旨の中間報告を発表した。「国家の存亡にかかわる」という警告は尋常ではない。しかも、京都大学の藤井聡教授(内閣官房参与)によれば、「首都直下型地震は、8年以内に間違いなく起きるだろう」という。だとすれば、速やかに憲法に緊急事態対処規定を盛り込む必要がある。これなら、大方の国民の賛成を得ることも決して困難ではないだろう。
 もう一つの9条2項の改正だが、新聞やテレビのほとんどの世論調査では、「9条の改正」に賛成か反対かを尋ねており、「9条1項の平和主義は維持したうえで2項を改正し軍隊を保持すること」の是非を聞こうとはしない。なぜこれを問わないのか。
 また、9条改正の目的は、自衛隊が対外的には「軍隊」とされながら、国内的には「軍隊」ではないとされている矛盾を解消するためであること、さらに現在の自衛隊が法制度上は「警察」組織にすぎず、「軍隊」にしなければ「武力攻撃」に至らない武装ゲリラなどによる領土・領海の侵犯に有効に対処できないことなど実例を挙げて、なぜ軍隊としなければならないかを分かりやすく説明していくべきである。そうすれば、中国や北朝鮮などによる軍事的脅威を前に、常識ある国民は必ずや耳を傾けてくれるはずである。
 参議院議員の任期は6年であるから、今回選出される議員の任期中に、憲法改正の発議がなされる可能性は高いと思われる。したがって、その時、参議院に憲法改正に通じた人材が確保できているかどうかは、国の命運にかかわる。候補者の政見にじっくり耳を傾けて、真に憲法改正を託すに足る人物かどうか、よくよく吟味したうえでの投票を期待したい。(ももち あきら)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


憲法:自・維・みは改正を公約

2013-07-07 08:36:14 | 憲法
 7月21日の参議院選挙に向けて、各党が選挙公約を発表している。今回の参院選は、わが国最大の課題である憲法改正が争点になる。
 憲法改正に関し、最も積極的なのは、自民党である。自民党は、平成24年4月に発表した憲法改正草案で、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つの基本原理を継承しつつ、日本国の歴史や文化、国や郷土を自ら守る気概、和を尊び家族や社会が互いに助け合って国家が成り立っていることを表明している。天皇は元首であると規定、自衛権、国防軍の設置、領土などの保全義務を明記。武力攻撃や大規模自然災害に対応するための「緊急事態条項」を新設、まや改憲の発議要件を「衆参それぞれの過半数」に緩和し、主権者である国民が国民投票を通じて憲法判断に参加する機会を得やすくするとし、広く国民の理解を得つつ、「憲法改正原案」の国会提出を目指し、憲法改正に積極的に取り組んでいくとしている。
 次に憲法改正に積極的な姿勢を示しているのは、日本維新の会である。自民党は憲法改正の発議要件を定めた96条の先行改正を公約に入れなかったが、維新の会は「改憲の賛否を問うために、まず憲法96条改正に取り組む」とこの点を明確に打ち出している。
 みんなの党も憲法改正を公約に入れている。6月17日に発表した全体公約「アジェンダ(政策課題)2013」には、96条改正を盛り込んでいるが、参院選期間中に配布する公約冊子「みんなの政策」からは96条改正を除外した。優先順位を下げるとともに、維新と同一視されるのを避け、独自色を強める狙いと見られる。
 自民・維新・みんなの三党は、憲法改正についての方針・政策に違いはあるものの、改憲の必要性については、基本的に共通の認識を持っている。選挙後の政策協力を視野に入れて、活発な議論が行われることを期待する。
 以下、上記各党の公約抜粋。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●自民党の参院選公約より

http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/sen_san23/sen_san23-2013-06-27_2.pdf
「誇りある日本」へ。憲法
さあ、時代が求める憲法を。

 憲法は、国家の最高法規。まさに国の原点です。既に自民党は、現行憲法の全ての条項を見直し、時代の要請と新たな課題に対応できる「日本国憲法改正草案」を発表しています。憲法を、国民の手に取り戻します。

・自民党「日本国憲法改正草案」(平成24年4月発表)の主な内容
①前文では、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つの基本原理を継承しつつ、日本国の歴史や文化、国や郷土を自ら守る気概、和を尊び家族や社会が互いに助け合って国家が成り立っていることなどを表明しました。
②天皇陛下は元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であることを記し、国や地方公共団体主催行事へのご臨席など「公的行為」の規定を加えました。国旗・国歌・元号の規定も加えました。
③自衛権を明記し、国防軍の設置、領土等の保全義務を規定しました。
④家族の尊重、家族は互いに助け合うことを規定しました。
⑤国による「環境保全」「在外邦人の保護」「犯罪被害者等への配慮」「教育環境整備」の義務を新たに規定しました。
⑥内閣総理大臣の権限や権限代行を規定しました。
⑦財政健全性の確保を規定しました。
⑧地方自治の本旨を明らかにし、国及び地方自治体の協力関係を規定しました。
⑨武力攻撃や大規模な自然災害などに対応するための「緊急事態条項」を新設しました。
⑩憲法改正の発議要件を「衆参それぞれの過半数」に緩和し、主権者である国民が「国民投票」を通じて憲法判断に参加する機会を得やすくしました。

★自民党は、広く国民の理解を得つつ、「憲法改正原案」の国会提出を目指し、憲法改正に積極的に取り組んでいきます。

●日本維新の会の参院選公約より

https://j-ishin.jp/pdf/2013manifest.pdf
・基本方針~「3国家のシステムを賢く強くする」
 現状認識の下の「基本方針」の一つに「改憲の賛否を問うために民主主義の原点に基づき、まず憲法96条改正に取り組む〔★憲法96条改正原案、憲法改正・国民投票法改正案提出〕

・政策実例~憲法を改正する
 改憲の賛否を国民に問うために民主主義の原点に基づき、発議要件2/3から1/2に改正する〔★憲法96条改正原案、憲法改正・国民投票法改正案提出〕
国民が直接リーダーを選ぶ制度として首相公選制を実現する
天皇の元首としての位置づけを明確化する
衆参合併によって一院制へと改革し、決められる政治を実現する
政府が健全な財政運営を行う責任を有することを憲法上に明記する(将来世代への先送りの禁止)
自衛権に基づく自立した安全保障体制確立のため、憲法を改正する。

●みんなの党の参院選公約より

http://www.your-party.jp/policy/manifest.html
Ⅰ 増税の前にやるべきことがある!
A 国会議員が自ら身を切る
1.国会議員の数を大幅削減し、給与をカット
 将来的には憲法改正手続きの簡略化を進め、決議要件を緩和。憲法改正によって「地域主権型道州制」を導入した後、衆参両院を統合して一院制(定数200)へと改め、「ねじれ国会」をなくす。
3.政治資金の流れを透明化し、利益誘導政治から脱却
3.政党助成金等に係わる情報公開を進め、憲法改正時には政党規定を新設するとともに、政党運営の健全化を図る「政党法」を制定する。

C 真の政治主導(内閣主導)を確立し、国民が主役の政治を実現する
1.総理大臣を司令塔として国家戦略を策定
4.憲法改正を必要としない日本型首相公選制を導入。国民投票によって国民が総理大臣にしたい候補者を選んだ後、国会議員はその投票結果に示された世論を尊重して総理大臣の指名に関する投票を行う。将来的には、憲法改正による首相公選制を導入。

Ⅳ 日本の再生のためには復興第一!
B 震災被災地の復興を日本再生のモデルに
1.被災地対象の新たな取組み
2.憲法上、非常事態法制の整備を明記する。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――