ただの投資家さん、Owlsさん、山ちゃん、たかさん、多くのコメントをいただき、ありがとうございます。
たかさんのおっしゃるように、「なんだか暗い」ですよね。
そしてたかさんの最新のコメントにある「消費税を今さらに増税すべきではない」、に関してですが、3つの理由を私もそのとおりだと思います。異存は全くありません。しかしそれでも増税しなければならないほど財政状態が悪いのが今の日本だと思っています。
例えば株価はどう反応するか。増税=再建は国際公約でもあるため、海外投資家はそれを織り込んで日本株を買っています。ですので増税回避は財政悪化と同義語のため、売り材料になってしなうのです。IMFも消費税は10%なんかでは不足だと言っていますし、株価のためにも増税は回避できないと思います。
さて、今週は週末までに大きなニュース、イベントがたくさんありました。中でも市場が大きく反応したのは意外にもアルゼンチンのテクニカル・デフォルトでした。
最近市場が下落するニュースのほとんどは、世界の誰も全く予想していないか、イベント予定は知っていても予想を上回るインパクトが出て市場が強く反応しまうことばかりです。春先からのウクライナ問題、イラク国内の内戦、イスラエルとハマス、アルゼンチンのテクニカル・デフォルトなど年初の予想などには全くカウントされていませんでした。私がいつもみなさんに申し上げているように、「将来の出来事など誰も予想はできない。突発事故に対して十分に備えるべし。その手段は米国債しかない」のです。
再確認のためみなさんにしつこく申し上げたいのは、最近の異常気象や天変地異は50年に一度の異変が2-3年に一度の頻度で起こっています。その状況は、世界の政治経済にも同じことが言えます。我々には予想すらできないことがすごい頻度で起こり、それが金融市場を通じてあっという間に世界に伝播します。
日本の財政問題も国内的な要因ではなく、とんでもない外部要因によって突如コントロール不能な状況に陥るかもしれません。またリスクとしての認識があっても薄かったために見過ごされるような要因が襲いかかるかもしれません。
ここでは一つ、普段から私が注意すべきと思っていることを皆さんにお知らせしておきます。昨日の日経新聞1面に「フラット35優遇延長」と言う見出しのニュースが載っています。内容は住宅着工がスローダウンしたので(そんなことはハナからわかっています)、対処策として政府の金利優遇支援策を延長するというものです。
私の指摘は優遇策についてではなく、住宅ローンの根本問題です。すべての銀行は住宅金融公庫などがなくなり、企業の貸出が伸びなくなって以来、貸出の主力を個人の住宅ローン、それもフラット35に代表されるような超長期ローンに置いてきました。その貸出残高は118兆円にもなります。
データは日銀の以下のサイトで見ることができます。
http://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/ldo/index.htm/
銀行にとって35年の長期固定金利ローンを出すということは、35年の超長期固定利付債を買っているのと同じです。発行者は個人です(笑)。つまり金利が上昇すれば、ローンの時価は債券と同じ様に値洗いしなければなりません。国債と違い償還まで持つので時価評価はいらない、などとはいかない債権です(債券ではありません)。アメリカでは住宅ローンの出し手はどんどん証券化してバランスシートからはずしますが、邦銀はそのままです。
金利の上昇が始まると銀行はどう対処するのか。ちょっと専門的になりわからりずらいかもしれませんが、書いておきます。銀行はもしスワップの相手がいれば、長期の固定金利を変動金利にスワップしておけますが、スワップの出し手はあまりいないでしょう。
長期国債の下落なら先物の売りでヘッジ可能ですが、個別住宅ローンにその市場はありません。そこで銀行は長期の金利先物市場を使って近似的に売りヘッジをするのです。長期金利の先物市場の参加者の主力は売りを浴びせるヘッジファンドです。そこに銀行も一緒になって売りヘッジをかけることになりますので、暴落に拍車がかかります。
