来週末から2週間の予定でフランスに観光旅行しますので、新シリーズは帰国後の8月に開始いたします。
今回のフランス旅行はスペイン国境のピレネー山脈のバスク地方がメインです。それに加え大好きなパリにも何日か滞在します。なんでそんな山奥にわざわざ行くかと申しますと、旅のメインの目的がツール・ド・フランスという自転車競技を観戦することにあるからです。
ツールはフランス中を3週間にわたって3千キロくらい走ります。自転車のツーリングは日本でもポピュラーなスポーツになっていて、街中でもレーサーのような格好で走る人をよく見ますが、世界一の自転車競技とはいえツールを見にわざわざフランスまで行くとなると、かなりオタクっぽいですよね。
この趣味、実は家内の趣味なんです。自転車といってもプロは平地だと平均速度は50kmくらいで走りますので、上り坂で見ないとゆっくりと選手をみることができません。ですので山岳地帯の観戦が面白いのです。レンタカーをして何日間か観光しながら観戦し、最後はパリのゴールも見るつもりです。9人がチームを作り全部で22チーム、約200人が走るのですが、日本人は今回もたった一人の参加です。彼、新城選手は4日目の区間で敢闘賞をもらいました。日本人としては大変な快挙です。彼が最後まで完走してくれることを祈ります。
さて、今回の本題です。
昨年の本の出版から1年ほど経っていますので、果たして私が本の中で言っていたこと、そしてブログで言っていたことがどの程度当たっているか、どの程度間違っているか検証をしてみましょう。著者にとってこうしたことをするのはとても厳しいことですが、避けて通ることはできないと思います。
著書の内容の基本部分は債券投資のノウハウですので、その部分はあまり予測的なものはありません。ですので主に経済や相場の見方がどうだったかの検証になります。
どんなことを予測的に言っていたかを以下に箇条書きにしながら検証してみます。まず私自身の採点を・・・のあとに文章で付けますので、みなさんは番号ごとに○、×、△で星取表をつけてみてください。それをどうぞ遠慮なく、コメントにアップしてください。
番号と内容をコピペしていただいても結構ですし、番号と○×△でもけっこうです。よろしくおねがいします。判定時期になっていない場合、「時期尚早」もありですね。
例. 1. 時期尚早 2.○ 3.×
では項目と林のコメントです。太字項目、細字が林のコメントです
1. 日本経済は円高・デフレのトラップから抜けられない・・・政府があがこうが日銀があがこうが、抜け出られる兆しは見えない
2. 先進国では米国経済と豪州経済は相対的によいが欧州はダメで為替も投資に値するのは米ドル・豪ドル程度・・・対円で見ているとこの二つの通貨の価値はほとんど変化はないのですが、対ユーロ・ポンド・新興国通貨などで見ると、実は価値を上げています
3. 欧州は何度でも危機が繰り返され、安定は程遠い。ただしユーロ発の恐慌などこない。またギリシャはユーロに留まり、イタリア・スペインの問題は銀行問題など限定的で、ユーロを壊滅させるような問題ではない・・・ギリシャは留まる選択をし、スペイン、イタリアと続けて市場はヒットしようとしたが、実際には先週の政策合意で打ち返され、恐慌論は引っ込んだ
4. 新興国は経済も相場も振幅が激しく、シロウトが手を出すべきでない・・・ブラジル・レアル、南ア・ランド、トルコ・リラ、いずれも価値を下げ株式相場もかんばしくない
5. 商品の代表としてのゴールド(金)には投資すべきでない・・・昨年の1,800ドル台から1,600ドル前後に程度に低下。それだけを見れば○だが、本の内容のとき金価格は1,500ドル台でそれでも投資すべきでないと主張していた
6. 世界が震撼するときに売られるのはすべての株、新興国の債券、買われるのは米国債・・・この図式に変化はないが、同時に日本円と日本国債も買われている
7. アップル株はバブル、バークシャー株はバブルでない・・・アップルは高いと言った辺りが高値で若干低下したが判断は時期尚早。ただアップルのテレビが出ると『もうひと山か』と申し添えている。バークシャーはそこそこ価格を保っている
8. 日本の不動産は長期的にはダメ・・・最近またJ-REITの復活を一生懸命はやしたてているが、その程度で不動産市況は戻らない。路線価も連続低下
9.アメリカのREITは勝負するなら価値あり・・・現状でも安定的なパフォーマンスを継続している
