ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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買ってはいけない、投資商品  その2 つづき

2011年05月24日 | 資産運用 

 前回は、ノックアウト・オプションという名の付いた、顧客を一撃で倒す商品を紹介しました。銀行が個人ではなく、中小企業に持ち込む悪質商品リストのナンバーワンもやはり、金利や為替にまつわるデリバティブ商品です。本来であれば銀行と企業の関係は一緒に儲けて成長していくべきなのに、顧客をノックアウトする商品に、ぬけぬけと「ノックアウト・オプション付」という説明まで付けて押し売りをしています。嘆かわしい限りです。
 しかし一方、銀行に比べ立場が弱いからといって、ひっかかる中小企業もひっかかるほうです。オレオレ詐欺が、名刺に「オレだオレ」と書いて差し出しているのに、めげずにひっかかるんですからね(笑)。いや、ひっかかってあげているのかもしれませんが(笑)
 11年1月24日付け日経新聞に、「円高損失の為替商品、中小1万9千社保有」の記事がありました。契約数は6万4千件で、為替取引に関係のない企業がほとんどで、特に契約数が多いのは3メガバンクとのこと。しかも中にはその損失がもとで、企業倒産まで起こっているそうです。
 その数日後の日経新聞に今度はメガバンクが「何らかの救済措置を検討」するとの記事が出ました。私はこの記事を目にして、投資銀行での経験を思い出しました。
 80年代の終わり頃、日本人を煽ってアメリカで不動産投資をさせ、90年代になってそれが値下がりに転じて困りはじめると、今度は「売ってあげようか」と手を貸す(笑)。マッチ・ポンプを絵に描いたような話です。こうした銀行のやっていることは初めの頃に書いた、高齢者にジャンクボンド投信を買わせる証券会社と同じレベルの話です。
 銀行さえ儲かれば、客など殺してもかまわない、次の客にいけばいい。これが今の日本の証券や銀行の実態だと思うと、本当に心が痛みます。しかもそれらは大手の証券・銀行なのです。
 みなさんの周りに、もしこうしたお話があったら、是非コメントとしておしらせください。私はそうした証券・銀行の所業を明らかにして、一般の方が詐欺的行為にひっかからないよう警告を発しつづけていきたいと思っています。
 日本の金融庁は、高齢者に複雑な仕組み商品を売る行為に目をつぶり、自ら最も大事な仕事を放棄しています。それが続く限り、みなさんご自身は自己防衛手段を身に着け、銀行・証券に決して騙されないようにしましょう。ついでに「変額保険」という、保険ではない詐欺商品に保険という名をつけて高齢者を騙した実績を有する保険会社にも。

まとめ
説明を要する商品には、絶対手を出してはいけない
説明するにはワケがある
銀行・証券の儲けは、投資家の損

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5 コメント

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父が銀行の口車に引っかかりました (hal)
2013-02-28 13:29:24
こんにちは。年金暮らしの両親をもつ30代会社員のhalと申します。

父が老後資金を銀行にいわれるがまま、ほぼ全額を投資信託に投入しました。
投資信託とは何かも分からない素人が銀行の担当者に言われた通りに値段が下がれば売り、そのお金で手数料が高い商品を買うということを続け数百万の損を既にしています。

今年に入り、母から相談されました。
私も投資はしたことがない素人ですが、PIMCO米国ハイイールド債権通貨選択型ブラジルレアルコース以外は何とかプラスで売却しました。
しかし、この商品は値幅が広く怖くて売れずにいました。
http://www.smtb.jp/personal/saving/investment/fund/81312102.html

(売却決定して2営業日後の価格での売却になると担当者から説明されたので)、勉強して少しでも少ない損で売れればと思い、調べていたところこのWebに辿り付くことが出来ました。

