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「サスケ」

Sasukeh  小学館から「カムイ伝全集」が刊行され出した、ということで、コンビニなどに並べられる、コミックスよりも紙質の悪い、読み捨て小型雑誌版のような、B6版の簡易漫画単行本(もっとも今の雑誌の紙質は、昔に比べれば格段に良くて、印刷もきれいですが)、小学館の場合はmy first BIGシリーズですが、それの、昔懐かしい「サスケ」がコンビニにあったので、つい買っちゃいました。

Sasuke2  それはそれは懐かしい、僕の小学生時代の人気漫画です。TVアニメ化の時はもう僕も中一くらいになっていたか?何か、このアニメ番組の話題を、剣道部の道場の更衣室で話した覚えがあるような。小六くらいかも。まあいいんだけど、アニメ主題歌の「♪風よ吹け吹け嵐よ荒れろ…、♪来るぞ来るぞ手強いぞ…」。というフレーズのテンポの良い曲調は好きで、今でも時々思い出します。

 「サスケ」は、戦後日本漫画を作った、手塚治虫とその直弟子達と並ぶ、大巨匠白土三平氏の代表作の一つです。白土氏は、今のジャパニーズ漫画文化のルーツの一人、と言っても過言でないような先駆者の一人に数えられるでしょう。昔の貸本劇画出身の白土三平さんは、当時の中学生以上青年向けの作品が主体でしたが、この「サスケ」は白土氏のホームグラウンドの忍者劇画を、子供向けに易しく描いた作品です。昭和中期の少年漫画誌の王者、月刊誌「少年」に別冊付録で長く連載、好評を得ていました。

Saskepage  「サスケ」は時代物ですが、当時の漫画表現としては残酷味があり、子供向け漫画としてはリアルな作品でした。貸本期から凄絶過酷な忍者社会などを描く白土三平さんの作品は、そのビジュアル表現が残酷すぎると、当時のメディアなどからヤリ玉に挙がったものでした。それでも読者人気は高く、支持するファンは後を絶たず、やがて市民権を得るサブカル漫画の中でも、大きな位置を占めたものです。けれども、それは「忍者武芸帳」や「カムイ伝」といったシビアでリアルな時代劇作品の功績で、それらはまたの機会に話しましょう。

 「サスケ」そのものは、当時の少年漫画陣の中では、表現やストーリーがリアルではありましたが、白土氏の大人向け漫画に比べれば、絵柄もお話も優しく柔らかく、忍者社会も「カムイ伝」等に比べればその過酷さなどは、相当オオアマに緩く暖かく描かれていました。子供向け雑誌の中での、少年忍者サスケの成長物語です。まあ、その、世の中の厳しさを知って行く‥、という点でですけど。

20050815144507  小学館の大規模な出版刊行全集、決定版「カムイ伝全集」は、白土三平氏の画業50周年記念の刊行全集で、これまでに長期に渡って描かれて来た代表作「カムイ伝」とそのアナザストーリー「カムイ外伝」が全て収録されています。全38巻刊行予定で、今続々刊行中です。もっとも小学館は、「カムイ伝」や「忍者武芸帳」はこれまでにも、愛蔵版で全集刊行していますけど。

 白土三平さんと、以前この「Kenの漫画読み日記。」で紹介したつげ義春さんは、同じ貸本劇画出身という事で、親交はあったようです。ただお互いアーチスト特有の独特の性格の持ち主で、特につげさんの方は言ってみれば変わり者で、あまり人付き合いは得意ではなく、それ程親しく交流していたという事はないようですけど。ただ驚いたのは、白土さんの方が少し年上ですが、デビューはつげさんの方が早いんですねえ。貸本劇画時代には、白土さんの作風をつげ義春が真似て描いていた、一時代もあったのですけど。つげさんのその後は以前紹介した通りですが。

Img079_thumb  「サスケ」も「カムイ伝」も今から考えれば古い、漫画ルーツと言ってもいいくらいの昔の作品ですけど、今でもメッチャ面白い、重厚なストーリーの娯楽作品です。今の若い読者達にも是非読んで堪能してもらいたいような、漫画ですね。

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