10. アメリカ経済は先進国の中では最も安定的で不安はない・・・判定は時期尚早だが、6月初旬欧州問題といっしょこたにした恐慌再来論があったが、その議論は大きく後退した
11. 複雑怪奇でリスクの高い『通貨選択型ハイイールド債券投資信託』などに絶対投資してはいけない・・・投信業界を挙げて問題化しはじめ、業界が反省期にはいりつつある
12. ほとんどが元本割れしている毎月配当型投信などに投資するくらいなら、自分で自分に配当しろ・・・上記同様に元本割れが問題化しつつあり、私の主張『配当は1万円を超えた部分ですべきだ』という議論が出てきた
13.米国債金利と為替動向について、米国債金利は比較的短期の景気動向に左右され、ドル円レートは比較的長期の構造要因に左右される。80円を切るドルを手当てしておき、米国債金利が高くなったら投資するのはよい戦略だ・・・この示唆をしてのは春だったので判定は時期尚早だが、ユーロ発の恐慌論から米国債が一方的に買われて金利がより低下している。10年物の金利の下限は特に予想していませんでしたが、1.5%になるとは正直心の中でも思っていませんでした
以上、思いつくままに予測的な部分を書きだし、判定を加えてみました。判定に異論、反論、同意、同情などあればなんでも歓迎します。また他にも挙げるべき項目で私が忘れているものがあれば是非ご指摘ください。自分自身の勉強のためにもこうしたチェックは今後も続けたいと思っています。みなさんのご協力をお願いいたします。
今回のフランス旅行はスペイン国境のピレネー山脈のバスク地方がメインです。それに加え大好きなパリにも何日か滞在します。なんでそんな山奥にわざわざ行くかと申しますと、旅のメインの目的がツール・ド・フランスという自転車競技を観戦することにあるからです。
ツールはフランス中を3週間にわたって3千キロくらい走ります。自転車のツーリングは日本でもポピュラーなスポーツになっていて、街中でもレーサーのような格好で走る人をよく見ますが、世界一の自転車競技とはいえツールを見にわざわざフランスまで行くとなると、かなりオタクっぽいですよね。
この趣味、実は家内の趣味なんです。自転車といってもプロは平地だと平均速度は50kmくらいで走りますので、上り坂で見ないとゆっくりと選手をみることができません。ですので山岳地帯の観戦が面白いのです。レンタカーをして何日間か観光しながら観戦し、最後はパリのゴールも見るつもりです。9人がチームを作り全部で22チーム、約200人が走るのですが、日本人は今回もたった一人の参加です。彼、新城選手は4日目の区間で敢闘賞をもらいました。日本人としては大変な快挙です。彼が最後まで完走してくれることを祈ります。
さて、今回の本題です。
昨年の本の出版から1年ほど経っていますので、果たして私が本の中で言っていたこと、そしてブログで言っていたことがどの程度当たっているか、どの程度間違っているか検証をしてみましょう。著者にとってこうしたことをするのはとても厳しいことですが、避けて通ることはできないと思います。
著書の内容の基本部分は債券投資のノウハウですので、その部分はあまり予測的なものはありません。ですので主に経済や相場の見方がどうだったかの検証になります。
どんなことを予測的に言っていたかを以下に箇条書きにしながら検証してみます。まず私自身の採点を・・・のあとに文章で付けますので、みなさんは番号ごとに○、×、△で星取表をつけてみてください。それをどうぞ遠慮なく、コメントにアップしてください。
番号と内容をコピペしていただいても結構ですし、番号と○×△でもけっこうです。よろしくおねがいします。判定時期になっていない場合、「時期尚早」もありですね。
例. 1. 時期尚早 2.○ 3.×
では項目と林のコメントです。太字項目、細字が林のコメントです
1. 日本経済は円高・デフレのトラップから抜けられない・・・政府があがこうが日銀があがこうが、抜け出られる兆しは見えない
2. 先進国では米国経済と豪州経済は相対的によいが欧州はダメで為替も投資に値するのは米ドル・豪ドル程度・・・対円で見ているとこの二つの通貨の価値はほとんど変化はないのですが、対ユーロ・ポンド・新興国通貨などで見ると、実は価値を上げています
3. 欧州は何度でも危機が繰り返され、安定は程遠い。ただしユーロ発の恐慌などこない。またギリシャはユーロに留まり、イタリア・スペインの問題は銀行問題など限定的で、ユーロを壊滅させるような問題ではない・・・ギリシャは留まる選択をし、スペイン、イタリアと続けて市場はヒットしようとしたが、実際には先週の政策合意で打ち返され、恐慌論は引っ込んだ