父は「これから儲かるのに」と凝りずに言って(笑)断固反対していましたが、先日1/3は本日28日付で売ることに決めました。

しかし27日付が-244円下がり、まだ元本割れはしていないものの多額の損害を覚悟していますがもしアドバイスが頂けたら嬉しいです。

長文・乱文で失礼致しました。
今後の益々のご活躍、お祈りしています。
返信する
halさんへ (林 敬一)
2013-03-01 20:32:15
halさんはじめまして。

ブログにたどりついていただき、ありがとうございます。

今後の参考のため、どうしてこのブログにたどりついたかだけ、教えていただけますか。

2011年5月の記事へのコメントをいただいたんですね。

気がつかずに時間が過ぎて、すみません。

是非、私の著書を読んでください。回答の一助になると思います。著書には知り合いの高齢者の例が、詳しく書いてあります。

ブラジルを含む資源国のハイイールド債の投信について、絶対にかってはいけないリストの筆頭に入れています。

投資を長くやっていてもひっかかる商品ですが、毎月の高配当に釣られて本当に多くの方が投資をし、損害を受けた方は多いと思います。

もちろんこうした商品は、上がる時は上がるので、それに目がくらむわけですが、大きな上昇はしょせん十年に一度のバブルだと思わないといけません。

ブラジルはオリンピックという格好の材料があったので、余計にバブリました。

さて、この投信ここにきてたしかに若干戻しましたが、長期では楽観できません。経済自体の成長性が危ういからです。

私は円安もあり、今の段階での売却をお薦めします。

本来であれば買い値、再投資の有無、為替ヘッジ付きの有無などを確認してからお返事を差し上げるべきですが、明日早朝から週末の旅行に出るので時間をかけたコメントができなくてすみません。

もっとも週末でトレードできないことを考えると、時間的には週明けでもかまわないかもしれませんね。

とりあえず
返信する
お返事ありがとうございます。 (hal)
2013-03-04 21:05:29
こんばんは。ご丁寧なお返事ありがとうございました。

だいぶ以前の記事だったので読まれないかも?!とは思ったのですが、全く関係ない記事にコメントを残すのはご迷惑かと考えました。

こちらには「ハイイールド債権」「通貨選択」「損」で検索してたどり着きました。

たくさんのWebを見ましたが米国ハイイールド債権通貨選択型は悪い噂しかないので焦るものの、投資素人が動かすには動向が分かりにくい商品で困っていました。

お返事頂け、本当に嬉しかったです。

ちなみに1/10 7,492円でまだ5,000株ほど持っています。
返信する
株数間違えました (hal)
2013-03-04 21:18:50
すみません。桁を間違えました。

5000株ではなく約5,200,000株です。
2/28付で2,500,000株は売りました。
返信する
halさんへ (林 敬一)
2013-03-05 17:09:19
お返事いただき、ありがとうございます。

たくさんの検索ワードを並べるとたどりつけるんですね。

こうした投信を買っている方から多くの相談を受けましたが、いままで仕組みやリスクを私に説明できた人はいませんでした。つまりなにがなんだかわからない商品を勧められるままに買っています。

ちなみに次の言葉をお父上に説明できるか聞いてみてはいかがでしょうか。

・ハイイールド債券
・通貨選択型
・為替プレミアム

的確な回答が得られなければ、説得材料になるかもしれません。

例えばハイイールドとはジャンク、すなわち「投資不適格債券」だとも知らずに買っているのです。

国によっては、老人にジャンクを買わせると、お縄を頂戴する可能性もあります。

その他の言葉は、ベテランの方でも適切に説明するのは困難でしょう。

ブラジルは成長率が落ちていて、かつインフレがふたたびひどくなりつつあり、いわゆるスタグフレーションに陥りつつあります。

損失が少ない今早めに売却をして、投資のトラウマから解放されるべきでしょう。きっと母上もすっきりすると思います。

そして手前味噌ではありますが、私の著書「証券会社がうりたがらない米国債を買え」を父上と一緒に読んでみてはいかがでしょう。目が覚めることうけあいです。

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