たとえ時価評価を特例で「ナシ」としても、ローンを出し続けるための銀行の調達金利は上昇し逆ザヤになる可能性が出てきて、収益を圧迫します。ここでも登場するのは日銀のクロちゃんです。バズーカでは間に合わないので、核弾頭付きのテポドンを射ちこみ、なりふり構わず低金利での特例融資を拡大するでしょう。
住宅ローン、みんなで渡れば怖くない(笑)。そしてTOO BIG TO FAILの原則。ここでもきっと横並び体質の銀行を政府日銀が救済せざるを得ません。金利の上昇は国債の暴落への対処だけでは済まないことを、みなさんにお知らせしておきます。住宅ローンが国債暴落の引き金を引く可能性もあるのです。
というように、世の中には知らない、もしくは注意不足から見落とされているリスクがいっぱいあるのです。
さて、暗い話ばかりが続きましたが、私はこうしたことがすぐ起きそうだと思って今回の「潮目はかわったか」を書いているのではありません。アベチャンの「誤算」をいくつか指摘していますが、アベチャンの「目算通り」もたくさんあるからです。一番はアベノミクスによる景況感の改善ですが、さらに
・ 円安
・ 株高
・ 大企業のベースアップへの協力
・・・などなど
こうしたことは、延命には大いに役立っています。そして日本がそう簡単に破綻しないもう一つの大きな理由は、山ちゃんもご指摘のように、危うさは自覚していても、わからないものには手を出さない人が大半からです。「トイレットペーパー不足」だとわかりやすいので誰もが飛び付く。でも「外貨でヘッジ」などわけわかんないので飛び付かない。
しかし潮目に変化が生じているのも確かです。私もOwlsさんのコメントにある
>巷で思っている以上に問題は深刻
に賛成ですし、たかさんの心配ももっともだと思います。
ですので、今後もみなさんと一緒にムードに押し流されることなくしっかりと「数字」を追いかけて行きましょう。
これまでは「株価・為替などが先行し、金利さえ抑え込んでいれば実態経済は追いかけくるはず」という図式でしたが、ここに来て実体経済がぐずぐずし始めたのは、アベチャンの支持率低下とともに要注意です。
たかさんのおっしゃるように、「なんだか暗い」ですよね。
そしてたかさんの最新のコメントにある「消費税を今さらに増税すべきではない」、に関してですが、3つの理由を私もそのとおりだと思います。異存は全くありません。しかしそれでも増税しなければならないほど財政状態が悪いのが今の日本だと思っています。
例えば株価はどう反応するか。増税=再建は国際公約でもあるため、海外投資家はそれを織り込んで日本株を買っています。ですので増税回避は財政悪化と同義語のため、売り材料になってしなうのです。IMFも消費税は10%なんかでは不足だと言っていますし、株価のためにも増税は回避できないと思います。
さて、今週は週末までに大きなニュース、イベントがたくさんありました。中でも市場が大きく反応したのは意外にもアルゼンチンのテクニカル・デフォルトでした。
最近市場が下落するニュースのほとんどは、世界の誰も全く予想していないか、イベント予定は知っていても予想を上回るインパクトが出て市場が強く反応しまうことばかりです。春先からのウクライナ問題、イラク国内の内戦、イスラエルとハマス、アルゼンチンのテクニカル・デフォルトなど年初の予想などには全くカウントされていませんでした。私がいつもみなさんに申し上げているように、「将来の出来事など誰も予想はできない。突発事故に対して十分に備えるべし。その手段は米国債しかない」のです。
再確認のためみなさんにしつこく申し上げたいのは、最近の異常気象や天変地異は50年に一度の異変が2-3年に一度の頻度で起こっています。その状況は、世界の政治経済にも同じことが言えます。我々には予想すらできないことがすごい頻度で起こり、それが金融市場を通じてあっという間に世界に伝播します。
日本の財政問題も国内的な要因ではなく、とんでもない外部要因によって突如コントロール不能な状況に陥るかもしれません。またリスクとしての認識があっても薄かったために見過ごされるような要因が襲いかかるかもしれません。