4. 新興国は経済も相場も振幅が激しく、シロウトが手を出すべきでない・・・ブラジル・レアル、南ア・ランド、トルコ・リラ、いずれも価値を下げ株式相場もかんばしくない
5. 商品の代表としてのゴールド(金)には投資すべきでない・・・昨年の1,800ドル台から1,600ドル前後に程度に低下。それだけを見れば○だが、本の内容のとき金価格は1,500ドル台でそれでも投資すべきでないと主張していた
6. 世界が震撼するときに売られるのはすべての株、新興国の債券、買われるのは米国債・・・この図式に変化はないが、同時に日本円と日本国債も買われている
7. アップル株はバブル、バークシャー株はバブルでない・・・アップルは高いと言った辺りが高値で若干低下したが判断は時期尚早。ただアップルのテレビが出ると『もうひと山か』と申し添えている。バークシャーはそこそこ価格を保っている
8. 日本の不動産は長期的にはダメ・・・最近またJ-REITの復活を一生懸命はやしたてているが、その程度で不動産市況は戻らない。路線価も連続低下
9.アメリカのREITは勝負するなら価値あり・・・現状でも安定的なパフォーマンスを継続している
10. アメリカ経済は先進国の中では最も安定的で不安はない・・・判定は時期尚早だが、6月初旬欧州問題といっしょこたにした恐慌再来論があったが、その議論は大きく後退した
11. 複雑怪奇でリスクの高い『通貨選択型ハイイールド債券投資信託』などに絶対投資してはいけない・・・投信業界を挙げて問題化しはじめ、業界が反省期にはいりつつある
12. ほとんどが元本割れしている毎月配当型投信などに投資するくらいなら、自分で自分に配当しろ・・・上記同様に元本割れが問題化しつつあり、私の主張『配当は1万円を超えた部分ですべきだ』という議論が出てきた
13.米国債金利と為替動向について、米国債金利は比較的短期の景気動向に左右され、ドル円レートは比較的長期の構造要因に左右される。80円を切るドルを手当てしておき、米国債金利が高くなったら投資するのはよい戦略だ・・・この示唆をしてのは春だったので判定は時期尚早だが、ユーロ発の恐慌論から米国債が一方的に買われて金利がより低下している。10年物の金利の下限は特に予想していませんでしたが、1.5%になるとは正直心の中でも思っていませんでした
以上、思いつくままに予測的な部分を書きだし、判定を加えてみました。判定に異論、反論、同意、同情などあればなんでも歓迎します。また他にも挙げるべき項目で私が忘れているものがあれば是非ご指摘ください。自分自身の勉強のためにもこうしたチェックは今後も続けたいと思っています。みなさんのご協力をお願いいたします。
基本的な考えは林様と近く、投資の中核は10年来、米豪の長期債です。
が、微妙な差異、疑問も。
1.時期尚早
長くなりそうなのでコメントは割愛。
2.○
3.○
4.○
5.時期尚早
6.△
売られるのはすべての株、米以外の債券、買われるのは米国債、円。
危機が来れば最も金持ちの日米の資本が本国に還流するといった考え方。
相対的に円が最も強くなりそう。
金はどうなのでしょう?よくわかりません。よって5は時期尚早。
7.×
業績なりに急騰している今のレベルはバブルではないと思います。
好業績が続くかどうかはわかりませんし、その意味では「時期尚早」です。
8.○
9.○
しばらくは良好かと。但し、人口の増減なりで?、と見ています。
10.○
11.○
12.○
13.○
この設問、現時点では○ですが最も微妙。
疑問点としては以下2点。
(1)米国の景気に対してネガではないが、かつてのような望ましい状況(10年債で5%以上がつく)に戻ることができるか否かは?
(2)予想される日本の財政危機は円安、円高いずれの要因か?
6.に近い理屈で、本当の危機の前に政府保有の膨大な米ドルを含めてとてつもない量の外貨が日本に還流しそうです。
危機(回避?)の第一幕は超々々円高、といった考えは間違いでしょうか?
それが怖い。
(この論調は見たことがないのですが。)
以上、長文失礼しました。
こんな感じでも参考になれば幸いです。
これからも頑張ってください。
○、×、コメントに、反論はつけないようにします。
ですが、いただいた2つの質問には、以下私の回答を述べさせていただきます。
ちょっと長いです。
>(1)米国の景気に対してネガではないが、かつてのような望ましい状況(10年債で5%以上がつく)に戻ることができるか否かは?