ここでは一つ、普段から私が注意すべきと思っていることを皆さんにお知らせしておきます。昨日の日経新聞1面に「フラット35優遇延長」と言う見出しのニュースが載っています。内容は住宅着工がスローダウンしたので(そんなことはハナからわかっています)、対処策として政府の金利優遇支援策を延長するというものです。
私の指摘は優遇策についてではなく、住宅ローンの根本問題です。すべての銀行は住宅金融公庫などがなくなり、企業の貸出が伸びなくなって以来、貸出の主力を個人の住宅ローン、それもフラット35に代表されるような超長期ローンに置いてきました。その貸出残高は118兆円にもなります。
データは日銀の以下のサイトで見ることができます。
http://www.boj.or.jp/statistics/dl/loan/ldo/index.htm/
銀行にとって35年の長期固定金利ローンを出すということは、35年の超長期固定利付債を買っているのと同じです。発行者は個人です(笑)。つまり金利が上昇すれば、ローンの時価は債券と同じ様に値洗いしなければなりません。国債と違い償還まで持つので時価評価はいらない、などとはいかない債権です(債券ではありません)。アメリカでは住宅ローンの出し手はどんどん証券化してバランスシートからはずしますが、邦銀はそのままです。
金利の上昇が始まると銀行はどう対処するのか。ちょっと専門的になりわからりずらいかもしれませんが、書いておきます。銀行はもしスワップの相手がいれば、長期の固定金利を変動金利にスワップしておけますが、スワップの出し手はあまりいないでしょう。
長期国債の下落なら先物の売りでヘッジ可能ですが、個別住宅ローンにその市場はありません。そこで銀行は長期の金利先物市場を使って近似的に売りヘッジをするのです。長期金利の先物市場の参加者の主力は売りを浴びせるヘッジファンドです。そこに銀行も一緒になって売りヘッジをかけることになりますので、暴落に拍車がかかります。
たとえ時価評価を特例で「ナシ」としても、ローンを出し続けるための銀行の調達金利は上昇し逆ザヤになる可能性が出てきて、収益を圧迫します。ここでも登場するのは日銀のクロちゃんです。バズーカでは間に合わないので、核弾頭付きのテポドンを射ちこみ、なりふり構わず低金利での特例融資を拡大するでしょう。
住宅ローン、みんなで渡れば怖くない(笑)。そしてTOO BIG TO FAILの原則。ここでもきっと横並び体質の銀行を政府日銀が救済せざるを得ません。金利の上昇は国債の暴落への対処だけでは済まないことを、みなさんにお知らせしておきます。住宅ローンが国債暴落の引き金を引く可能性もあるのです。
というように、世の中には知らない、もしくは注意不足から見落とされているリスクがいっぱいあるのです。
さて、暗い話ばかりが続きましたが、私はこうしたことがすぐ起きそうだと思って今回の「潮目はかわったか」を書いているのではありません。アベチャンの「誤算」をいくつか指摘していますが、アベチャンの「目算通り」もたくさんあるからです。一番はアベノミクスによる景況感の改善ですが、さらに
・ 円安
・ 株高
・ 大企業のベースアップへの協力
・・・などなど
こうしたことは、延命には大いに役立っています。そして日本がそう簡単に破綻しないもう一つの大きな理由は、山ちゃんもご指摘のように、危うさは自覚していても、わからないものには手を出さない人が大半からです。「トイレットペーパー不足」だとわかりやすいので誰もが飛び付く。でも「外貨でヘッジ」などわけわかんないので飛び付かない。
しかし潮目に変化が生じているのも確かです。私もOwlsさんのコメントにある
>巷で思っている以上に問題は深刻
に賛成ですし、たかさんの心配ももっともだと思います。
ですので、今後もみなさんと一緒にムードに押し流されることなくしっかりと「数字」を追いかけて行きましょう。
これまでは「株価・為替などが先行し、金利さえ抑え込んでいれば実態経済は追いかけくるはず」という図式でしたが、ここに来て実体経済がぐずぐずし始めたのは、アベチャンの支持率低下とともに要注意です。