私も債券好きさん同様、5%というような水準は米国一国の景気がよくなろうとも、とても無理だと思います。今のイールドの低下は、アメリカの景気低迷やFRBの潤沢な資金供給だけでもたらされているのではなく、いわゆる「質への逃避」でもたらされている部分も大きいと思われます。米国債の外人保有額のFRB統計は今年4月までですが、昨年の4月と比較すると、国別で以下のようになります。(単位は十億ドル)
ベルギー 32→141、ルクセンブルグ 76→125、フランス 25→59、スペイン 7→21
欧州各国が大幅増加しています。ギリシャはN.A.です。
あまり変化がないのは
日本 907→1,066、中国 1,152→1,145、ドイツ 62→65、イタリア 25→25
いずれも逃避する必要がないのでしょうか。 イタリアはちょっと意外かもしれませんが、国民や国は不安を感じていないのかも。
米国内景気だけでは金利はなかなか上昇しないという図式は、今後もかなり続きそうです。それでも「のど元過ぎれば」つまりユーロ問題が毎日報道されなくなるくらいになれば2%台には戻ると思っています。3%台はどうか?そこまではまだ見えませんね。
>(2)予想される日本の財政危機は円安、円高いずれの要因か?
6.に近い理屈で、本当の危機の前に政府保有の膨大な米ドルを含めてとてつもない量の外貨が日本に還流しそうです。危機(回避?)の第一幕は超々々円高、といった考えは間違いでしょうか?それが怖い。
(この論調は見たことがないのですが。)
私は円安と思います。
危機前の外貨の還流とは、例えば上記の日本保有の1兆ドルの米国債が還流ということでしょうか。つまり外貨資産を売却して財政を立て直す助けにするということでしょうか。
だとすると、超円高を招く逆介入になりますが、これは考えづらいですね。総スカンをくいそうです。
もともと国の保有する外貨建て資産は、短期政府証券を発行して資金調達をして介入し、その結果買ったものなので、売却したら短期政府を償還しておしまいです。純資産として外貨資産を保有しているのではありません。短期の借金を返済するという効果はありますね。
日本の財政危機の幕は何によって切られるかを考えますと、調達ができなくなるからか、できなくなるほど金利が上がるからです。その瞬間、世界は大パニックです。ギリシャの20倍の借金大国に向けて、投資する資金はあるでしょうか。それと日本人の円からの逃避が始まるので円高にはならないと思います。
日本の米国債保有高は、1兆660億ドル=85兆円程度です。そのくらいはみなさんの金融資産1,500兆円の6%がドルに動いただけで吸収されてしまいます。
ということで、危機前の円高シナリオ、私はどうも理由が理解できません。
理由はともかくとして、シナリオどおりの「超円高」が起こったら、債券好きさんはどうしますか?もちろん全財産をドルに突っ込みますよね。私はそうします。誰もが同じように考えているので、残念ながらそうはならないと思います。
2つのご質問への回答、長くなりましたがいかがでしょうか?
ほんとに無事に到着してほしいです。
今年のツールは落車が続出ですからね。
シャンゼリゼでも待ち伏せします!
やはりそうですよね。
10数年前、30年債にしなかったことが残念です。
(2)為替
ご指摘の論調にはそれなりに納得しています。
但し、政府が円を「調達ができなくなる」際に、民間分を含めて外貨に出て行っている円がどれほど戻り、それに乗っかる投資・投機筋がどの程度いて、さらに金利が上がり(そうで)日>米になった際にどうなるのか、私的には予想できていません。
まだ不勉強です。
丁寧な回答ありがとうございました。
ただ還流という部分では、民間分は円安を予想して外に出たので、円安前に資金がもどることはあり得ないと思います。財政破綻が見えてきたら、それこそさらに外貨投資を増やすと思います。
(1)ですが、これの結果はまだ出てはいないとおもいますが、残念ながら予想を裏切る結果にはなりますまい。一方で、日本の病気が顕在化する、ないしは、顕在化が避けられない状態になると、一気に円安、インフレになるということに、皮肉な思いを禁じえません。もちろん、このインフレが健全な経済の結果、つまり着実な経済成長の結果というわけではないわけで、政策当局の思惑どおりというわけではありません。
私に理解できないことは、現在の様々な相場が、必ずしも、この予想される将来を反映しているようには思えない点です。相場というものが、そんな生ぬるいものとは、とても思えません。
一方で、政府が予算を組めなくなるという事態が、まじかに迫っているという現実があります。これを切り抜けるには、日銀による国債の大量引き受けという策しかないわけで、これは長い財政の歴史の中で、やってはいけないこととされているようです。つまりこの策を打った瞬間に、格付け機関がレッドカードを出してくるわけですね。この瞬間に、日銀以外の買い手は、国内外から、誰も出てはこなくなって、国債価格は、するすると際限なく下落するわけでしょうか。
>私に理解できないことは、現在の様々な相場が、必ずしも、この予想される将来を反映しているようには思えない点です。相場というものが、そんな生ぬるいものとは、とても思えません。
これはどうでしょう。相場は結構生ぬるいのではないでしょうか。何故か大激震に限っては、相場は織り込んでいないのでは。
例えば日本の89年年末、38,900円を付け、年始の日経は「今年は5万円だ、いや6万円だ」といっていましたよね。株、不動産のバブルが破裂しそうだという織り込みはありませんでしたが、突然破裂しました。
2000年、ITバブルの絶頂でもヤフー・ジャパンは1株が1億円。ナスダックしかり。バブルという織り込み方はしていませんでしたが、突然破裂。
リーマンショックでも寸前までFRGのグリーンスパン、バーナンキともにバブルに言及していなかったし、相場も織り込んでなかった。
と見ると、結構生ぬるいかもしれません。
もっとも日本国債のバブルは、まともなエコノミスト、日銀総裁、財務大臣、みんなが言及しています。債券相場だけが知らん顔。なので余計に危うさを感じるのです。
私は日本の株式相場は、それをじわっと織り込んでいるために、世界の株価に後れを取っているのではないかと踏んでいます。もちろん日本が競争力を失いつつあることは確かでしょう。
いかがでしょうか?
一つ気になるのは、林さんもご指摘されたように、今後は、世界的な金余りが継続し、なおかつ米国債程、しっかりとした債券もなさそうなので、金利が低いままに行きそうだということです。仮に三十年債が金利2.5%として複利で回ると、10年間で1.28倍、20年間で1.64倍、30年間で、2.1倍です。さらに10年債なら、もっと低い金利です。こうなると、いかに金利が0%の金でも、(元本保証ではありませんが)これと競合すると思えてくるのです。30年間、金を保有すれば、せめて倍くらいには、と思うの人は大勢いるでしょう。コメントして答えとくれ、と言える問ではありませんが。
回答にはファイトがないと応じられない、鋭いご質問ですね。
金に対する考え方は様々な観点があるので、私のように債券の専門家からの見方と、商品投資の専門家からの見方では大きく異なります。
株の神様ウォーレン・バフェット氏は私の考え方と同様の見解でした。債券と株、全く異なるように見えて、実は投資の本質を同じ様に捉えているため同じ結論になっています。
それは、投資価値があるかないかを、資産がキャッシュフローを生むか否かという一点で判断しているからです。キャッシュフローの大切さは私も繰り返し述べていますが、元本を増やすことに加担し続けてくれるからです。
ではご質問にある、30年物で2.5%しかない現状の米国債イールドと「せめて倍くらいにはなるかもしれない」金とどちらが投資価値をより持つのか、検討してみましょう。
この設問では問題なく米国債に分があると思います。何故なら米国債は2.1倍が確定し、金は倍になるかもしれないけれど半分になるかもしれないからです。もちろん米国債のデフォルトリスクは棚上げしています。
じゃ、金が「せめて5倍にはなるかもしれない」と思う人にとってはどうでしょうか。
これでも私は確定の2.1倍を取ります。5倍になるかも、ということは5分の1になるかも、ということも前提にしないと相場の価格変動幅=ボラティリティの考え方からは不公平です。
ワールド・ゴールド・カウンシルという金の権威機関があります。そのサイトの価格チャートを見てください。以下のURLです。
http://www.gold.org/investment/statistics/gold_price_chart/
超長期で物事を考えるには、超長期のチャートが参考になります。期間で、「maximum」といボタンを押せば金兌換停止以降40年間の動きが見られます。
今の金相場の居所が、極めて危ない場所にいることを簡単に認識できると思います。私の見方は、「カネ余りの下で安全志向が強まった結果、今の相場が形成されている」と思っています。
一方、金の相場の不安要素は、以下の通りだと思います。
1.欧州問題が片付き、世界の景気が回復し、株式にカネが戻った場合
2.半導体などに金が大量に使用されていますが、そうした実需がバイオなど有機物で代替され不要になった場合
こうした事態はなきにしもあらずです。
金はあくまで相場で勝負しよう、ということであれば「どうぞ」というほかありませんが、安全資産として米国債の代替価値を考えるなら、「それは無理」というのが私の考えです。
特にリタイア世代でキャッシュフローをコンスタントにもらいたい、という方には最も向かない資産だと思います。
では、安全資産志向という観点でデフォルトしないことに価値を見出し、一方の米国債はデフォルトの可能性があるとしたらいかがでしょうか。
米国債は2倍かゼロかという仮定になりますが、どうもここまでいくと哲学論争になりそうなので、ストップしましょう。
私の考え方、いかがでしょうか?
忌憚のないコメントをおねがいします。
いかがでしょう?